家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「やっちまったよ一戸建て」――我が家もその類か?

2005年10月19日 | 家について思ったことなど
 
私はぬかっていた。
家を建てるにあたって、結構な分量の本を読んだつもりだった。
しかし、重要な本を見逃していた。
伊藤理佐著「やっちまったよ一戸建て」という本は読んでいなかったのだ。
最近、文庫化されたことでこのような本があることがわかった。即購入して読んだ。

新幹線車内で笑いをこらえながら読むはめになった。
簡単に紹介すると、漫画家である著者が一戸建て住宅を建てた実録漫画である。
マンションの売却から土地取得、資金繰り、パートナー選び、プランニング、建築経過、竣工と一通りの流れが描かれている。
しかし、著者自らが「家を建てる人は参考にするな」というように、この本はマニュアル本では断じてない。家づくりのてんやわんやを面白おかしく(死語的表現で申し訳ない)描いてある。

一人暮らしの女性用の3階建て住宅という条件自体が面白い。
不動産屋や設計者、施工者とともに、その場が固まるような勝手な発想を出すシーンはいちいち笑える。
特筆すべき点はトイレ。
このblogでも過去トイレの話で盛り上がったが、トイレに興味のある施主はけっこう多い。この家のトイレはまさに「やっちまって」いるので、施主達は是非読んでほしい。

「参考にならない」と著者はいうものの、家づくりの各種のイベントを素人として立ち向かう姿は参考にならないことはないだろう(勘違いしているところや特殊な部分があるので注意して読む必要はあるが)。
2001年に単行本になっていたようなので、私は家を建てる前に読めたはずなのに、出版に気づかず残念なことをした。
そのあげく、結構「やっちまった」かもしれない・・・。

文庫本版で得するのは「まえがき」と「あとがき」があるところ。
入居後6、7年経過した筆者が客観的に振り返っている。
まえがきで、他人の建てた各種の「やっちまった」家を観察しながらブツブツ言っているところで思わずふきだし、自虐的に「やっちまった」家は面白いということを教えてくれるところでは感心した。
あとがきでも、すったもんだしながらも家づくりが楽しかったことが、本当に楽しかったとわかるように読者に伝えていて微笑ましかった。
家づくりで何が損かといえば、「楽しまずに建てること」と思っている私はこの本を推薦図書としたい。
書店経営者の方、この本は文庫本コーナーだけでなく、「住宅本」コーナーに是非おくべし。施主達に売れることうけあいである。