家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「いい家」になる時と「いい家」である時間

2004年11月26日 | 家について思ったことなど
 家づくりに関する情報は世にあふれているが、大半は「いい家」をつくるための手引きであるといっていいように思う。
 ただ、その多くが竣工時点をもって「いい家」の完成とし、その時点での家のことばかりを語っている。
施主としてはそれでいいのだろうかと思う。

 家の完成があるとしたら、家族が住み始めて、家と家族がしっかり馴染んだ時ではないだろうか。竣工はあくまで人が住めるようになった状態であって、完成とは違うと思った方がいい。私が依頼した建築家も、竣工=完成ではない、という考えの持ち主だ。

 だいたい、新築時が家の生涯で一番「いい状態」だと考えると、将来がつまらない。そうだとすると竣工直後から「いい家」から徐々に遠ざかっていくのであって、喜びもしおれる方向に向くということだ。
 家族が手入れしながら住んでいくうちに、もっと「いい家」になっていくと考えれば、暮らしも楽しくなるだろう。

 また、「いい家」にこだわるのならば、「いい家」としていられる期間も重要ではないか。
 いい家だと満足できるのは新築から10年くらいで、20年もすればつまらない家だと思えてくるとしたら、新築の時、「いい家」にこだわって建てたことがむなしくなりそうだ。それとも、最初から、20年もすれば「いい家」でなくなるのはあたりまえと思って、短命な「いい家」を建てているのだろうか。
 
我が家は築55年の古屋を壊すことができなかった。その間ずっと「いい家」だったからだ。さらに残すのだから、家族にとってはまだ「いい家」でありつづける。10年間くらいしか「いい家」でいられないような新築の家を見ても引け目を感じることもない。
もちろん、長いこと「いい家」でありつづけていられそうな新築の家も見かける。私達家族の新しい家も、長く「いい家」として存在できるにはどうしたらよいか、という視点で考えて、それを目指しているつもりだ。
ただし、本当にいい家でありつづけられるかどうかは家族の力にかかっている。