家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

欄間を見直す――光、風、温度の共有

2004年11月16日 | 我が家のスペシャルな仕様
 欄間というと、和室によくある木彫りのものが思い浮かぶ、あれはあんまり好きな方ではなかった。
 古刹や旧家の欄間を見てすばらしいと思ったことはあるが、現代の家の中で見る木彫りの欄間は中途半端な作品に見えてしまうことが多い。精魂傾けたという気迫は感じられず、同じ図面で形だけ整えるような職人仕事になってきているせいかもしれない。
今でも精魂傾けた仕事をしている木彫り職人さんもいることだろうが、一般の家ではそういう仕事になかなかお目にかかれない。

今や欄間が単なる「飾り」と化してしまったせいか、居心地悪そうに収まっている感じも受ける。
本来、欄間には機能がある。風を通し、光を採りこむ。
しかし、現代においては欄間の機能があまり生かされていないことの方が多いようだ。

実は、私は自分の家づくりにおいて、当初、欄間のことはまったく意識していなかった。
「続き」の和室は作る予定は無いし、冒頭述べたように、いい仕事をした欄間など導入できないと思っていたからだった。

ところが、
建築家から上がってくる図面がだんだんと詳細になってくるにつれ、「欄間」の存在に気が付いた。
 木彫りのあの欄間が描き込まれていたのではない。何も無い「欄間」がそこにあった。
鴨居と天井の間に空間を開けてあるだけのもの。装飾を考えず、機能だけを取り込んでいる。

 欄間の機能はいい。家の中を空気が流れる。視線は防ぎつつ、部屋と部屋とで光と風、そして温度を共有するのだ。
 図面をじっくりみていると、効果的に欄間を配置してあることがよくわかる。
南側の壁から北側の壁までの間は、内壁があっても欄間を設けて、南北方向に風の通り道が作ってある。造作の本棚を壁にして上部を欄間にしてあったりもする。
 欄間で問題になるのは「音」。したがって、音を共有したくない寝室間の壁には欄間はない。そしてその壁は南北に対面するように位置していない。
 プロの設計技術を感じることができた。

一点だけ、欄間のデメリットを指摘しておくと、欄間の底辺(鴨居等の上)にはホコリがたまるだろうということ。風の通り道だから、それほどはたまらないとは思うが、目につかない場所だけに、いつのまにかほこりがたまってしまうこともありそうだ。
たまに掃除をすることをわすれないようにしたい。