今度の選挙は、違憲状態とされる「一票の格差」が是正されないまま行われる。
この「一票の格差」は、「小選挙区制」の弊害の一つで、「中選挙区制」の時にはほとんど問題にされなかった。
過去に何度か「小選挙区制」で行われた選挙はあったが、1928年から1993年の衆議院選挙までは「中選挙区制」だった。
というようなことを、今中学校の公民で教わっている長男に話したが、そもそも「小選挙区制」と「中選挙区制」の違いがわかっていない。聞けば、高校生でもわかっていない人が多いらしい。
だから、次のようなことから説明していかなければならないのだ。
今日の記事は、中高生向けだ。
「小選挙区制」とは、選挙区を細かくわけて、一つの地域で一人の国会議員を選出する選挙の方式だ。
「中選挙区制」とは、もう少し広い選挙区で、一つの区域で二人以上の国会議員を選出する方式で、その地域に住む有権者の数で当選する国会議員の数が決められる。
それぞれのメリットとデメリットについて説明しよう。
「小選挙区制」は「中選挙区制」に比べて範囲が狭いので、選挙運動の労力と選挙費用を節約することができる。一人しか当選できないので、対立候補に投票することで嫌いな候補を落選させやすい。前回の選挙で民主党が政権交代を実現させたように、二大政党間で一気に政権が変わることが起きる。
最大の欠点は、二番手三番手の政党が、国会議員を送りにくいことだ。「中選挙区」なら、二番目や三番目で当選できたのが、トップの一人しか当選できないので、国民の多数に支持される政党がますます議員の数を増やすことになる。
実際に、共産党や社会党(現・民社党)は、選挙制度が変更されてから、国会議員の数が極端に減ってしまった。
現在の選挙制度では、そうした弊害をフォローするために、「比例代表」という選出方法が行われていて、これは個人ではなく、支持する政党に投票する。その得票数に応じて、あらかじめ登録された選挙名簿の上から順番に当選者が決まる。
しかし、「比例代表」で選ばれる国会議員の数は、定数全体の三分の一程度なので、小さな政党にとっては、かろうじてゼロににならない程度しか当選者が出せない。
ちなみに、共産党は9人の衆議院議員がいたけれど、すべて「比例代表」で選出された議員だ。かつては、30人以上の衆議院議員を当選させたこともあった。
つまり「小選挙区制」はマイノリティーの意見がくみ上げられないので、決して民主的な制度とは言えないのだ。
そこで、「一票の格差」の話になる。
ここで言う「格差」とは、一票の価値の大きさだ。有権者の数が多いほど、候補者は当選するのにたくさん得票しなければないから、一票あたりの価値がそれだけ低くなる。
千葉4区は有権者の数が49万7601人で最も多く、高知3区は20万4930人で最も少ない。その差は2.43倍で、千葉4区の有権者の一票の価値は高知3区の半分以下、ということになる。これは憲法第14条に規定された「法の下の平等」に反することになり、昨年3月には最高裁で「違憲状態」であると判断された。
「中選挙区制」でも格差はあった。しかし、有権者の多い選挙区と少ない選挙区で、当選者の数を調整することである程度是正できていたからあまり問題にならなかった。
ところが、当選者が一人と決められている「小選挙区」ではそれが出来ない。選挙区の区割りを変更するには法律を改正するしかないからだ。その法案が今度の選挙の直前に成立したのだけれど、作業が間に合わず、手がつけられないまま選挙が始まってしまったというわけだ。
なので、大きな政党に有利な「小選挙区制」は、いろいろな意味で民主的とは言い難い要素を含んでいる。もう一度中選挙区制に戻して、マイノリティの意見が取り上げられるような国会にするべきだと思う。
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この「一票の格差」は、「小選挙区制」の弊害の一つで、「中選挙区制」の時にはほとんど問題にされなかった。
過去に何度か「小選挙区制」で行われた選挙はあったが、1928年から1993年の衆議院選挙までは「中選挙区制」だった。
というようなことを、今中学校の公民で教わっている長男に話したが、そもそも「小選挙区制」と「中選挙区制」の違いがわかっていない。聞けば、高校生でもわかっていない人が多いらしい。
だから、次のようなことから説明していかなければならないのだ。
今日の記事は、中高生向けだ。
「小選挙区制」とは、選挙区を細かくわけて、一つの地域で一人の国会議員を選出する選挙の方式だ。
「中選挙区制」とは、もう少し広い選挙区で、一つの区域で二人以上の国会議員を選出する方式で、その地域に住む有権者の数で当選する国会議員の数が決められる。
それぞれのメリットとデメリットについて説明しよう。
「小選挙区制」は「中選挙区制」に比べて範囲が狭いので、選挙運動の労力と選挙費用を節約することができる。一人しか当選できないので、対立候補に投票することで嫌いな候補を落選させやすい。前回の選挙で民主党が政権交代を実現させたように、二大政党間で一気に政権が変わることが起きる。
最大の欠点は、二番手三番手の政党が、国会議員を送りにくいことだ。「中選挙区」なら、二番目や三番目で当選できたのが、トップの一人しか当選できないので、国民の多数に支持される政党がますます議員の数を増やすことになる。
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ここで言う「格差」とは、一票の価値の大きさだ。有権者の数が多いほど、候補者は当選するのにたくさん得票しなければないから、一票あたりの価値がそれだけ低くなる。
千葉4区は有権者の数が49万7601人で最も多く、高知3区は20万4930人で最も少ない。その差は2.43倍で、千葉4区の有権者の一票の価値は高知3区の半分以下、ということになる。これは憲法第14条に規定された「法の下の平等」に反することになり、昨年3月には最高裁で「違憲状態」であると判断された。
「中選挙区制」でも格差はあった。しかし、有権者の多い選挙区と少ない選挙区で、当選者の数を調整することである程度是正できていたからあまり問題にならなかった。
ところが、当選者が一人と決められている「小選挙区」ではそれが出来ない。選挙区の区割りを変更するには法律を改正するしかないからだ。その法案が今度の選挙の直前に成立したのだけれど、作業が間に合わず、手がつけられないまま選挙が始まってしまったというわけだ。
なので、大きな政党に有利な「小選挙区制」は、いろいろな意味で民主的とは言い難い要素を含んでいる。もう一度中選挙区制に戻して、マイノリティの意見が取り上げられるような国会にするべきだと思う。
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