■報道されない反原発の流れ
日曜日、東京の高円寺で15000人(主催者発表)の反原発デモがあった。
都内でこれだけの大規模デモはそうあるものではない。ところが、このことがマスコミで話題になることはなかった。テレビ東京がニュースで1度だけ流した他は、朝日新聞すら記事で取り上げていない。
全国で起きている署名運動もデモも、まったくと言っていいくらい報じられない。
Googleで「原発廃止 署名」で検索すると、10万件近くヒットする。「原発廃止 デモ」は世界中で起きている。
しかし、日本のメディアでは積極的に取り上げられることはない。
高円寺デモに参加したタレントの山本太郎が、「タレントは原発反対をいうと干される」と、干されることを覚悟で暴露した。どうもそのあたりにヒントがありそうだと思っていたら、経団連の米倉弘昌会長が本音を吐いた。

11日の共同ニュースによると
日本経団連の米倉弘昌会長は11日の記者会見で、原発事故による巨額の賠償が想定される東京電力の経営問題について「国有化というのは全然ない。(国が法律に基づいて)民間事業者としての東電を支援するということだ」と述べ、一部で取りざたされた東電の国有化論をけん制した原子力損害賠償法に定められている、大規模な天災時には賠償を免責する条項は世界共通の考え方と指摘。「国が全面的に支援するのは当然」との認識を示した。さらに「国有化論に政治家が触れたことで、どれだけ東電の株価が下落したか。正しく世の中や法律を理解して発言しないと日本の経済や産業、世界の原子力産業が全部だめになる」と語った。
つまり、東電が倒産に追い込まれ、国有化するということは、今後原発事故が起きるたびに電力会社は次々と国有化され、せっかく民営化が進んで大儲けできるようになった日本の経済が逆戻りするというわけなのである。
「株価が下落した」だの「日本の経済や産業、世界の原子力産業が全部だめになる」などと、銭儲けしか頭にない。人間あっての経済なのだが、経団連の会長の頭の中に「人間」の二文字は存在しない。
もう一カ所、この言葉に注目しよう。米倉会長は「世界の原子力産業」と言っている。「世界の原発」ではない。原子力産業の中には当然兵器産業も含まれる。それがどういう意味を持つのか、考える必要がある。
大手マスコミの反原発運動に対する報道規制(あえてそういう)は、大企業からの広告収入で成り立っている大新聞、テレビ局の自己規制の結果だろう。
■財界政界に莫大な利益を生む原子力
原子力産業とはとてつもない利益を生み出す打ち出の小槌である。電力会社は民間会社であるが、国策、すなわち国の事業のもとに成り立っている。国の援助なしに、自治体への補助金は払えないし、莫大な原子炉の建設費もまかなえない。すなわち、国の予算、それも半端でない額の予算が使われる。それらの税金は、巡って当時与党であった自民党に大量に流れ込んでくる。もちろん、東芝をはじめとした原子炉メーカーの利益もすさまじい。
しかしこの小槌、ちょっと使い方を間違えると、持ち主の手に負えないほど暴れ回り、小槌ならぬ打ち壊しの巨大ハンマーになる。
東電の広報は、原子力発電のキャンペーンで、発電コストの安さを上げる。ところが、そのコストの中には1基1800億円ともいわれる寿命の来た原子炉の廃炉費用や、処理に20年以上かかるといわれる,使用済み燃料の処理費用は含まれていない。これらはすべて税金である。
環境にやさしいともいう。しかし、事故を起こした時の大気汚染は、一酸化炭素の比ではない。
原発は、過疎の村や町に建設されることが多い。原発が来れば雇用が増え、町が活気づく。計画が決まった段階から支払われる保証金で村は豊かになり、公民館やショッピングモールも作れる。
借金行政から、原発が解放してくれるというわけである。そうして過疎の町谷村は、命と引き換えに原発を誘致するのである。
福島県双葉町の町長がつぶやいた。「町が豊かになると思って誘致したけど、これでよかったのかどうか……」
国民には知らされていない原発の秘密、カネのマジックがここにある。
■人の手に負えない原子力
読売グループの総帥だった正力松太郎が、原発を日本に誘致した1970年代すでに、物理学者の武谷三男氏が『原子力発電』(岩波新書)のなかで、当初は原子力の平和利用を推奨していたものの、それはあくまで原水爆に対しての論理であり、本来、原子力はエネルギーに利用するべきではないと結論づけている。
反原発運動は、茨城県東海村に日本最初の原子炉が作られた時から始まっている。「被爆体験のある日本人が、あの恐ろしい核をエネルギーにすべきでない」と。
そして、つい最近まで、反原発を唱える人を、多くの国民が異端者、あるいは共産主義者と白い目で見ていた。政府と東電のキャンペーンに乗せられて、原発を「安全」と信じていたからだ。
しかし事実、原子力は今回の事故で分かった通り、ひとたび荒れ狂えば人間の手に負えるものではない。
原子燃料はどれだけ水をかけても火が消えるどころか、冷やし続けなければたちまち高熱を発して放射能をまき散らす。その熱が冷めるまで、数十年かかるというのだ。
しかもそれは現在、地集深く埋めるしかないという。
「チャイナシンドローム」という映画があった。暴走したプルトニウムが、地球の裏側まで穴をあけるという恐ろしい映画である。それを地中に埋めたからといって安全と言えるわけがない。
■原発作業員の不思議
福島第1原発の事故では3人の作業員が、高濃度に汚染された水の中に足が浸かったために被曝した。作業員たちは、そこに水がたまっていることも,汚染水であることも知らなかったという。
原発内の作業には被爆線量をチェックするための線量計を各自つけることが義務づけられているが、その数が足りず、管理者一人がつけて作業をすることもあるという。
作業にはノルマがあり、決められた時間内に終えなかれば日当を減額されるという。そのために、線量計のブザーが鳴ってもそのスイッチを切って作業を続けることがあったという。
東電の正社員が現場の作業に直接あたることはない。下請けの下請けのさらに下請け、七次下請けまであるという。
最下層の作業員の日当17000円にたいし、東電が支払う人件費は数十万になる。とんでもない搾取である。
原発がまだ黎明期であった70年代、原発は頻繁に事故を起こし、多くの犠牲者を出していたが、その事故は国家的レベルで秘匿されていたことが後に暴露され、ニュースになった。しかしそのニュースもいつの間にか立ち消えになった。
大量被曝して死亡した作業員をドラム缶に積め、ヘリでつり上げてどこかに運んで行くのを見たという証言すらあった。
その真偽はともかく、東電と政府の隠蔽体質がそんな噂を作り出すのだ。そして今度の事故でも、政府や東電の発表は信用されていない。
■真実はどこにあるのか
原子力とは核兵器の延長線上にある。被爆体験のある日本人は、平和利用も含めて原子力をエネルギーにするべきではない。
非核三原則によって、持つことも作ることも持ち込ませることも禁止されている日本だが、その原則はすでに密約によって破られ、経団連は日本の核武装や核の輸出をもくろんでいる。であるから、原発事故はあってはならないことだったはずである。だからといって、原発を廃止したり、核武装を否定したくないのが日本の政界・財界である。
つまり真実は、政界・財界の手の届かないところにある、といっていい。
手の届かないところというのは、海外メディア、そしてツイッターやブロブなどのミニコミである。しかしこれらミニコミには嘘や間違いが多いことも事実である。それにごまかされないためには、できるだけ多くの場所から情報を集めることである。
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
*1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
*現在満席です。8月以降からの講習になります。
●自費出版、企画出版、書店流通。
*編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
日曜日、東京の高円寺で15000人(主催者発表)の反原発デモがあった。
都内でこれだけの大規模デモはそうあるものではない。ところが、このことがマスコミで話題になることはなかった。テレビ東京がニュースで1度だけ流した他は、朝日新聞すら記事で取り上げていない。
全国で起きている署名運動もデモも、まったくと言っていいくらい報じられない。
Googleで「原発廃止 署名」で検索すると、10万件近くヒットする。「原発廃止 デモ」は世界中で起きている。
しかし、日本のメディアでは積極的に取り上げられることはない。
高円寺デモに参加したタレントの山本太郎が、「タレントは原発反対をいうと干される」と、干されることを覚悟で暴露した。どうもそのあたりにヒントがありそうだと思っていたら、経団連の米倉弘昌会長が本音を吐いた。

11日の共同ニュースによると
日本経団連の米倉弘昌会長は11日の記者会見で、原発事故による巨額の賠償が想定される東京電力の経営問題について「国有化というのは全然ない。(国が法律に基づいて)民間事業者としての東電を支援するということだ」と述べ、一部で取りざたされた東電の国有化論をけん制した原子力損害賠償法に定められている、大規模な天災時には賠償を免責する条項は世界共通の考え方と指摘。「国が全面的に支援するのは当然」との認識を示した。さらに「国有化論に政治家が触れたことで、どれだけ東電の株価が下落したか。正しく世の中や法律を理解して発言しないと日本の経済や産業、世界の原子力産業が全部だめになる」と語った。
つまり、東電が倒産に追い込まれ、国有化するということは、今後原発事故が起きるたびに電力会社は次々と国有化され、せっかく民営化が進んで大儲けできるようになった日本の経済が逆戻りするというわけなのである。
「株価が下落した」だの「日本の経済や産業、世界の原子力産業が全部だめになる」などと、銭儲けしか頭にない。人間あっての経済なのだが、経団連の会長の頭の中に「人間」の二文字は存在しない。
もう一カ所、この言葉に注目しよう。米倉会長は「世界の原子力産業」と言っている。「世界の原発」ではない。原子力産業の中には当然兵器産業も含まれる。それがどういう意味を持つのか、考える必要がある。
大手マスコミの反原発運動に対する報道規制(あえてそういう)は、大企業からの広告収入で成り立っている大新聞、テレビ局の自己規制の結果だろう。
■財界政界に莫大な利益を生む原子力
原子力産業とはとてつもない利益を生み出す打ち出の小槌である。電力会社は民間会社であるが、国策、すなわち国の事業のもとに成り立っている。国の援助なしに、自治体への補助金は払えないし、莫大な原子炉の建設費もまかなえない。すなわち、国の予算、それも半端でない額の予算が使われる。それらの税金は、巡って当時与党であった自民党に大量に流れ込んでくる。もちろん、東芝をはじめとした原子炉メーカーの利益もすさまじい。
しかしこの小槌、ちょっと使い方を間違えると、持ち主の手に負えないほど暴れ回り、小槌ならぬ打ち壊しの巨大ハンマーになる。
東電の広報は、原子力発電のキャンペーンで、発電コストの安さを上げる。ところが、そのコストの中には1基1800億円ともいわれる寿命の来た原子炉の廃炉費用や、処理に20年以上かかるといわれる,使用済み燃料の処理費用は含まれていない。これらはすべて税金である。
環境にやさしいともいう。しかし、事故を起こした時の大気汚染は、一酸化炭素の比ではない。
原発は、過疎の村や町に建設されることが多い。原発が来れば雇用が増え、町が活気づく。計画が決まった段階から支払われる保証金で村は豊かになり、公民館やショッピングモールも作れる。
借金行政から、原発が解放してくれるというわけである。そうして過疎の町谷村は、命と引き換えに原発を誘致するのである。
福島県双葉町の町長がつぶやいた。「町が豊かになると思って誘致したけど、これでよかったのかどうか……」
国民には知らされていない原発の秘密、カネのマジックがここにある。
■人の手に負えない原子力
読売グループの総帥だった正力松太郎が、原発を日本に誘致した1970年代すでに、物理学者の武谷三男氏が『原子力発電』(岩波新書)のなかで、当初は原子力の平和利用を推奨していたものの、それはあくまで原水爆に対しての論理であり、本来、原子力はエネルギーに利用するべきではないと結論づけている。
反原発運動は、茨城県東海村に日本最初の原子炉が作られた時から始まっている。「被爆体験のある日本人が、あの恐ろしい核をエネルギーにすべきでない」と。
そして、つい最近まで、反原発を唱える人を、多くの国民が異端者、あるいは共産主義者と白い目で見ていた。政府と東電のキャンペーンに乗せられて、原発を「安全」と信じていたからだ。
しかし事実、原子力は今回の事故で分かった通り、ひとたび荒れ狂えば人間の手に負えるものではない。
原子燃料はどれだけ水をかけても火が消えるどころか、冷やし続けなければたちまち高熱を発して放射能をまき散らす。その熱が冷めるまで、数十年かかるというのだ。
しかもそれは現在、地集深く埋めるしかないという。
「チャイナシンドローム」という映画があった。暴走したプルトニウムが、地球の裏側まで穴をあけるという恐ろしい映画である。それを地中に埋めたからといって安全と言えるわけがない。
■原発作業員の不思議
福島第1原発の事故では3人の作業員が、高濃度に汚染された水の中に足が浸かったために被曝した。作業員たちは、そこに水がたまっていることも,汚染水であることも知らなかったという。
原発内の作業には被爆線量をチェックするための線量計を各自つけることが義務づけられているが、その数が足りず、管理者一人がつけて作業をすることもあるという。
作業にはノルマがあり、決められた時間内に終えなかれば日当を減額されるという。そのために、線量計のブザーが鳴ってもそのスイッチを切って作業を続けることがあったという。
東電の正社員が現場の作業に直接あたることはない。下請けの下請けのさらに下請け、七次下請けまであるという。
最下層の作業員の日当17000円にたいし、東電が支払う人件費は数十万になる。とんでもない搾取である。
原発がまだ黎明期であった70年代、原発は頻繁に事故を起こし、多くの犠牲者を出していたが、その事故は国家的レベルで秘匿されていたことが後に暴露され、ニュースになった。しかしそのニュースもいつの間にか立ち消えになった。
大量被曝して死亡した作業員をドラム缶に積め、ヘリでつり上げてどこかに運んで行くのを見たという証言すらあった。
その真偽はともかく、東電と政府の隠蔽体質がそんな噂を作り出すのだ。そして今度の事故でも、政府や東電の発表は信用されていない。
■真実はどこにあるのか
原子力とは核兵器の延長線上にある。被爆体験のある日本人は、平和利用も含めて原子力をエネルギーにするべきではない。
非核三原則によって、持つことも作ることも持ち込ませることも禁止されている日本だが、その原則はすでに密約によって破られ、経団連は日本の核武装や核の輸出をもくろんでいる。であるから、原発事故はあってはならないことだったはずである。だからといって、原発を廃止したり、核武装を否定したくないのが日本の政界・財界である。
つまり真実は、政界・財界の手の届かないところにある、といっていい。
手の届かないところというのは、海外メディア、そしてツイッターやブロブなどのミニコミである。しかしこれらミニコミには嘘や間違いが多いことも事実である。それにごまかされないためには、できるだけ多くの場所から情報を集めることである。
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
*1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
*現在満席です。8月以降からの講習になります。
●自費出版、企画出版、書店流通。
*編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。