
小田実さんと言えば「ベ平連」。ぼくは作家としての小田さんよりも、ベ平連の代表としての小田さんの方になじみがありました。
なぜなら、まとまった小田実さんの本は、あまり読んでいないのです。(お恥ずかしい)

「ベ平連」とは「『ベトナムに平和を!』市民連合」の略。小田さんは1960年から1975年まで続いたベトナム戦争の頃、先頭に立って反戦運動を指揮しました。
ベトナム戦争というのは、大戦後南北に分断されたベトナムの統一紛争に絡み、ソ連、中国、アメリカが介入して泥沼化した戦争です。
アメリカは毒ガス兵器や虐殺事件(ソンミ村)などを起こし、近代兵器の粋を尽くして、数少ないライフル銃とワナや竹やりで闘うベトコン(南ベトナム民族解放戦線)を攻め続けましたが、反対に多数の犠牲者をだし敗戦撤退を余儀無くされました。
アメリカが歴史上唯一敗戦を体験した戦争です。(もうすぐイラク戦争がそうなるでしょう)
ちなみに、ベトナムを攻撃する米軍機は、沖縄をはじめとした日本の基地から飛び立っていました。
ベトナム戦争といえば、米軍が撒いた枯葉剤の影響で、下半身がつながった結合双生児として産まれた双子の兄弟、ベトちゃんドクちゃんのことは誰もが知っている悲惨な出来事です。
現在ドクちゃんは結婚しましたが、ベトちゃんは重い脳障害のために、今でも寝たきりの状態が続いています。

この写真は「裸で逃げまどう少女」という有名な写真で、ベトナム戦争中の報道写真として、ピューリッツァー賞を受賞した作品です。写真の少女は、現在も健在だと伝えられています。
小田実さんは、2004年、大江健三郎氏、加藤周一氏等とともに「九条の会」を立ち上げました。その発足記念公演会でこう語りました。
「かつて『戦争を知らない子どもたち』という歌がありました。よく流行ったのだけれども、あれは何を言いたい歌なのかよく分からなかった。その『戦争を知らない子どもたち』の世代が、いま『戦争を知らない大人たち』になったと思うのです。今政治をやっているのは、だいたい、首相以下『戦争を知らない大人たち』です。その恐さを感じます」(岩波ブックレット 憲法九条、いまこそ旬)
もし憲法九条がなかったら、日本の自衛隊はきっと米軍と一緒にベトナムで戦争をしていて、たくさんの犠牲者を出していたことでしょう。
小田さんはきっと、自民、民主、公明の改憲派が諦めるまで、頑張りたかったことでしょう。御冥福を祈ります。
◆あなたの原稿を本にします◆
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同感ですね。わたしも(団塊)そうだが。
若造の軍隊ゴッコ、殺人ごっこが世界中に蔓延しています。
今年の夏はマスメディアによる戦争関連の番組が増えているようです。
安倍政権による軍国主義化や、戦後60年を過ぎ、戦争の記憶が風化することに対する危機感が、人々の間に広まっているためだと思います。
「バカな政府はバカな国民がつくっている」と、とあるルポライターがのたまっていました。言い方は強烈ですが、正解。