ひまわり博士のウンチク

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JVJAから日本人人質事件に対する声明

2015年01月21日 | ニュース

(YouTubeより)

 20日、衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。2名の日本人ジャーナリストがイスラム国によって拘束され、72時間以内に2億ドル(約236億円)を払わなければ2人を殺すと脅しているという。
 2億ドルは17日に安倍総理がエジプトで表明した、日本政府による「イスラム国」対策支援と同額であることから、「イスラム国」側は日本の宣戦布告と見なしての行動と考えられる。しかし、安倍政権が身代金を支払う可能性はほとんどないと言っていい。
 日本政府は「イスラム国」側との接触手段がないので、「出来ることは少ない」と述べているが、これは見殺しにすることのいい訳だろう。どのような方法をとっても交渉するべきだ。このままでは、2人が殺害される可能性が極めて高い。
 
 昨日、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会( JVJA )は拘束されていると見られるジャーナリスト、後藤健二さんと湯川遥菜さんの即時解放を求め、以下のような声明を発表した。
 体制寄りの大手マスメディアの報道だけでなく、出来る限り多くの人に事実を知ってもらうため、ここに転載します。
 
 
IS( イスラム国) による日本人人質事件に対する声明

 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会( JVJA )はフォトジャーナリストやビデオジャーナリストの団体です。
 私たちは、イラク戦争とその後の占領下において、米英軍を中心とした有志連合軍による攻撃がイラク市民にどんな災禍をもたらされたかを取材、テレビや新聞などで報道してきました。また、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への無差別攻撃に晒された市民を取材し、テレビや新聞等で報道してきました。私たちの報道はけっしてアメリカやイスラエルの攻撃を肯定するものではありませんでした。
 私たちジャーナリストが、現場での取材を通して理解した戦争下の住民の現実だったからです。同時に、報道を通して私たちはあらゆる暴力を批判してきました。日本政府の戦争政策に対しても批判してきました。イスラエルのガザ攻撃に対しても、私たちは強く批判してきました。私たちは現在の安倍政権の戦争を肯定するかのような政策を、報道を通して批判しています。
  現在、IS(イスラム国)が拘束している後藤健二さんには、取材の現場で会ったことがあります。後藤健二さんもまた、イラクやシリアでの戦火に苦しむ市民の現状をテレビやインターネットで報道してきました数少ないジャーナリストです。湯川遥菜さんは、私たちと直接の接点はありませんでしたが、報道によると個人的な興味から「イスラム国」に入ったようです。
 私たちは、暴力では問題の解決にならないというジャーナリズムの原則に立ちます。武力では何も解決されない現実を取材をとおして見てきたからです。「交渉」を含むコミュニケーションによって問題解決の道が見つかると信じます。
 私たちは、IS(イスラム国)の皆さんに呼びかけます。日本人の後藤さんと湯川さんの2人を殺さないように呼びかけます。人の命は他の何ものにも代え難いものです。イスラムの教えは、何よりも平和を尊ぶことだと理解しています。
 私たちは、同時に日本政府にも呼びかけます。あらゆる中東地域への軍事的な介入に日本政府が加担することなく、反対し、外交的手段によって解決する道を選ぶようにと。
 
2015年1月20日
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)