monologue
夜明けに向けて
 



わたしの父は滋賀の田舎で育ったせいか生き物好きだった。戦後、京都市内の長屋式の家に住んだ時、シェパードを飼った。ジョンやメリーと名付けられたシェパードは庭がないので走り回れずかわいそうだった。社会にも個人にもすこし余裕ができた頃、京都の郊外に家を建てた時、狭いながらも庭を作れたのでピレニアン・マウンテン・ドッグという犬種の真っ白な子犬を買ってきた。その犬はセントバーナード並の体格に成長した。近所の人が子供を連れて見に来たりしたものだった。父は文鳥やセキセイインコなどを買ってきた。慣らして手乗りにするのはわたしの役目だった。文鳥よりセキセイインコのほうが人に慣れやすく口まねもうまく面白かった。生まれた時から育てると家族同然になる。いつも呼ばれるセイタロウという自分の名前を覚えて、わたしたちの食事中に肩にとまってセイタロウ、セイタロウ、と耳元で言ってご飯粒をねだった。好きな時に籠に入り呼ぶと遊びに来た。自由に人間との生活を楽しんでいるようだった。
fumio


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