monologue
夜明けに向けて
 



「私は何処に着くのでしょう」
      そう、娘の舟は月の影を回り、そしてヴィナスの夢を見る。
      大いなる「海王」と、大いなる「眠りの王」との
      楕円の舞踏会では、「火の王」と「木の王」とが密談を交わす。
      ひとり外れて「土の王」が嘆く。
      「水の王」は娘のために舟を出す。

ARION「赤い月の形としての物語 」より

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この部分はシュメール文明発祥の地メソポタミア地方の宇宙創世叙事詩エヌマ・エリシュ(Enuma elish)を踏まえている。
エヌマは時間(When)で、エリシュは上(high(天)ではと言う意味で「絶頂の時」などとも訳される。
そのあらましは「混沌の中に、水の男神太陽アプス(Apsu)と、海の雌竜、原地球ティアマト(Tiamat)と、生命の源、水星ムンム(Mummu)が存在した。
アプスとティアマトから、火星ラフム(Lahmu)と金星ラハム(Lahamu)土星アンシャール(Anshar)と木星キシャール(Kishar)天上神天王星アヌとその息子の知恵の神海王星エアが誕生した。アヌやエアたちの喧騒に耐えかねてアプスは子供たちを滅ぼそうとしたのでエアがそれに気づいてアプスを眠らせムンムも動けなくした。今度はティアマトが二番目の夫キングウ(Qingu)と一緒になって戦いに臨む。エアは敗れアヌも敗れた。それでエアはダムキナとマルドゥクを生む。アンシャールはマルドゥクにティアマト平定を命じ、マルドゥクはティアマトの身体を裂き天と地に分けた。かれは太陽、月、惑星を造り、時を十二分割して、ティアマトの身体からバビロニアの国を造り主神となった。エアはキングウの血で奴隷となる人間を造った。」というもの。
2016年に公開された新海誠監督による長編アニメーション映画『君の名は』は1200年周期彗星接近ストーリーでその彗星の名前がティアマト彗星だった。ティアマトという名前はバビロニアでは海の雌竜、原地球(天と地)を意味した。バビロンは「神の門」を意味する。バベルの塔のバベルでもある。生命の源、水星ムンム(Mummu)が出す舟は水没から救う生命の舟ということである。
fumio

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