サム・クックを射殺したと申し出たハシエンダモーテル( Hacienda Motel)管理人バーサ・フランクリン(Bertha Franklin)に対する審問場面でかの女は表情を隠すためか、濃いサングラスをかけて審問に臨んでいた。審問官はバーサ・フランクリンがマフィアの実行犯に脅され金をつかまされて身代わりに名乗り出ただけで実際にやっていないとわかっていたが儀式のように型通りの質問を一応してみせた。以下にコピーしておく。
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How far was Mr.Cooke away from you when you started shooting?"
「あなたが撃ち始めた時、クック氏はどれほど離れていましたか」
フランクリン
"Not too far, the close range."「あまり離れていません。近距離よ」
審問者
"How many times did you fire with the pistol? "
「何度ピストルで撃ちましたか」
フランクリン
"Tree times."「三度」
審問者
"Did you know Mr. Cooke struck?"
「クック氏に当たったとあなたはわかりましたか」
フランクリン
"Yes, so, he said, Lady you shot me."
「はい、それでかれは、奥さん、あなたはぼくを撃った、と言いましたから」
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一発目が当たったのならそれで充分なのに三度もピストルを撃つのもおかしいし、撃たれて死ぬ間際の相手が「奥さん、あなたはぼくを撃った、」と確認のように言うのも不自然過ぎる。バーサ・フランクリンは初めから正当防衛にする約束だったので身代わりになったようだ。このようにしてサム・クック射殺事件は闇に封じられたのだった。そしてこのアメリカの闇を象徴するストーリーは「ボビー・フラー怪死事件」へとドラマではなく現実の世界で進んで行ったのである。
fumio
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