monologue
夜明けに向けて
 



「この市杵島比売命の本名は別名の 狭依(さより)だったんですか。ご隠居さん」
「依りというのは継承者を示す印なんだ。オオクニヌシの本妻はスセリヒメとして知られているが本名が日狭女(ヒサメ)で継承者としての名前が依(ヨリ)を持った須世理(スヨリ)媛だった。ヒミコの継承者はね、本名市杵嶋比賣(イチキシマヒメ)で継承者名が狭依(サヨリ)だったんだね。須世理(スヨリ)は神霊、須佐之男(スサノヲ)の須が依り、サヨリはスサノヲのサが依り憑くという意味なのさ。」

「ということはヒミコの本名は市杵嶋のほうに継がれているんですね。」
「ところで、宗像三女神を祭っていると思われている厳島神社の祭神は延喜式神名帳では一座で、本来は一座だった。祭神は伊都伎島神なんだが厳気だろうね。ほらヒミコのあのオクリナ(撞賢木厳之御魂天疎向津媛命)には厳御魂が入っていたね。なんだかつながってきたような気がするだろう。六さん」
「やっと、おいらにもはっきり見えてきました。姉ふたりは十字と卍を重ねた名前をもらい継承者はヒミコの一の気を継いだんだ。これがヒミコの本名だった。」
「ヒミコはヒフミの一の巫女であり神子、御子だったのさ。発音は市杵(一気)でわかるように『いち』だったんだろうさ」

「ご隠居さん、それは謎解きの一番いいところでおいらのセリフのはずなんですから先に言わないでくださいよ。せっかくここまできたのに…」
fumio

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