Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

奥駈道(吉野山→山上ヶ岳) (詳細)

2018年05月30日 | 山歩き

5月21日(月)     天気=曇り後晴れ

05:28吉野下千本駐車場→ 06:09上千本バス停→ 06:40~46吉永分水神社→ 07:10金峰神社→ 07:30青根ヶ峰→ 08:44~57四寸岩山→ 09:30林道出合→ 09:45二蔵宿小屋→ 10:37~49大天井ヶ岳→ 11:20~26五番関→ 12:30~51洞辻茶屋→ 13:24~27西ノ覗き→ 13:30山上ヶ岳(龍泉寺宿坊)

 

 ヒッソリと静まり返った下千本駐車場を未明に出発する。閑散とした吉野山の門前町を進み、以前泊った事がある温泉旅館「さこ屋」の前を通過すると、荘厳な佇まいの国宝「金峯山寺蔵王堂」が建っている。

 下千本駐車場(遠くに今日登る山々が見える)

 国宝「金峯山寺蔵王堂」

 街中の道は幾度か分岐するが、道案内板がしっかり設置されているのでそれ程迷う事はない。とある民家の軒先にオジサンが居たので、お願いして飲料水を補給させてもらう。オジサンは「うちの水は奥の神社から頂いているさかい美味いよ。」と自慢していた。

 上千本辺りから吉野山方面

 上千本辺りから急坂となり、吉野水分神社下に最後の自販機があったのでジュースを購入する。更に登って行くと奥千本のバス停で、吉野駅から此処までバスが運行している。奥千本の上に吉野山最奥の神社、金峯神社が在り、この先から山道らしい道となる。

 吉野水分神社

 吉野山最奥、金峯山寺

 金峯神社から20分程で最初の奥駈道最初のピーク、青根ヶ峰8558m)に着くが、狭い山頂は樹林に覆われ何の展望も無かった。青根ヶ峰から林道へ降り、しばらく進むと四寸岩山への分岐が右手にあった。

 青根ケ峰への分岐

 青根ケ峰山頂

 ミニモノレールのレール沿いに緩くなったりきつくなったりしながら樹林帯の中を登山道が意外と長く続く。青根ヶ峰から約1時間余で四寸岩山(1235m)に着く。山頂からは西~南面に掛けて展望があり、これから登る山上ヶ岳方面山々が望めた。又山頂の片隅には白骨化した鹿の遺体が寂しくあった。

 ミニモノレール沿いの四寸岩山登山道

 四寸岩山山頂から大天井ケ岳方面

 四寸岩山から緩やかに降って行くと足摺茶屋という小さな小屋があり、その少し先で舗装された林道へ降立った。林道を少し進むと大天井ヶ岳への登山道が右に分岐しており、その登山道を緩やかに進むと二蔵宿という小屋が建っていた。立派な造りで室内も綺麗だ。地元有志のご尽力で快適な環境が保たれているのだろう。

 林道から大天井ケ岳への登山道分岐

 二蔵宿小屋

 二蔵宿を過ぎると道は急登になった。喘ぎながら登って行くと小さな祠が建っており、少し展望が開いた。祠の先もしばらく急登が続き、尾根の一角に達すると山頂への分岐があり、分岐を50m程進むと大天井ヶ岳(1439m)だった。

 大天井ケ岳山頂手前の祠(幕営好適地)

 大天井ケ岳

 樹林が多く山頂からの展望はそれ程でも無かった。山頂で一息ついた後、五番関に向って急坂を降る。せっかく稼いだ標高がみるみる下がり、大天井ヶ岳から約30分程の降りで五番関に着いた。ここには「女人結界門」と書かれた門が建ち、ここから先へ女性が立入る事は禁じられている。

 大天井ケ岳から五番関への降り

 五番関の女人結界門

 反対方向から若い男性が降って来て「この先の登りで一部急なトラバースがあるから危険ですよ。」とアドバイスをくれた。不安な思いで登り始めたが言われた程危険な道では無かったのでホッと安堵した。

 若者が注意してくれたトラバース道

 小天上ヶ岳のピークに達すると、後は快適な尾根道が続く。途中脇に大鍋がぶら下がった祠があったが、地図上の「鍋カツギ行者」という場所のようだ。山上ヶ岳へ向かう尾根は緩やかで、心が弾む快適な道だ。樹間越しに山上ヶ岳の山頂も見え小さく宿坊も確認できた。

 山上ケ岳へ向かう登山道

 山上ケ岳の山頂部と小さく宿坊が見えた。

 鎖場を通過して降って行くと、長屋風の洞辻茶屋が建っていた。洞川集落から茶屋を経由して山上ヶ岳へは立派な参拝路が通じており、実を言えば私も50年以上前に当時の職場の人達とこの参拝路を登った事がある。あれから半世紀が過ぎた今、こうして元気に山を歩けるのはありがたい限りだ。

 洞辻茶屋(今日は営業していなかった)

 洞川からの参拝路合流地点(吉野からここまで24キロと記されている)

 洞辻茶屋の先にも少し小ぶりな陀羅尼助茶屋があり、その先で道が分岐し、右は階段状の平成新道、左は旧道の奥駈道で勿論旧道を進む。鎖場のある急登だが整備された道なので歩き易い。

 旧道(左)と新道(右)の分岐点

 旧道の鎖場

 山上ヶ岳の山頂付近は急峻な岩場が幾つも聳えている。鐘掛岩の横を通り、やがて「西の覗き」の岩場上に着いた。ここは修行の場で、腰にロープを巻き付けて、高さ数百mの断崖の上から上半身を投げ出され、修験者から誓い事を強要させられる荒業がある。私も50年以上前にその荒業を体験し、ある意味懐かしい場所である。

 遠くに宿坊が見えた。

 西の覗き断崖上

 西の覗きから僅かな距離で、今宵の宿泊先「龍泉寺宿坊」に到着した。宿坊はとても大きな建物で、近在にも立派な宿坊が3軒程建っている。今宵は私意外に宿泊者はいないとの事で、部屋へ案内されると持参した缶ビールで一人祝杯をあげる。

 龍泉寺宿坊の建物

 昨日ここを予約した時、「ビールは売ってるんですか?」と応対した人に訊ねたら「修行の場なので飲みたいのなら持参して下さい。」と言われたのだが、宿坊の人に確認すると「ビールは売ってますよ。」との事だったので少なからず嬉しかった。

 午後の時間に余裕があったので、ビールを飲み終えると約300m程離れた山上ヶ岳の山頂へ散歩がてら向かった。山頂直下の広場には「大峰山寺」の寺院があり、厳かな雰囲気を醸し出している。広場の西側を少し登ると山上ヶ岳の山頂草原で、たおやかな実に美しい所でしばし風景に見惚れた。

 大峰山寺手前の門

 大峰山寺

 山頂草原から八経山方面

 山上ケ岳の最高地点

 山頂から宿坊へ戻ると、「お風呂が沸いてますよ。」と声を掛けられた。まさかお風呂に入れるとは思わず、石鹸は使えないけれど汚れ疲れた身体が暖まり疲れが一変に吹っ飛んだ。

夕食は広い食堂でたった一人静かに食べた。質素な精進料理であったが、齢老いた胃には油っぽい料理よりも口に合い、冷たいビールとコラボして私にとっては宮廷料理に劣らぬ贅沢な味であった。

 宿坊の精進料理(夕食)

部屋へ戻り窓の外を眺めると、奈良盆地の夜景が煌煌と宝石のように輝いて見えた。時折鹿の鳴き声が響く山上の静かな宿で、グッスリと眠る事できた。

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