山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

好きな2つの動画

2018-12-28 | 妙に知(明日)の日記
好きな2つの動画
暇なときに見る動画は「世界!ニッポン行きたい人応援団」と「私が日本に住む理由」の2つです。外国人をとおして、日本のよさがひしひしと伝わってくるからです。テレビはほとんど観ません。パソコンでの視聴は、メモを取りながら見られるので便利です。2つの動画には、メモをとりたくなるウンチク場面が必ずあります。
山本藤光2018.12.28

二の舞

2018-12-27 | 知育タンスの引き出し
二の舞
「二の舞」という言葉があります。では「一の舞」はあるのでしょうか。もちろん、ありません。『二の舞』について、語源を調べてみました。

――舞楽で、「安摩(あま)の舞」の次にそれをまねて舞う滑稽な舞のこと。これが、人のまねをする意に用いられるようになり、「二の舞を演じる」、つまり失敗をまねる愚行の意に用いられるようになったもの。(日本語語源辞典)
山本藤光2018.03.09

338:可武威・美影の挙式

2018-12-27 | 小説「町おこしの賦」
338:可武威・美影の挙式
――『町おこしの賦』第11部・駅前商店街の変身
 七月の多和平には、ハワイの海を思わせるような青空が広がっていた。挙式を終えた可武威と美影は神父に伴われて、クラーク像の横にできた愛の鐘まで歩いた。ウエディングセンターの入口から愛の鐘まで、自然に長い人の帯ができた。
 新郎と新婦はその間を、ゆっくりとした歩調で進む。「おめでとう」の声が、人垣から飛んだ。恭二と詩織、勇太とミユは、人垣の先頭に立っている。
可武威と美影は、愛の鐘の下に立って、鎖を振った、涼やかな音が、平原に響いた。拍手がわいた。いたらずらをしているように、微風が新婦のベールを揺すっている。

可武威と美影の、披露宴がはじまった。新郎新婦の前のテーブルに、恭二・詩織夫妻と勇太・ミユ夫妻だけの、特別席が用意されていた。恭二は勇太と肩を並べ、壇上の二人を目を細めて眺めていた。
「勇太、おれとおまえは、親戚になった」
 ビールを注ぎ、恭二は勇太の耳元でささやいた。
勇太の目には、涙の玉が浮かんでいる。
「おれも恭二も、人生の下りの二になったというわけだ」
 勇太の長男・元気も長女・麗も結婚して家を出ている。勇太は子どもたちが巣立った状態を、下りの二と表現している。夫婦二人だけの生活に、戻ったのである。
 主賓のあいさつに、宮瀬幸史郎が立った。若年性痴呆症になったことがあるが、進行は奇跡的に止まっている。

「可武威くん、美影さん、ご結婚おめでとうございます。私の大親友である瀬口恭二・詩織夫妻、猪熊勇太・ミユ夫妻のお子さま同士が、めでたく結婚されました。お二人のご両親には、私のようなたくさんの悪友がおります。まずはお二人で、口うるさい悪友対策を、なさることをお勧めします。
 新郎可武威くんは、藤野温泉ホテルの社長として、標茶町温泉郷の会長として、標茶町を牽引してくれています。新婦美影さんは、標茶町観光協会でいつも新鮮なアイデアを、提供してくださっています。二人のご縁は、標高新聞部だと聞いております。
 しかしそれより以前に、美影さんが生まれた瞬間から、お二人は赤い糸で結ばれていたのです。私が新郎新婦のお父さんとお酒を飲んでいたとき、可武威くんと美影さんの結婚を夢見る、二人のおっさんがいたのです」

壇上で可武威と美影は、顔を見合わせて笑っている。まるで手品の種明かしをするような、幸史郎のあいさつは続いた。
「本日お二人の晴れの舞台である、標茶町ウエディングセンターは、瀬口恭二標茶町長と猪熊勇太観光局長のコンビが建設したものです。まるでこの日のために、お二人のお父さんが用意したに舞台に違いありません」
 場内に笑いが渦巻いた。

 会場内が暗くなり、二人の成長と出会いと交際のストーリーが、ドラマ仕立てで流された。ウサギを抱きかかえている可武威がいて、若い恭二と詩織が笑っていた。恭二の涙腺は、決壊しはじめた。可武威と美影が、クラーク像の前で、ポーズを決めている写真があった。そして美影の顔が、アップになった。
「お父さん、お母さん、長い間育ててくださってありがとうございます。私は……」
 恭二の隣りから、勇太のしゃくり上げる声が聞こえた。

080cut:それグッドアイデアだよ

2018-12-27 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
080cut:それグッドアイデアだよ
――13scene:同行
影野小枝 同行を終えた漆原さんと山之内さんは、帯広の酒屋で乾杯をしています。
山之内 4日間、ありがとうございました。何だか、自分がみじめになりました。
漆原 どうして?
山之内 まともな同行なんて、してもらったことがなかったので、漆原さんを通してみじめな自分が見えました。本当にありがとうございます。
漆原 同行するのは、上司の務めだぜ。感謝する必要はないよ。
山之内 石川のメールにも書いてあったのですが、一人では見えないものが見えてくる。同行してもらうって、すごいことなのだと思いました。
漆原 何が見えた?
山之内 優秀MRだった人は、違うということかな。「先生、なぜBを使っていただけないのですか」なんて、ぼくでは絶対にできない質問ですよ。正直いって、最初のときはビビリました。
漆原 山之内はドクターに対して、遠慮し過ぎだよ。あの質問でドクターが怒ったら、謝ればいい。別に、殺されはしないのだから。
山之内 漆原さんが初対面のドクターに、こんな質問をしたと知らせたら、みんなはどうするだろうか。マネをするには、勇気がいりますけど。
漆原 山之内、それ、グッドアイデアだよ。きみからみんなに、発信してみてよ。あなたは先生に、「なぜBを使っていただけないのですか」と質問できますか。これをメンバーに問いかけてみてくれないか?
山之内 おそらく、イエスはいないと思います。でもさっそくメーリング・リストを作って、一斉発信してみます。
漆原 いいな、すぐにやってみよう。せっかくメーリング・リストができるのなら、チームのメールマガジンでも作ってみないか?
山之内 メルマガですか。帯広の連中は孤独だから、喜ぶかもしれませんね。
漆原 よし、即実行。きみが編集長だ。私も、投稿させてもらうから。
山之内 編集長ですか。いいですね。メルマガのタイトルですけど、『ビリーの挑戦』はどうですか?
影野小枝 漆原さんは、山之内さんも巻きこんだようですね。メルマガ『ビリーの挑戦』は、チームにどんな効果をもたらすのでしょう。楽しみですね。それにしてもサブリーダーの石川さんと山之内さんは、4日間連続同行で何かをつかんだみたいですね。

084:マイルストーンを設置する

2018-12-27 | 銀塾・知だらけの学習塾
084:マイルストーンを設置する
――第6講義:発信する
あまりにも遠いゴールを、ひたすら目指すのは疲れます。マラソンでもそうですが、必ずゴールの手前にいくつものマイルストーンを設置しなければなりません。10年後に完成を目指すライフワークなら、1年刻みにマイルストーンをおきます。

単なる通過点なのですが、そこに到達すると達成感が生まれます。達成感は、貴重なエネルギー資源となります。新たな気持ちで継続させてくれる、いわゆる背中を押すエキスがあるのです。

それゆえ、生涯にわたって極める何かがあっても、1年、四半期、1ヶ月、1週間、毎日などにそれをおき換えることが大切になります。これをやらなければ、日常にゆとりが生まれません。充実した日常の創出は、こうした計画の巧みさからしか生まれません。

目標を設定し、それをクリアしたら、味わえるのが達成感です。会社は営業マンに、年間販売目標を与えます。もちろん営業マンはそれを達成した場合に、年に1度の達成感が味わえます。営業リーダー時代、塾長はこれを月間目標に改めました。達成感をより多く体験してもらうためです。そして最終的に、部下には毎朝「その日の成果を思い描かせる」に到るわけです。

達成感には、その人を次なるステージに引き上げてくれる力があります。やったという満足感が、経験知となるからです。

塾生には、年や月単位の目標は不要です。塾には「ブルーレット作戦」を提唱しました。1週間単位での目標設定です。そのうえで、毎日の設計も怠らないようにと説明しました。

今週中にこの本を読破する。月曜日にそうしたゴールを設定し、日曜日に時間をやりくりして何とか読み終える。ただ漫然と行う読書との違いは、「達成感」として現れます。たかが読書と考えるなかれ。大切なことは、繰り返し実感する「達成感」なのです。

達成感は、自然に自分を一段上のレベルに引き上げてくれます。ゴールを設定する意味は、ここにあるのです。

『東京百年物語』(岩波文庫)全3巻が完結

2018-12-27 | のほほんのほんの本
『東京百年物語』(岩波文庫)全3巻が完結
ロバート・キャンベルら編集の『東京百年物語』(岩波文庫)全3巻が完結しました。第3巻は戦争と平和を扱った、東京が舞台の小説です。すばらしい作品が入っていて、読みごたえがありそうです。この作品集は店頭で確認する必要があります。ほとんどが、著名作家の未読作品でした。久しぶりに買ってよかったのシリーズです。
山本藤光2018.12.27

ドルトニズム

2018-12-27 | 知育タンスの引き出し
ドルトニズム
ドルトニズムという言葉をご存知でしょうか。「広辞苑」にはこう書いてあります。
「John dalton:イギリス人の化学者。自分の色覚が異常であるため、その研究をしたので、色覚異常のことをドルトニズムという」

このことが『4千万人を殺したインフルエンザ』(ピート・ディヴィス著・文藝春秋。山本藤光の文庫で読む500+α紹介作)のなかにありました。

「ドルトンは医師ではなかったのですが、緑と赤の区別がつかないという自分の異常に興味を持ちました。なぜそうした目の異常が生じたのか、さまざまな理屈を考えた末に、最後には自分の場合、眼球の硝子体液が青色に違いないという結論に落ち着くのです。持ち前の好奇心をあの世まで失わなかったドルトンは、そのことが気になるあまり、1844年に死去する以前に、かかりつけの医師に、自分が死んだら眼球を検査してほしいと依頼しておきました。

ドルトニズムとは単なる医学用語ではなく、すさまじい好奇心を表す単語なのです。私はそう理解しています。
山本藤光2018.12.27

国産メンマ

2018-12-27 | 妙に知(明日)の日記
国産メンマ
昨日の朝刊に、「国産メンマ」の話が掲載されていました。メンマはラーメンに欠かせない具材です。すべてが中国産か台湾産で、国産はないと思っていました。手入れのされていない竹林から若い竹を集め、それにさまざまな加工をするとのことです。食の安全を思うと、歓迎すべきニュースでした。それにしても、メンマはラーメンの具材にしかならないのでしょうか。あの食感は好きです。国産化により用途は増えそうですね。
山本藤光2018.12.27

鳴かず飛ばず

2018-12-26 | 知育タンスの引き出し
鳴かず飛ばず
「鳴かず飛ばず」の意味は、ほとんどの人がご存知だと思います。では、その語源は? 私は「歌を忘れたカナリア」の歌に関連しているのかな、と思って語源辞典を引きました。

――三年も享楽にふけっていた荘王(そうおう)を諫(いさ)めて言ったことば「三年飛ばず鳴かず、これ何の鳥ぞや」から。のち、荘王は国政に専念したという。

 何の鳥?との質問の回答はありません。ネットでは、ダチョウ説も存在しています。また『史記』にも同じものがありますが、こちらは少しニュアンスが違います。

――(史記楚世家「三年飛ばず鳴かず」による)将来の活躍にそなえて何もしないでじっと機会を待っているさま、(『広辞苑第7版』)

 こちらの解釈は、知らない人が多いと思います。2月は本日で終わりです。3月になれば、春は目の前ですね。
山本藤光2018.02.28

337:明里一家

2018-12-26 | 小説「町おこしの賦」
337:明里一家
――『町おこしの賦』第11部・駅前商店街の変身
 可武威と美影の結婚式を明日に控え、東京から長女・明里一家が里帰りしている。静かだった瀬口家は、保育園のようにかしましい。
明里の旦那・近藤泰弘は、一橋大学院経営学部で講師をしている。現在三十三歳と、明里よりも四つ年上である。二人は大学院の、野中郁次郎ゼミで知り合った。部屋中を走り回っているのは、長女・友依(ゆい)四歳と長男・豪(ごう)二歳である。

「お父さんお母さんに続いて、可武威までが標高新聞に縁結びされたというわけね」
 明里は、ウーロン茶を飲んでいる。ジャックダニエルの水割りの氷を鳴らして、可武威は照れたように答えた。
「おれと美影が結婚するように仕向けたのは、おやじたちの陰謀だったのかもしれない。新聞部というよりも、生まれたときから、そんな筋書きに乗せられていたような気がする」
「おい、おい。おれと勇太が、陰で操っていたっていうのかい?」

 詩織は、孫とぬり絵をはじめた。明里は旦那の水割りを作りながら、遠い日を思い出している。
「これから、お墓参りに行きたい」
 明里はそう主張し、「みんなお酒を飲んでいるから、運転は私だよね」と笑った。結局、明里一家と恭二と詩織がつき合うことになった。
標茶霊園は、郊外の高台にある。瀬口家の墓で手を合わせ、展望台に立った。そこからは、標茶町が一望できる。

「お父さん、あの高い建物が生涯学習センターだよね。そしてうちのホテルも見える」
 明里は二人の子どもを交互に抱き上げ、「あそこがおじいちゃんとおばあちゃんのホテルだよ」と教えている。
「標茶はくるたびに、広がっているような気がします」
 近藤は眼下に展開する町並みを見て、大きく伸びをしながらいった。恭二は近藤の話を聞き、胸のなかの翔和学園標茶大学の構想を、ふくらませていた。夜間だけではなく、昼間も学ぶことができる大学への夢は、現実になろうとしている。