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著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

山本藤光『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)

2018-03-13 | 書評「や行」の国内著者
山本藤光『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)

求められるのは、仕事と日常を磨くワンランク上の人間力だ!(内容紹介より)

◎対(つい)をつなぐ

本日は書評家・山本藤光が、自著を紹介することになります。山本藤光『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)は、10冊目にあたり、これまでの著作の集大成のつもりでいます。

著者は北海道の標茶町で、受験勉強とは無縁の高校生活を送りました。その後大学へ進学しますが、4年間を「北海寮」で過ごしています。ピンは東大からキリは中大まで、北海道出身の大学生120名が共同生活をしていました。北海寮は現在個室になり、60名ほどの定員になっています。ここで徹底的に「人間力」が鍛えられました。

「人間力」とは、「対(つい)をつなぐ」力です。そのために最も大切なことが「共感力」となります。明るく前向きな場をいかに作るかの能力が人間力の根幹なのです。

最悪なのは、仕事バリバリ家でゴロゴロなる世界です。これは仕事と家庭という対(つい)がつながっていない状態を表しています。著者は対(つい)の概念を、きわめて大切だと考えています。夫と妻。親と子。上司と部下。平日と休日。自宅と近所。大人と子ども。男と女。たくさんの対が存在していますが、これらを的確につなぐのが人生の極意です。

◎業績格差は人災である

就職先は日本ロシュという外資系製薬会社でした。本人は営業職を希望したのですが、配属先は営業とは真逆の総務部購買課でした。著者は毎年の自己申告のたびに、営業への配置転換を求めました。

そして10年目に、それが実現しました。購買課長のタイトルを投げ捨て、1MR(営業マン)として33歳のおじさんは新人MRといっしょに研修を受けました。まったく売れませんでした。ところが趣味の世界が仕事に活きることを知りました。読書好きの医師はたくさんいます。おじさんMRは、休日返上で図書館通いをし、あらゆる新聞や雑誌の書評欄をコピーしました。それを編集して、希望する医師に配布したのです。

仕事バリバリ家でゴロゴロ。それ以外の日常は、さんたんたるものでした。営業リーダー、支店長と遅ればせながら昇進しました。北海道の責任者になったときは、全国で最下位の支店でした。それを1年でトップにしました。用いたのは「人間力」だけでした。部下を支えてくれる、家族にフォーカスをあてたのです。この体験は、シナリオ『最下位営業チームがトップになった・ビリーの挑戦』(医薬経済社、初出2006年)として発表しています。

業績格差はまぎれもない人災である。著者の山本藤光はそう断言しています。上司が替われば、どん底チームでも飛躍的に伸ばすことができます。上司はいかに部下のモチベーションを上げるのか。そのすべてが『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』で紹介されています。

◎部下の家族にフォーカスをあてる

営業企画部長として、全社の営業組織を担当しました。このときに、全営業マンを集めた全国販売会議にメスをいれました。受賞者の家族を、丸ごと招待する表彰式に変えたのです。夫の晴れ姿を見て、奥さんたちは号泣していました。懇親会では幼いこどもたちが社長に抱かれて、記念写真を撮っていました。これが著者の「人間力」の原点です。

その後、著者はSSTプロジェクトを立ち上げます。暗黙知に特化した伝説のプロジェクトとして、雑誌に大きくとりあげられました。詳細については、『暗黙知の共有化が売る力を伸ばす・日本ロシュのSSTプロジェクト』(プレジデント社、初出2001年)をお読みください。

本書は、「日本ナレッジマネジメント学会研究奨励賞」を受賞しています。また本書は、小説にもなっています。山本藤光『同行指導の現場』(プレジデント社、初出2008年)は、苛酷なプロジェクトとそれを支える家族のものがたりです。現役の会社員が丸ごと会社のノウハウを書いてしまった、と話題にもなりました。

仕事バリバリ、家でゴロゴロがますますひどくなっていました。そんなある日、尊敬していた先輩と出会いました。定年後のその人は、まるで空気の抜けた風船みたいでした。ああなってはいけない。著者は一念発起しました。午後9時就寝午前3時起床をスタートさせました。50歳を目前にしたときです。本を読み、思いをつづりつづけました。それが現在へとつながっています。

突然日本ロシュは、中外製薬と合併することになりました。著者は34年間勤めた会社を辞めることにしました。営業リーダーのレベルアップに特化した、コンサル会社・株式会社コラボプランを立ち上げました。現在は若い人に譲渡して、著者はそこの顧問をしています。

◎ああなってはいけない

著者が一念発起してからのことをまとめたのが、山本藤光『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)となります。帯にはこんな文章があります。

人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
経験のある人には智恵がある
智恵のある人には人間力がある

本書はこれらの言葉の意味を、豊富な実例をベースにわかりやくく説明しています。現役のサラリーマンはもとより、著者と同年齢のシルバー世代へも「知」を磨くことの大切さを訴えています。

もっと日常を磨こう。そうすれば仕事に大きなプラスが現れる。あるいは充実した人生となる。最悪なのは仕事バリバリ家でゴロゴロ。著者は自戒をこめて、熱くそう断言します。

ぜひ読んでください。山本藤光が推薦する本に、はずれはありません。ぜひアマゾンでご注文ください。一般書店には並んでいませんので。
(山本藤光:2016.07.25初稿、2018.03.13改稿)

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