山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

034:生徒会長選挙

2019-05-27 | 小説「町おこしの賦」
034:生徒会長選挙
六月になった。高校生活に慣れてきたとき、生徒会長選挙の候補者募集が行われた。例年なら学校側が推薦する誰かが、生徒会長に就任する。しかし今年ばかりは違った。
何と一年生の菅谷幸史郎(こうしろう)が、名乗りを上げたのである。対立候補は学校側推薦の二年生・越川翔だった。彼は標茶町町長・越川常太郎の孫である。

学校側は菅谷幸史郎に、立候補の撤回を求めた。一年生では校内のことが、わからない。だから立候補を、取り下げるように。表向きは、そのように説得された。しかし菅谷には、学校側の底意が見えていた。彼は頑として、説得を聞き入れなかった。

昼休みの恭二のクラスにも、生徒会長候補の菅谷は、たすきをかけてやってきた。
「生徒会長に立候補しました、菅谷幸史郎です。四年ばかり、土木作業員をやっていました。理由は高校へ進学する、お金がなかったからです。やっと資金が貯まったので、標茶高校を受験しました。無試験でしたが、合格しました。私は標茶中学の卒業生ですが、日本一雄大な標茶高校に憧れていました。
今回生徒会長に立候補させていただいたのは、標茶高校を名実ともに日本一の高校にしたいからです。そのためには、勉強もクラブ活動も、そして何より標茶高校のみなさんが、町の活性化に貢献できるような学園を目指さなければなりません。どうか、みなさんの清き一票を、おっさん、菅谷幸史郎へとお願いします。私なら、できます」

 大きな拍手が、巻き起こった。恭二は彩乃さんのことを、思い出していた。働きながら、定時制高校に通っている。彼女も、兄も、何と強い自分を持っているのだろう。
菅谷は標茶町の活性化のために、といった。恭二の心のなかで、また新たなうねりが起こった。標茶町のために、自分ができる何か。まだ磨りガラス越しにしか見えないが、おぼろげながらやるべきことが、見えてきたような気がする。

095cut:第1期SSTアカデミー終了

2019-05-27 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
095cut:第1期SSTアカデミー終了
――Scene15:R製薬の危機
影野小枝 漆原さんと新谷さんは、いつもの居酒屋にいます。遅れて桑田さんと岸本裕美さんも合流しました。
新谷 まずは第1期SSTアカデミー終了おめでとう。第2期の人選は漆原部長の案通りでいいよ。それにしてもご苦労だったね。桑田くんは、高知まで駆けつけたようだね。
桑田 富樫さんがMRと口論をして、あげくに山の中に置いてきぼりになりました。ネチネチやったので、MRはキレてしまったようです。それに鈴木さんが、県立病院でドクターを怒らせてしまって、支店長が謝罪に行ったり……とにかく、高坂所長も怒って、アカデミーは引き揚げろという話になりました。
新谷 山の中で降ろされた富樫は、どうしたんだい?
桑田 やってられないって、休暇願を出して帰ってしまったんです。河野支店長が自宅まで行って、説得しました。結局、高知に戻ったのですが、ケンカしたMRとは同行できないままでした。
漆原 富樫もそうだけど、鈴木もダメだね。
岸本 第1期終了後のデータが出ています。やっぱり富樫さんと鈴木さんのところは、MRの意識・行動レベルが下がっています。大方はSST終了時のように、MRの意識・行動レベルは上がっています。
新谷 SSTアカデミーのメンバーには、メンタルのトレーニングが必要かもしれない。MRやドクターを怒らせるなんて、最悪だよな。
漆原 MRを育てる、ということ自体が理解できないんだろう。この2人には部下を任せられない。
新谷 大宮は4人の営業リーダーが勉強会を開催したりと、相乗効果が上がった。岐阜もお互いに刺激し合って、大いにプラス効果が出ている。高知は佐藤が引っ張ってくれたが、富樫と鈴木を一緒にしたのがまずかった。

『芥川賞ぜんぶ読む』出た

2019-05-27 | 妙に知(明日)の日記
『芥川賞ぜんぶ読む』出た
■トランプ米大統領が国賓として来日。相撲を桟敷席で観戦し、米大統領杯を優勝力士に授与した。SPの警備はものものしく、なんだか別次元の相撲になっていた。相撲取りはえらい迷惑を受けたようだ。やはり桟敷席ではなく、貴賓席での観戦がふさわしかったと感じた。■『芥川賞ぜんぶ読む』(宝島社)の広告が新聞に掲載されていた。これは大学生の時の私の夢。ずいぶん読んだはずだが、途中で頓挫した。本書はそんな挫折人の慰めになるかもしれない。本日買い求める予定。
山本藤光2019.05.27