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著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

074cut:チーム総合部門第1位

2019-05-05 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
074cut:チーム総合部門第1位
――Scene10:全国営業会議
影野小枝 いよいよ最後の表彰です。チーム総合部門の第1位が発表になります。耳を澄ませてみましょう。
アナウンス それでは発表します。チーム総合部門の第1位は(間、ファンファーレ)札幌支店第1課山崎正太郎さんです。
影野小枝 磯貝さんが所属していたチームが、第1位になりました。表彰状とトロフィーが渡されました。磯貝さんがマイクを突き出しています。
磯貝 山崎さん、おめでとうございす。ひと言、…………。
影野小枝 磯貝さんのマイクが、揺れています。質問が途絶えてしまいました。山崎さんは磯貝さんの肩を抱いて、自らマイクを握りました。
山崎 ありがとうございます。磯貝くんの気持ちは痛いほどよくわかります。彼は私の元部下です。彼の抜けた穴を埋めるのは大変でしたが、チームのみんなが一丸となってカバーしました。だから今日あるのは、磯貝くんのお陰なんです。
磯貝(マイクを取り戻して)すみません、取り乱してしまいました。山崎さん、奥さんとめぐみさんを壇上に呼んでください。そして札幌支店第1課のみなさんも、どうぞ壇上にお集まりください。奥さんの喜びの言葉をおうかがいしてから、社長と一緒に記念写真を撮ります。
奥さん ありがとうございます。チームのみなさんが、がんばってくれたからだと思います。
影野小枝 新谷営業部長がマイクを握っています。写真撮影を終えたメンバーは、まだ壇上にいます。
新谷 山崎めぐみさんは今は高校生ですが、小学校1年生のときに書いた作文を、私も漆原部長も宝物にしています。会社のおじさんたちに遊んでもらって楽しかった、と書かれた作文です。私はそれを読んだとき、そうだ、仕事は家族のためにしているんだと覚りました。本日の「R製薬リボン・アワード」は、山崎めぐみさんに教えられて生まれた表彰式です。会場のみなさん、めぐみさんに盛大な拍手をお願いします。そして山崎ファミリーとその部下たちにも、もういちど拍手をお願いします。みなさん、おめでとうございます。
アナウンス これにて第1回R製薬リボン・アワードは終了です。15分間の休憩をはさんで、懇親会へと移らせていただきます。

012:標高新聞の特別号

2019-05-05 | 小説「町おこしの賦」
012:標高新聞の特別号
高校受験日は、間近に迫っていた。恭二たちの受験塾は、相変わらず続いている。しかし標茶高校普通科の入試はない、というのがもっぱらの定説になっていた。完全に定員割れ状態らしい。
 そんな折りに恭二のもとに、標高新聞が送られてきた。タブロイド版で、「標茶高校志願者特別号」と名打ってある。
噴水のある正面玄関の写真のほかに、牛舎やサイロや乳製品加工工場の写真が添えられていた。校長のあいさつがあり、あとは部活の紹介が延々と続く。野球部の写真には、長田監督のメッセージが重ねられている。
――野球を通じて、健康な体と心をはぐくみましょう。
ケッと思う。まるで陳腐なカタログを、読んでいるような気になる。恭二はうさんくさそうに、新聞を放り投げる。高校へ入って、おれは何をすべきなのだろうか。ふとそんな考えが、頭をよぎる。

翌日の下校路、恭二と詩織は肩を並べて歩いている。詩織は恭二の右側を歩きながら、自分よりも二十センチばかり背の高い恭二を見上げる。
「標高新聞きていたでしょう。恭二、部活決めたの? あのね、理佐のお姉さんが新聞部にいるんだって。私、新聞部へ入ろうかと思う」
 あんなカタログみたいなものを作って、何がおもしろい。恭二はそういってみたかったが、その言葉を飲みこむ。

「ちょっと、お茶して行こうか」
喫茶むらさきの前で立ち止まり、恭二は詩織の背中を押す。中へ入ると、タバコの煙が充満していた。あわてて出ようとしたとき、中から呼び止められた。
「瀬口じゃないか。かわいいスケと一緒か」
 兄の恭一の同級生で、標茶高校へ通っている前島豊だった。学生服の胸をはだけ、堂々とタバコを吸っている。幼いころは、兄と一緒に遊んだ仲間である。

無視して店を出ようとすると、背後から抱きとめられた。左肩に激痛が走った。振りほどこうとした瞬間、右のひじが前島にあたった。彼はもんどり打って倒れ、恭二もその上に後ろ向きに乗った。
 仲間の学生たちは、椅子を蹴り倒して迫ってきた。恭二は詩織を外に押しやり、彼らと対峙した。背筋に、冷たいものが走った。相手は三人。
「止めなさい、前島くんたち。未成年がタバコを吸っているって、通報するよ」
 前島くんという固有名詞をつけたのが、効果的だったようだ。秋山可穂の母・昭子の仲裁で、難は逃れた。恭二は会釈をして、外に出た。

「怪我はない?」
 詩織は、涙目になっている。
「うん、秋山さんのお母さん、すごいね。助かったよ」
 二人は肩を寄せ合い、並んで歩く。あんなに親しく遊んでいた前島は、どんな理由でぐれてしまったのだろうか。自暴自棄にさせた何かが、きっとあるはずだと思う。そして、おれは野球ができなくなっても、ぐれていないもんね、と自らをたたえる。
野球のかわりに、おれには詩織がいる。口のなかにキャンデーを放りこんだときみたいに、恭二の心に甘いものが広がる。

「恭二、きて!」
 写真店の前で、手を引っ張られる。詩織はショーウインドーに飾られた写真を指差し、「これ七歳のときの私」と照れたように告げた。ピンクの着物に、赤い帯を締めている。おかっぱ頭だった。
「このころから、かわいかったのよ」
 離れていた手を結び直し、詩織は屈託なく笑っている。詩織はどんなきっかけで、黄色が好きになったのだろうか。詩織はどんな本を読み、どんな音楽を聴いているのだろうか。詩織について、もっとたくさんのことを知りたい。
ピンクの着物の詩織は今と同じ大きな瞳で、恭二に微笑みかけていた。左の頬にはちゃんと、マッチの頭のような小さなえくぼもあった。恭二は幼い写真を、スマホで撮った。

国の威信をかけて毅然と行動に

2019-05-05 | 妙に知(明日)の日記
国の威信をかけて毅然と行動に
■ブックオフの20%引きセールに行ってきました。何と店内にはプロとみられるせどり屋がいっぱい。しかも支払いレジと買い取りレジは長蛇の列。書棚を眺めることもできないほどの混雑でした。この状態なら、前日に買うべき本を品定めしておくべきでした。■好きと嫌いが女偏なのはなぜせしょうか。好は「女」+「子」で若い女性を意味しています。ここから「このましい」「すき」「よい」という意味が生まれました。「嫌い」の「兼」は「飽きる」「倦む」という意味で、「きらい」の意味が生まれました(『「ことばの選び方」大全』青春出版社をまとめました)■日韓関係がきな臭くなっています。ネットで「韓国」と入力すると、おびただしい数の情報がとびでてきます。どれも韓国の非道をののしるものばかりです。なぜ日本政府は報復しないのでしょうか。いつまで一方的な嘘を「傾聴」しているのでしょうか。国の威信をかけて、毅然と行動にうつすべきときです。
山本藤光2019.05.05