山本藤光の文庫で読む500+α

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『ヘタな人生論より万葉集』は平易な「万葉集」の入門書

2019-05-02 | のほほんのほんの本
『ヘタな人生論より万葉集』は平易な「万葉集」の入門書
吉村誠『ヘタな人生論より万葉集』(河出書房新社)は、万葉集からどんな人生論を読み解くのか、に興味があり手にしました。少し押しつけがましい点もありました。しかし解説はわかりやすいものです。「万葉集」の入門書としては手軽かもしれません。なお本書は文庫化されています。
山本藤光2019.05.02

071cut:山崎課長の部下たち

2019-05-02 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
071cut:山崎課長の部下たち
――Scene10:全国営業会議
影野小枝 山崎さんの部下のうち、4人が居酒屋で祝杯をあげています。
菊地 R製薬リボン・アワードの招待状がきたということは、チーム成績は全国で10位以内ということだ。
藤井 磯貝さんが抜けた穴は大きかったけど、逆にそれが危機感となって、山崎課長に火をつけた。
西嶋 山崎さんには頭が下がる。仕事よりも家族という評判だったけど、家庭が崩壊してしまうんじゃないかと、心配するほどおれたちと同行してくれた。
山村「朝書き日報」は、極めて有効でした。磯貝の置き土産は効果抜群でしたよ。
菊地 それにしても、全国のトップクラスをごぼう抜きしたのだから、すごいことだ。おれたちも捨てたものじゃない。
西嶋 ベビーシッターもいるから、安心してこどもを連れて行け、といわれた。
山村 うちの両親のところに案内が届いて、びっくりしてました。
藤井 3課の太田MRもベスト10入りで、MR表彰を受けるようだ。
菊地 かみさんを連れて行けるのは誇りだよ。
藤井 みんなで力をあわせて、最高の舞台を呼び寄せた。
山村 山崎さん、泣きますかね?
西嶋 山村が一番先に泣くと思うけど。
影野小枝 晴れやかですね。みんながんばったんですね。

からめて

2019-05-02 | 知育タンスの引き出し
からめて
「からめて」は、「搦め手から批判する」などと用いられます。漢字では「搦め手」と書きます。この語源は、城やとりでの裏門。陣地などの後ろ側にあります。ちなみに城の正門は「大手」といいます。
――転じて、物事の裏側や相手の目の行き届かない部分の意味になった。(日本語語源辞典)
山本藤光2019.05.02

009:ハートのストラップ

2019-05-02 | 小説「町おこしの賦」
009:ハートのストラップ
標茶から釧路までは、電車で一時間ほどかかる。ボックス席には、瀬口恭二と藤野詩織が並んでいる。向かいの席には、南川理佐が座っている。電車が動き出し、床下からきしんだ音が響いた。高校受験の参考書を、買いに行く約束になっていた。 
恭二が詩織と一緒に、釧路へ行くのは初めてだった。並んで座っていると、詩織の臀部(でんぶ)の温もりが伝わってくる。それだけで恭二の心は、電車が鉄路を刻む音に共鳴してくる。

電車は茅沼駅に停まる。猪熊勇太が乗りこんできた。「おはよう」とあいさつを交わし、勇太は理佐の隣りに腰を下ろす。外は冷えているとみえて、勇太の頬は真っ赤になっている。
「寒かったよ、理佐ちゃん。抱いて温めておくれ」
「いやね、勇太くん。通路を走ってくれば、温かくなるわよ」
じゃれあっている二人を見て、詩織はうらやましく思う。どうも私たちは、感情を素直に発露できない。電車は、塘路駅に停まった。乗降客はいない。

「あれが寺田徹の家」
 勇太が指差す先には、粗末な平屋と赤いサイロが見える。
「寺田は農業科を、受験するんだって」
 転校して間もない理佐には、寺田のことはわからない。寺田は中学二年のときに、詩織にラブレターを渡している。恭二は誇らしげな詩織から、それを見せてもらった。きみのことが大好きです。そう書かれた文章を見て、恭二は初めて詩織が好きだったことに気がつく。そして自分の胸のうちを告げたのだった。
――おれの方が何倍も、きみのことが好きだよ。

 それが二人の、交際のはじまりだった。甘酸っぱい思い出が、よみがえってきた。恭二はそれを、嚥下(えんげ)してからいった。
「農業科の受験倍率は高いらしいから、あいつ猛勉強しているのと違うか?」
「あいつは大丈夫だよ。寺田が落ちたら、誰も残らない」

 釧路駅からは、二組に別れた。昼にフィッシャーマンズワーフで待ち合わせることを決めて、恭二と詩織は駅ビル内へ入る。スマートフォンのストラップを、プレゼントし合う約束になっていた。
恭二は詩織の好きな、黄色を選ぶことに決めていた。あれこれ品定めをしているとき、詩織は恭二に一本のストラップを見せた。黄色いバンドに、真っ赤なハートが二つついている。
「これ、恭二のストラップに決めた」
「ハートなんて、恥ずかしいよ」
「これにしなさい」
 
ベンチに座って、買ったばかりのストラップを、スマートフォンに結んだ。
「恭二、すてきよ」
 赤いハートがついたスマートフォンをのぞいて、詩織は快活に笑った。店を出ると、肌を刺すような寒風に迎えられた。釧路の風には、魚の匂いが混じっている。
信号が青に変わるのを待っていると、詩織は突然立ち位置を右に移した。そして詩織は、恭二の手を握った。つないだ手をリズミカルに揺すりながら、詩織はいった。
「恭二、私がなぜ並ぶ位置を変えたのか、気がついている?」
「わからない」
「私はいつも、恭二の左側を歩いていたんだ。でも今日から、右側にすることにしたの。だからつながっているのは、私の左手と恭二の右手」
 詩織の左手に、力が加わった。恭二もそれを、強く握り返す。恭二は詩織の、細やかな心配りをうれしく思う。おれの左腕は、もうボールを投げられない。恭二はポケットのストラップを、左手でまさぐる。

 受験参考書を買い求め、フィッシャーマンズワーフへ着くと、勇太と理佐は並んでベンチに座っていた。勇太の上気した表情を認めて、恭二は二人の初デートが順調だったことを悟る。
「幣舞(ぬさまい)橋をバックに、写真を撮ろう」
 恭二は二人を促して、ハートのついたストラップを、ポケットから引き抜く。理佐はこぼれるような笑顔を、カメラに向けている。肩までの長い髪は、風に揺れている。
二組の写真撮影がすむのを待ち構えていたかのように、その場は中国語の集団に飲みこまれてしまった。

「おれたち何だか、よそ者みたいだな」
 勇太は中国人のグループに一瞥をくれ、理佐の背中に手を回した。詩織は目ざとくその様子を眺め、またうらやましく思った。
 カモメの群れが、釧路川の上を舞っている。遠くから、引きずるような汽笛が聞こえた。それは四人の新たなステージへの、出発の合図だったのかもしれない。

新天皇ご即位

2019-05-02 | 妙に知(明日)の日記
新天皇ご即位
平成天皇と皇后は象徴としての道をみごとに究められました。国民に寄り添う姿は、どれも感動的でした。新しい令和の天皇と皇后は、その背中を見て学ばれていました。きっとさらに尊敬に値する責務を果たすことでしょう。何よりも新皇后の笑顔に安堵させられました。少しずつ回復の兆しが見えています。新天皇のご即位を心から祝い、遠くから見守りつづけたいと思います。
山本藤光2019.05.02