超多忙だった土曜日の話をしておかねばならないのだが、その前に、この忌々しい出来事だけは絶対にホットなうちに書き記しておかねばなるまい。
実は今年還暦を迎える歳になっても、どうしても馴染めない場所があるのだ。
鬼門ともいうべき場所。
あろうことかベッドに横たわり、口をあんぐりと開け
首には赤ちゃんでもあるまいに涎掛けまでかけられて、
綺麗なオネーサンから、あら恥ずかし、「のどちんこ」まで見られてしまうという、とんでもない悪魔の場所。
お仕置きか拷問の道具としか思えない、「ビーン」という金属の小刻みな回転音を聞いただけで、いいおじさんの私ですら、すくんでしまうんである。
あの「デイアジョン」のマスターに似た、ニヒルな歯医者は口元を歪めながら、ニヤリと笑い、金属の針の先で神経の先っちょを「ツクンツクン」と突っつきながら、
「ここ痛いねぇ、どうね。そう痛いの・・・。じゃーここは・・・どう???」
そのうち口の中に唾液がオーバーフローを起こして苦しいのなんのってありゃしない・・・・。
「動いたらダメ、そのままじっと我慢しなさい。」
看護婦さんまでが、私を押さえつけて身動きができないようにするんである。
税金もちゃんと納めているし、何にも悪いことはしとらんのに、どうしてこんな目に遭わねばならんのだ・・・・。不条理だ・・・・。
憤慨している私が居る。
ここは昼下がりの歯医者さん。
私がこの世で一番嫌いなところ・・・。
先週は目の回るくらいの忙しさで、すっかり疲れてしまい、甘いものを体が欲しがったことから、
氷砂糖をボリボリと噛みまくったのが良くなかったのか、もしくは迫り来る加齢の影のせいなのか、
情けないことに、歯が痛んでしまったのだった。
食事をするのにも事欠く始末で、仕方なく、限りなく仕方なく歯医者さんの門を叩いたんである。
麻酔を歯茎に打たれ、弛緩する唇
いかりや長介さんみたいになったような感覚
ああーっ、嫌だ、嫌だ。
どうしてこの世に歯医者なる職業があるものか。
脂汗を額に浮かべながら、握り拳をギュッと結んで耐えていると、
やっと治療が終わった。
「尾形さん、また明後日お会いしましょう・・・・。」だと
発狂寸前の状態で、受付でお金を支払うと、逃げるように歯科医院を後にしたんである。
もう思い出したくもないのだ。
あのキーンという音とともに訪れる
歯のキュンとする痛みが何とも言えず
心躍ってしまうのです♪
歯医者に通うために
歯の管理をおろそかにしているつもりはないのですが
産後傷んでしまった歯が時折故障してしまうのです。
歯科医に対する信頼があってこその治療を楽しむ余裕なんだと思います。
風竿さまもしっかり治して貰って下さいね。
蚊の羽音みまがうドリル迫り着て 我は日ノ本のおのこたるらむ