テレビドラマは殆ど観ない私だが、ひょんなことからこんなドラマを観ることに・・・
二日ほど前から、体調を崩していたこともあって、
どうしても外せないお取引先様の還暦祝いを、ウーロン茶だけでお付き合いさせてもらい、
私にしては珍しく、早々に帰宅してたのである。
呑めや歌えや、踊れやの大宴会を、その場の雰囲気を壊さないように相槌を打ちながら、
実は頭が痛く、微熱の続く中をお付き合いするのには、ちょっと根性が要るんである。
三時間余の宴会が一本締めでお開きになると、二次会のお誘いを何とか振り払い、来た道を自分の車で帰った。
部屋を暖かくして、パジャマに着替えて寝転んでテレビをつけたら、丁度この番組が始まっていた。
「とんび」という新番組であった。
幼い子供を庇い、彼の母親は落ちてきた荷物の下敷きになって、亡くなってしまうんである。
母の死というものが観念的にも理解できない子供に、「お母さんは違う家に行ったのだ」と教え諭す。
「だからお母さんの新しい家を捜してね・・・・」と希望を持たす。
ダメ、ダメ、ダメ・・・こんなストーリーはもうダメなのだ。
もう理屈じゃない世界が私には内包されている。
観ていて、自分が可哀想なくらいに涙が溢れて仕方が無い。
どうしても、幼い頃の自分と重なって見てしまうからなのだ。
もう五十年以上も前の出来事なのに・・・、なんである。
遠い遠い半世紀も前のことなのだが、実は母が亡くなって丁度一週間目に母は私の夢枕の中に突然現れた。
「どこに行ってたの・・・。」
問いかける私に母は笑いながら、
「ター坊、ゴメンね。ちょっと違う家に行ってたとよ・・・。」
と答えたのであった。
そしてよく見ると母の左手が無いのだ・・・。包帯に覆われている
「母ちゃん、手はどうしたと・・・・・。」
「うん、片手をあげたらター坊とこに帰っていいと言われたと。」
もうあの両手で抱きしめてもらえんとか・・・と思いつつ
残酷のようだが、それでも母が帰ってきて幼い私は、理屈ぬきに喜んだものであった。
そんなまさに夢のような夢の話
でもしかし、その夜母は確かに私の枕元に立っていたのであろう。
いい歳をしてみっともない話なのだが、鮮明な記憶は拭いさりようもない。
さていつも思うのだけれど、私は、マザーコンプレックスなのであろうか・・・・。