昔は・・・・
と言っても、もう55年も前の話だけど・・・・。
こんなに連日35度36度が当たり前のようには暑くはなかった。
せいぜい30度を超える日が月に2回位のものだったろう。
昼はカンカン照りで、入道雲が湧き起こり、夕方になると突然の夕立ちが降って、夜は涼しくなったものだった。
夕方になると玄関先に打ち水をして、夜は蚊帳を吊って家中開けっぱなしで寝たものだ。
悪がきにとって、夏休みは天国だった。
単位で1級河川の「中川」に水泳に行くと、大勢の小中学生がバシャバシャと泳いでいた。
その頃はプールなんて無く、みんな池や川で水泳を愉しんだものだが、水の事故なんてただの1件もなかった。
その頃、何故あんな遠くまで行ったのかよくは覚えていないのだが、おそらく釣りに行ったのだろうか。
自宅から2キロぐらい離れた石木津川まで歩いて行き、
夕立ちに遭い、ずぶ濡れになったので、屋根が半分破れたような古い倉庫に近所の悪ガキ共と緊急避難したことがあった。
時折轟きわたる雷鳴に耳を塞ぎながら1時間ほどそこに居た。
みんな、腹が減ったなあと呟きながら雨を見上げていた。
当時は皆等しくお腹をすかせていたように思う。
雨に打たれた身体が、ガタガタと震えるほどに寒くて仕方が無かった。
もう50年以上も前のことだから時効成立の話
やがて雨が止むと目の前の畑にたくさんのトウモロコシがなっていたのを発見、満足におやつなど食べれなかった時代。
3人でやっとの思いで2本を盗ると、大急ぎで家に帰り、見よう見まねでそれを塩で茹でた。
今思えば写真の「モチとうきび」であった。
2本を仲良く3人で食べたのだが、それは、この世のものと思えぬくらいに旨かった思い出がある。
その証拠に、みんな芯の中までチューチューと吸った。
現代の若い皆さんはスイートコーンなどという、甘くてズブズブしたのをトウモロコシと仰るのだが。
日本に古くからあるのは、この「とうきび」という食物。
ちょっと固いが、モチモチして媚を売らない旨さなんである。
タネが紫色に変色していくのが、宝石のように綺麗だ。
そして毎年夏休みの時期になると、少しだが地域内の道の駅などに出回るので、私はいつも神経を尖らせてマーケットリサーチしているのだ。
兎に角、悪魔的な旨さなのだが、これを食べるときいつもあの少年の頃の夕立と雷鳴が甦る。
食とは五感の記憶と共に存在するのかも知れない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます