土曜日にNHKの番組を見て以来、頭の中で「笹井宏之」という名前がグルグルと回り続けている。
強烈な天才が隣町に住んでいたのだ。
日本の短歌界に一様に衝撃が走り、若くしてその才能を嘱望されていた。
彼は青春の殆どを極めて辛い闘病生活に明け暮れ、とりわけ高校一年の夏からは寝たきり状態で寝返りも打てない日も多くあったという。強度の自律神経失調症で随分と苦しんだのだ。
心療内科への通院と自宅で寝たきりの日々の中で、実にみずみずしい躍動感溢れる短歌という詩を書き連ねたのである。
その合間にはジャズ風の音楽も作曲している。
彼の音楽はSASA NOTEというページから選んでお聞き下さい。ここをクリック
「生命の回廊」という凄い曲があります。「さくら」もいいです。
音楽も凄い才能が底知れず眠っていたのである。お二人とも武雄高校の音楽部だったというご両親の影響であろうか。
お父さんもサックスプレイヤーで現在は茶碗で音階を操る碗琴の名手なのだ
故笹井宏之君、本名は筒井宏之さん
そしてインターネットを通じて日本全国の同好の士と短歌を通じてのやりとりをしている。
自分ほどの厳しい境遇の人はいないのに、悩みをそっと聞いてあげて、さりげなく、お仕着せにならず、励ましている。
おじいちやんや、おばあちゃんが喜ぶからといって佐賀新聞の読者の文芸欄に短歌を投稿しつづけた。優しい青年であった。
そのおばあちゃんのお墓参りで歌ったという作品
冬ばってん「浜辺の唄」ば吹くけんねばあちゃんいつもうたひよつたろ
彼は佐賀新聞読者文芸欄の年間最優秀賞を受賞してもいる。
しかも三度も・・・。
葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある
筒井宏之
惜しい、本当に惜しい才能が隣町から消えて逝った無念、役割は演じきったのか
尾形風竿
やがて携帯短歌を通じて彼の存在はクチコミ的に日本中に知れ渡っていった。
今をときめく現代前衛短歌の重鎮たちが一斉に賛美と賞賛を顕にした。
彼の処女作「人さらい」は昨年の短歌歌集10選に選ばれている。
そして極めて残念なのは、今年の1月24日インフルエンザによる心臓麻痺で忽然と逝ってしまったのである。わずか26歳だという。
こんな才能の塊が・・・・・・なんである
実は、昨夜もご紹介したのだが、・・・・・
「あなたの歌に励まされ~歌人・筒井宏之 こころの交流~」
アンコール 10/3(土) 8:00~8:43 (BShi 全国) 是非観て下さい。彼が短い生涯をどう丁寧に生きたのかがうまく表現してある番組です。
空と陸のつっかい棒を蹴飛ばしてあらゆるひとのこころをゆるす
笹井宏之
なお表紙の写真はその笹井宏之氏です。お父様のご了解を得て掲載致しました。
彼のブログ「些細」はこちら・・・・今はお父様が引き継いでいらっしゃいます。
近いうちに彼のお墓の前に額づきたいと思います。