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政策金利の引き上げをw

2008年10月22日 19時23分24秒 | Weblog
 初めに世界中で住宅バブルが発生し崩壊した根本的原因は日本銀行の量的緩和政策にある。日本円での資金調達が無金利「リスク・フリー」で行えるようになったために過剰な貸出が可能になり、住宅バブルは膨張した。バブルの発生を抑えるために世界中の中央銀行が政策金利の引き上げを継続的に行っていたが、日本銀行がゼロ金利政策を進めたために、欧米の中央銀行の努力は無為になったのだ。世界金融危機の責任は日本銀行と政策金利の引き上げに反対した政治家にある。国境を超え統合が進む金融市場を安定化させるためには、中央銀行どうしは金融政策で協調姿勢をとる必要があった。
 そして、海外への日本円の流出が過剰な円安を演出し、輸出企業の営業利益が会計上増加したことで、昨年夏に日本の株価も異常な高値を付けた。過剰な円安に踊らされたFX投資家、過剰な株高に踊らされた短期の投機家、債権の異常な低金利に苦しんだ長期投資家、、、中央銀行の無策の犠牲者は多い。

 現状、世界同時不況が心配される中、欧米の中央銀行は政策金利の引き下げを通じて、資金の流動性を上げようとしている。日本銀行もこの政策に協調して、相乗りすべきだ。ただ、多くの中央銀行の政策金利が1%を超えている以上、日本銀行にとって「世界の金融政策に協調する」とは、公定歩合を引き上げる事を意味する。0.5%しかない公定歩合を世界水準に合わせるために、10~15か月以内に1%まで引き上げる必要がある。

 そしてこの「公定歩合の引き上げ」は世界経済にだけでなく、日本経済にとってもプラスの影響を与える。金利が上がることによって、個人消費は拡大し、企業の投資は効率化し、銀行の貸し渋りも解消する。日本経済の回復のためには金利の引き上げが求められる。

 まず、単純なところでは預金金利の引き上げで、個人の可処分所得が増え個人消費が刺激される。インフレで消費意欲が減退するのは預金金利が十分に高くないためだ。安定的な金利収入がある家計では、インフレによって消費量を減らすことはない。金利を引き上げることで個人消費は活性化される。

 そして、企業が投資を利益率の高い事業に絞るために、過剰競争が解消され、競争力のある企業が適切な利益を手に入れられるようになる。撤退した企業にとっては、古い事業を捨てることによって、新しい事業に投資できる人員・資金的余力をでき、新しい投資で産業の高度化が加速する可能性がある。内部留保が巨大な優良日本企業には、金利の引き上げによる悪影響は少ない。それどころか、「現金預金からの金利収入」が上昇することで、資金繰りが豊かになる。全体で見れば、金利を引き上げても、大企業の投資意欲は減退しない。

 また、資金の「死蔵リスク」が高まるため、銀行は戦略的に貸出を拡大させるだろう。低金利下では、現金を金庫の中に眠らせているだけでも、収益性はそれほど悪化しない。そのため、あえてリスクを取って中小企業への貸し出しをする必要性が無いのだ。「貸し渋り」の要因は、日本銀行の低金利政策にある。周知の通り、日本銀行が「ゼロ金利・量的緩和政策解除」に動くにつれて、銀行は生き残りをかけて戦略的に貸し出しを増やしてきた。現状、「貸し渋り」が再発し始めたのは、「景気が悪化している」のが直接的要因ではなく、「日本銀行が政策金利を引きげる可能性が低下した」のが原因だ。公定歩合が引き上げられることによって、貸し渋りは解消し、中小企業の資金繰りは急速に回復するために、設備投資額が増加する。金利が上がれば、投資意欲が活発化する。

 日本経済の成長のためには金利を1%以上に引き上げることが求められる。


ひとつの大きな誤解は「金利の引き上げが、銀行間の資金流動性を低下させる」と言うものがある(のだろうか?)。
 政策金利の高さと、資金の流動性の間には関連性はない。欧米の金融政策を見てもらえばわかるが、政策金利自体が1%を超えていても、直接介入で市場に「現金」を注入すれば流動性を確保できる。
 政策金利の引き上げと、量的緩和政策を同時進行させることで、日本経済は素早く回復する。

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