21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

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第2の敗戦・日本人の底力

2011年03月28日 13時15分05秒 | Weblog
「日本民族の優秀さ」って言い方がある。私は信じていない。だいたい、「日本民族」って何だ?

日露戦争の勝因は3つぐらいある。

①主戦場までの距離の問題
モスクワから旅順までよりも、東京から旅順までのほうが近い。
バルチック艦隊の母港(東ヨーロッパ)から日本海は遠い。日本海は東郷艦隊の庭

②兵隊の士気・年齢の問題
ロシア兵の中心は、奴隷・少数民族だった。←死ぬだけ損
日本兵の多くは、武士にあこがれていた農民だった。←実力を見せるチャンス
ロシア兵のトップは、高齢化が進んでいて老害がひどかった。
日本兵の指揮官は若く、近代戦を理解していた。

③政略的勝利
ロシア陸軍は、負けたふりをしながら「満州の内陸部」まで日本兵をおびき寄せる作戦だった。←ロシア軍の常勝手段
日本陸軍は朝鮮半島の付け根から離れず、「勝ったように見える」状態で、ポーツマスの日露講和条約を締結した。


「日本人の優秀さ」と言うよりも、ロシア宮廷の腐敗具合の問題だった。
それが、「神国」・「神風」だの、なんだのと神格化された結果として、太平洋戦争での敗戦がある。


戦後の高度経済成長の要因も主に3つある。

①朝鮮戦争特需
設備投資が増加した。国民貯蓄が増加した。

②人口増加
総消費が増加した。総労働力が増加した。それに伴い、設備投資を促した。

③教育水準の高度化、高卒の一般化、大卒者数の増加
理工系の出身者が企業で働くようになり、製品の質があがった。
製造過程の見直しで、生産性が増加した。


中国での高度経済成長が続いているのを見れば分かる通り、「日本人の優秀さ」とか関係なく、条件がそろえば経済成長は加速する。


震災を受けて、「第2の敗戦」だと言われているが、その後に戦後復興並の経済成長が起きる可能性はナイ。
以前は、バブルの崩壊を第2の敗戦という表現であらわしていたが、その後にあるのは「失われた20年」であって、経済成長ではない。

経済成長につながる要素は、今の日本にはない。
高い技術を持った技術者は多いが、彼らには日本で研究開発を進める理由が無い。専門性の高い知識者層も厚いが、彼らにも日本に残る理由が無い。
太平洋戦争直後、白人以外の人が資産の所有することは、ほとんどの国で認められていなかった。しかし、人種差別の激しかった1980年以前と違い、アジア人(日本人も含む)が活躍できる現場が、現代なら世界中にある。




第2次世界大戦では、敗戦後にGHQが「公職追放」を通して、日本国内の「老害」を一掃してくれた。
「バブル崩壊」では老害の追放が進まなかったために、「失われた20年」が生れたのではないかと思う。

これからも「老害の追放」は進みそうにない。


「日本人の優秀さ」に依存することなく、「自分自身の優秀さ」を頼んで生きていこう。

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