21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

GM病

2008年12月22日 15時58分23秒 | Weblog
900万台以上の車を売り上げながらも損失を出し続けたGMに準えて、高い売り上げを誇りつつ利益を出せない企業を「GM病」に罹っていると言います。

トヨタ自動車がGM病にかかりました。21兆5000億円近く売り上げながら、1500億円の赤字がでるそうです。販売台数で言うと700万台以上です。ホンダやNissan・マツダは500万台程度の販売でも巨額な利益を出せるので、トヨタ自動車の経営効率の悪さが目立ちます。GM病です。

 利用者を保護するために価格を低く抑えて赤字を出した「東京電力」や挑戦的な新規事業からの赤字が全体の業績を引っ張った「ソニー」とは話が違います。

 トヨタ自動車の場合、扱っている商品は生活必需品じゃありません。公共交通機関の発達・事業所の立地条件の変化で、社員の車保有率も下がっているでしょう。その上に、価格帯も消費者の生活を応援するもの、消費者の立場に立ったものとは思えません。狭い日本でLexusの大型車を売る市場はどこにあるのですか?
 その上、本田技研工業が、自動車からバイク・船用エンジンに飛行機にまで事業を多角化させて、全体としての収益性を保っているのに比べ、トヨタ自動車は自動車事業に依存している。
 自動車事業に投資を集中させ、専門性を高めて利益を出し続けられるのなら問題はない。はずだったが、専門部門だったはずの自動車事業で利益が出なくなってしまった。しかも、トヨタホームにせよ、トヨタファイナンスにせよ、自動車事業に依存した収益体制で、本業を支えるものではない。ソニー銀行は顧客満足度で上位を保ち、収益性が悪化している親会社を支えている。一方、トヨタ・ファイナンスは、親会社が新車販売不振で営業赤字に陥ると同時に、運用している中古車販売の不振で一緒に赤字に陥っている。
 新車販売が不振でも、、、、新車販売が不振だからこそ、中古車が滞留して在庫にならないようなファイナンス技術が必要が必要なのですが。本社が不振の時に一緒に業績不振に陥るような子会社は不必要だったんじゃ? 下請け企業じゃあるまいしw
 自動車販売の不振を生き残ったGMの金融部門の方がよっぽど使えるでしょう。まぁ結果論からいえば、住宅バブルの崩壊で損失を出してしまったわけですがw
 トヨタ・ホームこそ、住宅減税などの追い風を受けつつ、本業を支えるだけの収益を確保できないのは、なぜなのでしょう?

 「円高が業績の悪化に拍車をかけた」と言いますが、円高水準は過去最高を記録するほどではありません。売上高の縮小幅は小さいので、赤字の主因は円高では無いです。 高い販売高を誇りつつ利益が出ないのは、GM病です。経営効率が悪化し、過剰投資に陥ったのが主因です。GMは赤字決算を出したとき、新車開発投資額を削りつつ、社用ジェットの売却をためらいました。
 GM病にかかっている企業は、「必要な投資」と「不必要な出費」が見分けられないのです。

 将来的な市場拡大が見こめ、製造コストが安い発展途上国でこそ生産台数を増やし、市場が縮小しつつあり、製造コストも高い北米・日本では生産工場を廃止する必要があったわけです。「トヨタ九州」って何ですか?