昭和史をライフワークとする半藤氏の裏話的昭和史の決定版。
「こころ」 誌 Vol.20~28(2014年8月~2015年12月)連載、598頁の大作。
太い縦糸にA面的史実を置き、それを補完する数々のB面的挿話を横糸に、激動の昭和(元年~20年)を詳述した、言わば「戦争の昭和20年史」と呼ぶべき質の高い読みものに仕上がっている。
特に、軍部による巧みな誘導によって、如何に一億一心の好戦的世論が形成されて行ったかが手に取るようにわかる。
国民は昭和6年以来、15年にも及ぶ中国における戦争など一向に気遣うことなく、軍需景気を謳歌しつつ戦争準備に加担して行った。
今、安倍政権の下、当時に似た状況になりつつあることを憂う。