アーバンライフの愉しみ

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面白い~原田マハ著「暗幕のゲルニカ」

2016年05月27日 | 読書三昧

「ピカソの名画”ゲルニカ”をめぐる陰謀と希望~圧巻の国際謀略アートサスペンス」との挙げ句が踊るマハさんの最新作。小説新潮13年7月~15年8月連載、357ページの長編大作。

物語~NY近代美術館の学芸員「瑤子」は、9.11で最愛の夫を失う。米国は国民の圧倒的支持の下、アフガニスタンに続きイラクにも侵攻する。何故、人は憎しみ合い傷つけあうのか?何故戦争はなくならないのか?こうした思いから、瑤子は反戦をテーマに”ゲルニカ”の展示を企画するのだが・・・。

物語は、大戦前夜のパリでファシズムに抗しながら”ゲルニカ”を制作するピカソを、愛人のドラの視点から描く20世紀の章と、イラクへの武力侵攻を開始する米国で、ピカソ展を開催すべく努力する瑤子を描く21世紀の章とが交互に展開される。

帯のキャッチにある「大戦前夜のパリと現代のニューヨーク、スペインが交錯する華麗でスリリングな美術小説」が大げさに感じない構成力、文章力ともにすぐれた(読者冥利につきる)物語に仕上がっている。(お勧め度:★★★)

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