これが由佳さんの処女作というから驚く。
つまり、処女作にしてはよく出来ているし、とても面白いのだ。
物語~高校2年生の矢崎武志には、テレビに映し出される風景に見おぼえたあった。それは遠い昔、戦国の世の忍びの世界での出来事だ。悪い代官のもとで苦しむ農民を救うために(武志たち)若い衆が立ち上がる・・・。
現代のノンポリで陸上部の高校生と、戦国時代の若者との生きざまの違いやその既視体験との対比がとても面白いし、また、よく書けている。
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズなどで、若者のナイーヴな感性を代弁していた頃のすばらしい「村山ワールド」を堪能することができる。(お勧め度:★★)