青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

街の天狗 ~地下街に貼られた夕刊新聞

2021-12-19 | 昭和・懐かしい大阪の風景

僕が生まれる前から学生時代にかけて、年末になったら毎年大阪の地下街の壁に、貧しい人たちに使って欲しいと、世の中への意見と共に1万円札が貼られていました。どこの誰かはわからないが、“街の天狗”と呼ばれていました。

丁度今頃になると「今年も街の天狗が・・」と、新聞の夕刊の三面記事で伝えられていました。最後の数年は1万円札が数枚、意見書と一緒に壁に貼られていました。“街の天狗”と呼ばれたのは、田中秀信氏、1988年7月16日に72歳で亡くなられました。

平成になってからは、そういう話は“伊達直人”の話まで、聞かなくなっていました。

“街の天狗”がお金と一緒に「意見書」を貼りだしたのが、この阪神百貨店の入り口前の地下街の壁や柱でした。この柱には、1981年にこの辺りが「大掃除」されるまでは、毎夕、夕刊新聞の宣伝のために1面が貼り出されていました。

そしてここに、べニア板をビールケースの上に置き、そこに新聞や雑誌を並べた売店が沢山ありました。この一角に「宝くじ」売り場があり、こここそが元祖・大阪で1番当たりが出る宝くじ売り場だったのです。それが大掃除によって移動した先が、現在の駅前第四ビル前の宝くじ特設売り場で、当初は整理券を持っていないと購入出来ませんでした。その整理券も最初は申し込んで郵送で送って来ました。

この写真の風景こそが僕の、大阪の街で一番記憶に残る景色です。今の大阪の景色とは全く違う、「時代の空気」がここにあります。東京とは違う、日本の他のどことも違う、大阪がここにある、ここが大阪だと僕は今も思っています。



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