1982年にミナミにオープンした「冗談酒場」は、現在も営業しているそうですが、今日の記事は大阪北区曽根崎にあった「冗談酒場」です。
今では珍しくもない通称オカマバー。最近の人はどう呼ぶのか知りませんが、僕の時代・現在60を超える人たちはそう呼んでいたお店がありました。その草分け的なお店がここだったと思います。
今ではオカマとかホモというような言葉は、禁止ワードなのか死語なのか分かりませんが、僕の時代には普通に使われ、ある意味侮蔑の意味があったと思います。いつの頃からか芸能界が、ある種の人々にとっては憧れ的な場所になりましたが、そもそも芸能人は「芸」を売りにする卑しい人とされ、高倉健が俳優の道に入った時も、そんな世界に入るなら親子の縁を切ると言われたそうです。それが、一般的な感覚だったのです。
芸能界でもそんな時期に、オカマを売りにして笑いを取り、お金を稼ぐ・・80年代初頭に初めてこういうお店の存在を知った時は驚きました。実際のショーには嫌悪感すら僕は持ちました。
ここ冗談酒場は、「痛快パブ」というキャッチフレーズだけあって、大爆笑・大満足間違いなしという評判でした。体育会系運動部の先輩に無理やり連れて行かれたのですが、場内は爆笑の渦。みんなが楽しんでいた光景に僕は驚きました。オカマを見て何が面白いのかと。しかし、お客さんを見れば普通の女の子がとても多い。アングラなお店ではなく、明るいショーパブでした。テーブルと椅子はステージを囲んで配置されており、どの席からもショーを楽しめるようになっています。
このお店の注目はやはり「オカマショー」。ニューハーフ・ファミリーズが繰り広げる「宝塚ショー」はビューティフルと言われ、大人気。他にもダンス、コント等のあの手この手のステージが目白押し。
上が店の人気者、サリーちゃん。当時の雑誌などには「オカマの陰湿なイメージが全く無しの、お楽しみ度100点もののステージ」等と紹介されていました。80年代当時はオカマ=陰湿なイメージだったのでしょうか?僕は好きではないけれど、そこまで思ったことはありませんでした。男は男らしくすればいいのにと思うだけ。そして現在では、そういう考えは遅れている、差別を無くそうという声が世間を席巻しています。80年代から今日までの間に、まるで左から右に一気に意見が振れてしまったようで、何だか僕が1番中道の考え方ではないの?という変な気分にさえなります。
理屈はどうあれ、オカマバー「冗談酒場」に大勢の人が集まり楽しんだというのは、当時の文化というか事実です。