このレコードには思い出があり、今でもそのLPの、雑誌に掲載された1面広告をレコードと一緒に残しています。
昭和52年の夏。ひとりの女の子に恋をして、自分の気持ちを伝えて、ふられてしまってすごく悲しかった。僕の誕生日の少し前で、当時好きだったオリビア・ニュートン・ジョンの、このレコードの発売の少し前のことでした。失恋の痛手を癒そうと(笑)、発売日に買って来て聴いたレコードには、僕には無縁の恋人たちを描いた曲や、ウッ!と来るような失恋の曲が並んでいました(笑)
夏の蒸し暑い空気の中、ステレオから流れてくる澄み切った声。すごく違和感を覚えました。もっと楽しい気分でこのレコードを聴きたかったのに、すごく寂しかった。部屋に差しこむ西日の色が、まるで心を焼いた色のように思えました。頑張って自分の気持ちを変えないといけないと決意した瞬間でした。
そんな悲しい気分を味わいながら思い出のレコードは、「水の中の妖精」の大ヒットや来日コンサートでの大人気と、「グリース」でハリウッドへ進出した彼女のキャリアの頂点の、その狭間に発売されたものなので、意外と聴いていない人も多いかもしれません。
アルバムタイトルでもある、このLPの1曲目のタイトルは、「Making a Good Thing Better」です。聞き覚えはありませんか?
お気に入りの歌
1人聴いてみるの
オリビアは寂しい心
なぐさめてくれるから・・・・
杏里(作詞・作曲 / 尾崎亜美)の「オリビアを聴きながら」のオリビアは、まさにオリビア・ニュートン=ジョンのことで、その後に続く歌詞はこうです。
Making good things better
いいえ済んだこと
時を重ねただけ・・・
ハイ、英語の部分は、実はこのレコードがネタ元かも知れません。オリビアの歌の方の“Making a Good Thing Better”は、「二人の恋の、ちょっとした素敵なことを、もっと素敵なものに変えて行きましょう」という意味ですが、杏里の歌の方は「よいことを、より良いことにしましょう」という意味で、前者の“a good thing”と後者の“good things”では、意味が違います。ほんの小さな・・と思える英語の違いでも、意味は大きく違うという見本ですね。
このキャップ型の「帯」の付いたレコードは初回盤。今ではCDさえ、入手するのは難しくなったようです。