三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

十字架称賛の祝日

2011年09月15日 | ミサ聖祭
十字架称賛の祝日を迎えたカトリック築地教会
(住所:東京都中央区明石町5-26)
“しるべさやけし 聖教(みのり)の十字架”

9月14日(水)、築地教会で十字架称賛の祝日ミサに与った。その前に、私は「芥川龍之介生誕の地」へ寄った。当時を偲ぶものはなく、説明板だけが聖路加国際病院の西南に建っている。芥川の生家は牛乳販売業を営み、その跡地は聖路加看護大学と推定されている。明石町界隈は外国人居留地だったから、龍之介の父が搾ったミルクは大いに歓迎されたことだろう。もしかすると、築地教会にいたパリ外国宣教会司祭も愛飲されていたのかもしれない。

2009年9月、私は日本近代文学館で特別展「芥川龍之介の書画」を見た。展示品の中に、死の枕元にあったという遺愛の聖書が含まれていた。 芥川は「クリストを求めずにはいられない」(続西方の人)と記しながら、なぜ自ら命を絶ったのか。ところで、もし芥川の冷徹な目があれば、現代日本はどのように映るだろう。原発再稼働を企む野田政権の支持率が半数を超えたことに、「一国民の九割強は一生良心を持たぬもの」(侏儒の言葉)と嘆くに違いない。

午前10時、ミサ開祭。オルガン伴奏はなく、すべて読誦。福音朗読は、イエスが「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された」と言われた場面(ヨハネ3・13-17)。主任司祭の五十嵐秀和神父は、「御子によって世が救われること。十字架を通して、その永遠の真理に希望を持ちましょう」と話された。 聖堂の十字架を仰ぐとき、私も次の言葉を思い出そう。「我は我主イエズス・キリストの十字架に於ての外は、決して誇る事なかるべし」(ガラテヤ6・14)。


十字架を戴く聖路加国際病院旧本館
(住所:東京都中央区明石町10-1)

◆主な参考文献など:
「芭蕉雑記・西方の人 他七篇」 芥川竜之介著(岩波文庫・1991年)
「侏儒の言葉」 芥川竜之介著(岩波文庫・1989年)
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