三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

カトリック二宮教会

2012年02月26日 | 神奈川のカトリック教会
カトリック二宮教会(教会堂名:日本26聖人殉教者)
創立:1950年 ◇ 住所:神奈川県中郡二宮町二宮88

JR東海道線の二宮駅で下車。南口の広場に、ガラスのうさぎを抱いた少女の像が立っている。夏休みの読書感想文などで、高木敏子氏の「ガラスのうさぎ」を読まれた方も多いと思う。主人公の「敏子」は12歳。家はガラスの工芸品を作る工場だったが、1945年3月10日の東京大空襲で母と妹を失う。生き残った父は、二宮で疎開していた敏子と一緒に、新潟で暮らそうと考えた。引越しの日、二宮駅で父と汽車を待っていると、いきなり米軍機に襲われた。

待合室は凄惨な光景となり、父は機銃掃射で死亡。敏子は両親を失ったが、復員した兄とともに、戦後を生き抜いた。著者の高木氏は、「次の世代へこの悲しみを伝えたい。二度と戦争を繰り返さないために」と本書を結んでいる。残念ながら、石原慎太郎のような人々は、その願いを聞く耳を持たない。だから、多くの子どもたちに読み継がれて欲しいと思う。私の貧しい本棚には、小学生時代の愛読書が少なからず残っているが、本書もその一冊である。

二宮教会に到着。平塚教会の記事で触れたが、二宮教会もアイルランドの聖コロンバン会によって創立された。聖堂裏の松林の向こうに海が見える。「ガラスのうさぎ」の敏子も、父が亡くなった日の夜、独りで二宮海岸を訪れた。なお、「ガラスのうさぎ」とは、職人の父が作った置物のこと。空襲の焼け跡から発掘されたうさぎには、家族の思い出が刻まれているのだろう。さて、私は再び小田原行きの東海道線に乗車。次は隣駅の国府津教会を訪ねよう。


現聖堂献堂:1954年

◆主な参考文献など:
「ガラスのうさぎ」 高木敏子著、武部本一郎画(金の星社・1977年)
「横浜教区設立50周年記念誌」 横浜教区設立50周年記念誌編集委員会編(カトリック横浜司教区・1988年)
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