三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

カトリック志村教会

2011年03月22日 | 東京のカトリック教会
カトリック志村教会(教会堂名:勤労者聖ヨセフ)
創立:1967年 ◇ 住所:東京都板橋区坂下1-38-22

地下鉄の都営三田線は、志村坂上駅を過ぎると、地上の高架線を走る。車窓から望む板橋の町並みが、初めて訪れた異国の風景のように映る。北は荒川が流れ、南は川越街道が往来している。東京の城北と呼ばれる地域は、私にとって未知の世界だ。恥ずかしながら、板橋と言えば「高島平団地」辺りしか思い出せない。ここを「日本の近代軍隊発祥の地」とする見方もある。幕末期、板橋の徳丸原で洋式調練による最初の砲術演習が行われたからだ。

都営三田線の志村三丁目駅で降りる。環八通の向こうは、高層棟が目を引く都営坂下一丁目アパートがある。団地内には、5階建ての中層タイプも幾つか並んでいる。こちらは高度成長期の建設だろうか、いかにも「昭和の団地」という風情だ。千葉の公団住宅で育った私は郷愁に駆られて、青空に映える古い団地を撮った。板橋の地図を開くと、このような中小規模の団地が点在していることに気付く。有名な高島平団地は、ここから約1.5km先の西方にある。

志村教会に着く。屋根に十字架が無ければ、保育園舎か何かに見えてしまう建物だ。聖堂は戸建住宅のような間取りで、集会室などの小部屋が配置されている。志村教会によると、この聖堂は「背もたれのない椅子を並べただけ」「何となく落ち着かず、祈りの雰囲気に乏しい」という。だが、私が訪れたこの日、広い居室を思わせる空間は、春の柔らかな日差しに照らされ、イエスが縁側で寛いでいるような雰囲気を醸し出していた。家庭的な聖堂である。


現聖堂献堂:1967年


昭和の香りが漂う都営坂下一丁目アパート

◆主な参考文献など:
「滅びゆく武蔵野 第一集」 桜井正信・岡田沢治共著(有峰書店・1971年)
コメント (2)
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