【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「はじらい」:陣屋橋バス停付近の会話

2008-10-15 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

大都会東京にもひっそりと忘れられたように存在する遊歩道がけっこうあるのね。
ひっそりと忘れられたように存在する映画があるようにな。
たとえば?
ジャン=クロード・ブリソー監督のフランス映画「はじらい」。
そんな映画、あったかしら。
ほーら、忘れてるだろ。こんな映画が今年封切られたなんて知っている人間は、日本広しといえど、俺くらいなもんだ。
あなたと私くらいなものよ。
お、思い出したか。
ええ、思い出したわ。映画監督が女優と寝ちゃうっていうだけの映画ね。
ああ、それだけの映画。それ以外なにもない。
そうかしら。私たちに見る目がなかっただけじゃないの?
監督を演じる男が魅力的なわけでも、女優が魅力的なわけでもない。
ああ、たしかに魅力がない。まだ私のほうがましと思っちゃった。
うーん。それには賛同しかねるけどな。
まったりと進む話が、また退屈で死にそう。
そうだろ、そうだろ。
そうかと思うと、妙に思わせぶりなところもあって、それがかえって観ていられない。
そうなんだよ、そうなんだよ。なんでも、前作のオーディションでセクハラを訴えられ、1年間の執行猶予と多額の賠償金を支払う羽目になった監督ジャン=クロード・ブリソーが、自身の姿を投影したのがこの作品らしい。
そう言われても、映画としてまったく面白みがないんじゃねえ。
もっと羽目をはずせばいいものを、辛気臭く真顔でこういう話を語られちゃうと、観ているこっちまで滅入っちゃうよな。
長い間、映画を観ているとときどきあるのよね、こういう底が抜けたような映画。「はじらい」なんてタイトルをつける前に、お前がはじらいを知れって言いたくなっちゃうわ。
今年は「つぐない」なんていうタイトルの佳作もあったが、同じ4文字タイトルの映画でも雲泥の差だな。
比べるほうが失礼だわ。
そうだろ、そうだろ。俺たちに見る目がないんじゃなくて、映画に見られる要素がないんだ。
こんな映画、忘れたままにしておいてほしかったわ。
でも、まあ、そう目くじらたてるな。こういう映画があるからまた他の映画が引き立つんだから。
あら、なにその、てのひら反し。
俺の中のラズベリー賞候補だってことよ。
なるほど。



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2 コメント

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この映画 (rose_chocolat)
2008-10-16 23:46:33
まさかこの時期にレビューが他の方から上がって来ようとは思いませんでした(笑
何と言うか。。。 オチがないR-18って感じでしたね。
何て書いていいのか困った記憶がありますw

それにしてもこの系統でよくお会いしますね(爆
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■rose_chocolatさんへ (ジョー)
2008-10-25 22:44:03
いやあ、この映画にコメントをいただけるとは思いませんでした。世の中、捨てる神あれば拾う神あり。あれ、変な表現かな?まあ、これくらいいい加減な表現が似合う映画ではありましたね。また、よろしくお願いします。
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