【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「その土曜日、7時58分」:船堀7丁目バス停付近の会話

2008-10-11 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

この時計屋さんの時計、合ってないんじゃないか。
そう?ほんとは、いま何時?
7時58分。
そっちのほうが怪しいなあ。
きょうは土曜日。土曜日の7時58分。
ははあ、「その土曜日、7時58分」って言いたいわけね。
ああ、きょう公開のアメリカ映画。原題とは違うけど、いいタイトルだよなあ。
そう?映画は別にこの日時をキーワードに展開しているわけじゃなかったけど。
でも、全体の印象は、このタイトルそのままの、むだがない硬派できりっとしたドラマだったぜ。そういうのを映画に寄り添ったいいタイトルっていうんだ。
えらそーに。
金に困った兄弟が共謀して父親の経営する宝石店を襲ったものの、予想外のハプニングが起きて、そこから悲劇の連鎖が始まるという本格的なドラマ。久々のシドニー・ルメット監督だ。
時制をバラバラにしてストーリーを再構築しているから、同じような場面が何度も出てくるけどね。
日本映画でいえば、「アフタースクール」をちょっと思い出す手法だけど、観客のミスリードを誘うのが目的じゃないから、あの映画のようなあざとさは感じない。
むしろ、映画に緩急を与え、サスペンスを誘うという効果で、内容に貢献していた。
はじめからバラバラな家族ではあるんだけど、犯罪が失敗する中でますます瓦解していくアメリカの家族関係が、哀れというより恐ろしいくらいだ。
荒んだ、救いのない話よね。最近のアメリカ映画全般に言えることだけど。
株も暴落しちゃったしな。
病んだアメリカ。元気のないアメリカ。その姿が最近のアメリカ映画には通底しているのよね。
しかし、シドニー・ルメットの演出がシャープだから、ヤワなところのない、硬質な映画に仕上がった。ベテラン監督健在を告げる一本だ。
カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマンをはじめ、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、 アルバート・フィニーと存在感ゆたかな面々が並んでいるから、演技も見ごたえじゅうぶんだしね。
プロが集まって作った本物の映画っていう感じがするよな。
近頃珍しいおとなの映画。
ところが、この映画、東京ではミニシアター1館でしか上映していない。
別にマニア向けの映画でもなんでもないのにね。
ああ。万人向けの映画だと思うんだけど、どうしてこういう上映形態になっちゃうんだろうな。
やっぱり、タイトルが良くないんじゃないの?
断じてそんなことないって。うなるような、いいタイトルだ。
うーん。確信犯。いま、何時?
だから、7時58分。
ますます、確信犯。




この記事、まあまあかなと思ったら、クリックをお願いします。



ふたりが乗ったのは、都バス<錦25系統>
葛西駅前⇒長島町交差点⇒葛西中学校前⇒新川橋⇒三角⇒船堀七丁目⇒陣屋橋⇒船堀中組⇒船堀小学校前⇒船堀駅前⇒船堀一丁目⇒松江第一中学校前⇒東小松川小学校前⇒東小松川二丁目⇒東小松川一丁目⇒京葉交差点⇒小松川警察署前⇒小松川三丁目⇒中川新橋⇒浅間神社⇒亀戸九丁目⇒亀戸七丁目⇒亀戸六丁目⇒水神森⇒亀戸駅通り⇒亀戸一丁目⇒江東車庫前⇒錦糸町駅前




最新の画像もっと見る

コメントを投稿