都心にしては優雅な土手の昼下がりね。
昔の人々もこういうところを往来していたのかな。
「その土手を通って」・・・。映画のタイトルにでもなりそうな感じね。
それを言うなら、「その木戸を通って」だろ。
あ、そうそう。市川崑監督の最新作。
市川崑はもう亡くなっているんだから、最新作ってわけじゃない。1993年に作られていたのにこれまでほどんど上映される機会がなかっただけだ。
15年前!どうりで、浅野ゆう子が若い、若い。「OLにっぽん」の彼女とは雲泥の差。
江戸時代の下級武士、中井貴一の家にふらっとやってきて住みついてしまい、またふらっと出て行ってしまう素性の知れない女。
実は彼女は月から来た女、満月の夜には月に帰らなければいけないのでした。
・・・なんて話なわけないだろ。ただ、どこからともなく来て、侍との間に子どもをもうけ、どこへともなく去っていく。ただそれだけの話なんだから。
波乱万丈のストーリーが展開されるわけじゃない地味な話だから、長い間公開されなかったのかもしれないわね。
その分、映画は当時の下級武士の生活を丹念に追っている。城での仕事のやりかたや、家の造りなんて観ていて興味深いものがある。
山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」や「武士の一分」から派手な斬り合いの部分を除いて生活の部分だけ抜いてきたような映画ね。
あれよりもこっちのほうがずっと以前に完成しているんだけどな。
才気煥発な市川崑監督にしては、じっくりと腰を落ち着けて撮っている。
日本で最初にハイビジョン・カメラで撮った映画だっていうから、制約も多く、あまりカメラを振り回すこともできなかったのかもしれないな。
でも、ハイビジョン・カメラで撮っただけのことはある美しい映像。
あの、黒光りする柱!
風に揺れる緑の竹の葉!
細部をじっくり味わう、落ち着きのある映画だった。
たまにはこういう映画があってもいいわね。
たまには優雅な土手の昼下がりがあってもいいようにな。
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