【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ヒューゴの不思議な発明」

2012-04-14 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)


これはやっぱり「アーティスト」と比較して語りたくなる。
どちらも映画の原点への愛を表明しているんだけど、片やサイレント映画への敬意、片やジョルジュ・メリエス映画への敬意。
片やモノクロ、片や3D。
片や大人の情緒的アプローチ、片や子供の科学的アプローチ。
片やフランス人がハリウッドを舞台の映画をつくり、片やアメリカ人がパリを舞台の映画をつくった。
ほんとに好一対。
アカデミー賞的に言うと、ハリウッドが舞台の映画のほうが強かった。
で、どっちが好きかというと・・・。
俺はこっち。マーチン・スコセッシにしてはお話しが子どもっぽくて深みが足りないし、最近のマーチン・スコセッシ映画は、かつてのヒリヒリしたような感触がなくなってどうもにやけてきたなっていう印象はあるんだけど、それでも無邪気なメリエス映画の再現には目がうるむ。
つくりは圧倒的に「アーティスト」のほうが丁寧で、こちらの映画はどうも雑なところがあるんだけど。
それはそのまま、それぞれの映画が敬意を捧げているサイレント映画とメリエス映画の違いにも当てはまるんだけど、メリエス映画はとにかく初めてカメラというものを手にした喜びにあふれている。
アーティスト」はもっとプロの洗練された世界だからね。
映画はアートでも何でもなく、原初は魔術みたいなものだった。その単純な驚きと歓喜。
子どもが誕生する。それって、ただそれだけで感動的なのと一緒で、写真が動く。ただそれだけで実は感動的なことだったんだってわけね。
新しいおもちゃを手に入れた純粋な楽しさにあふれている。
それは3Dという新しいおもちゃを手にした喜びにつながる。
マーチン・スコセッシがここまでお茶目だとは思わなかった。
年をとると子どもに戻って何もかもが懐かしくなるものなのよ。
なるほど。他人ごととは思えないってわけか。
ちょっと待って。私のことじゃないわよ。
そんなにしわを立てて怒るな。



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