後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔224〕14度目の渡独はドイツの友人の結婚式出席とマニアックな中世ドイツの彫刻群歴訪でした。

2019年08月20日 | 旅行記
 久しぶりのブログになったのは3週間の渡独のためです。帰国して1週間、ようやく時差ボケが抜けてきましたので、その報告をしておきましょう。
 7月25日に日本を発ったのですが、それまでの東京は冷夏と言ってもおかしくない天気が続いていました。ようやく2,3日前から「日本の夏」が戻ってきた頃でした。フランクフルト空港に着くとそこは「猛暑のヨーロッパ」でした。何しろ数日前にパリが45.7度になって死者が出たというのですから。幸運なことにこの暑さは2日で終わりになりましたが。
 妻の若い友人シルヴィアとクラウスの結婚式があったのはルートヴィッヒスブルクというところでした。海外での外国の人の結婚式は初めてだったので、さすがに驚くことが一杯ありました。
 新教の教会での結婚式で午後2時スタートしました。参加者は100名はいたでしょうか。牧師さんが中心の1時間ほどのセレモニーが終わりましたが、教会の外でちょっとしたパンなどの食べ物とシャンパンやビールなどの飲み物が振る舞われました。花嫁のブーケトスや白鳩を放したり、稽古着でそろえた柔術の仲間のお祝いエールなども続きました。
 妻は着物で参加して、注目を浴びていました。私は夏場の礼服を新調して臨みました。重い革靴などもトランクに詰め込んだので海外での式は結構大変でした。
 祝賀会は夕方からで会場はホテルのレストランでした。新婦の父親の挨拶、新郎新婦2人のダンス、柔術仲間の踊りなどのパフォーマンスが延々と続くのです。さすがに私は時差ボケ、妻は着疲れがあり、夜の11時頃部屋に戻ってきたのですが、会は続いているようでした。深夜12頃突然花火が打ち上がりました。実はこの会が終了したのが朝の3時頃というのですから彼らのスタミナには驚かされます。

 ところで結婚式の話はこれくらいにして、次の渡独の大きな目的、中世ドイツ彫刻を訪ねる旅の話をしましょう。

 妻の福田緑は中世ドイツの彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーに魅せられ、写真を撮り続け、日本初の写真集を3冊出版しました。(『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』いずれも丸善プラネット発行)今年写真展を企画していることはいずれお知らせします。
 彼女はリーメンシュナイダー本人の作品、工房、シューレ、リーメンシュナイダー系の作品を彼女の計算では九十数%見たというのです。ここで彼女の旅は終わりませんでした。リーメンシュナイダーと同時代の個性的な作家たちが気になり始めたのです。それを焚き付けたのが私ということになります。そこで今回は主に、リーメンシュナイダーと同時代の作家たちの作品を訪ねるということになったのです。
 種本は次の3冊のドイツの本で翻訳はありません。ハンス・ラインベルガー、ペーター・デル(父)の作品巡りが中心ですが、それにニクラウス・ゲルハールトが加わることになります。

『Die Kunst der Bildschnitzer』(彫刻美術)B表記…ボーデ博物館で購入した大部な本
『Hans Leinberger』(ハンス・ラインベルガー)L表記…モースブルクの教会で購入した冊子
『Peter Dell der Altere』(ペーター・デル、父)P表記…フランケン博物館で出版したカタログ

 どのような作品を目指したのか、次に書き出してみましょう。旅の様子も少しは伝わるかも知れません。
 

■2019夏・中世ドイツ彫刻を訪ねる都市と作品、作者■

★7.25(木)三津夫フランクフルトに到着

★7.26(金)
●フランクフルト リービークハウスで研究者の Stefan Rollerさんに初めて会い館内を案内していただく。同館で出版した大冊『ニクラウス・ゲルハールト』のカタログをいただく。この本が旅のバイブルに加わる。

*ハンス・ムルチャー
・マリア・マグダレーナ St. Maria Magdalena(リービークハウス) B-103(『Die Kunst der Bildschnitzer』の103頁という表記)
*ここでは新規購入作品もあり、注目すべき作品が目白押しだった。

★7.27(土)Ludwigsburg にてシルヴィアとクラウスの結婚式 おめでとう!

★7.28(日)フライジンクで Weniger 家族の歓待を受ける!

★7.29(月)
●ランツベルク Landsberg am Lech 鉄道工事のためやむなく行くのを断念!
*ハンス・ムルチャー Hans Multscher
・聖母子像 Maria mit Kind(ランツベルク、マリア被昇天教区教会 Pfarrkirche Mariae Himmelfahrt)B-K1

●アウクスブルク Augsburg
*ダウハー Dauherまたはアドルフ・ダウハー Adolf Daucher
①キリストを支える像 FuggerKapelle(聖アンナ教会 St. Anna) B-141
②6人の天使 Vier Putti?  同上
③オークの箱(?)Eichner Kasten (アウクスブルク市庁舎、彫刻家の丸天井の部 屋 Baumeistergewolbe des Augsburger Rathaus)
④ジンペルトゥス祭壇と早朝ミサ祭壇 Simpertusaltar & Fruhmesaltar (聖ウルリヒ・アフラ 教会 St. Ulrich und Afra)
*グレゴール・エアハルトGregor Erhart
⑤聖母像 Madonnenfigur (アウクスブルク、聖ウルリヒ・アフラ教会 St. Ulrich und Afra)
⑥医師アドルフ・オッコーの祈念碑 Epitaph des Arztes Adolph Occo († 1503) (アウク スブルク大聖堂の回廊 Domkreuzgang Augsburg)
*ダウハーとグレゴール
⑦早朝ミサ祭壇 Frühmessaltar (アウクスブルク、聖モーリッツ教会 St. Moritz)

★ 7.30(火)
●レーゲンスブルク Regensburg
*ハンス・ラインベルガー、美しい聖母子像 Schöne Maria(レーゲンスブルク、聖カシアンSt. Kassian) P-74
*ペーター・デル、美しい聖母子像 Schöne Maria(レーゲンスブルク市歴史博物館 Museen der Stadt Regensburg, Historisches Museum)P-24

★7.31 (水)
●モースブルク Moosburg
*ハンス・ラインベルガー
・逆さづりレリーフ(4作品、モースブルク、教区教会) B-K92~95 Vier hl. Kasutuls Reliefs
・ペストのための奉納石碑 Pestvotiv(市教会Stadtpfarrkirche zu Moosburg) L-39
・磔刑像 Kruzifix (Stadtpfarrkirche zu Moosburg) L-45 
●ランツフート Landshut
*ハンス・ラインベルガー Hans Leinberger
①逞しい聖母子像 Maria mit Kind(ランツフート、St. Martin 聖マルチン教会) B-213~215
 =ローゼンクランツのマドンナ Rosenkranzmadonnna L裏表紙
②マリア戴冠 Kronung Mariens(ランツフート、Heilig-Geist-Kirche 聖霊教会)*ウムクライス L-37
③キリスト像 Christus in der Rast(ランツフート、聖ニコラ教区教会 St. Nikola) L-29
④聖ロクス Hl. Rochus(ランツフート市博物館 Stadtmuseum) L-31
⑤磔刑像 Kruzifix(ランツフート市博物館) L-41
⑥マリア戴冠 Kronung Mariens(ランツフート、Martinskirche マーチィン教会)*顔面破壊 L-35
⑦ピエタ Beweinung Christi(教区教会砂岩ランツフート南東ガイゼンハウゼン)L-25

★8.1(木)
●ミュンヘン München バイエルン国立博物館の研究者 Matthias Wenigerさんと再会
*ハンス・ラインベルガー
①(妖しい聖母子像)王座に就いたマドンナ Throende Madonna(前ポリング教区教会、 現ミュンヘンバイエルン国立博物館)L-47, B-K101
②キリストの磔刑 Kreuzigung Christi(バイエルン国立博物館) L-71
③マリア・グリコフィロウサ? Maria glykophilousa (バイエルン国立博物館)貸し出し中で見られない。 P-85
④聖ゲオルク Der hl. Georg(ミュンヘン、フラウエン教会 Frauenkirche, München)B-K98
*エラスムス・グラッサー Erasmus Grasser
⑤踊り子 Moriskentanzer(ミュンヘン市立美術館) B-K52
⑥悲しむマリアとヨハネ Die trauernden Maria und Johannes(ミュンヘン国立博物館) B-K53
*ペーター・デル
⑦悲しむ聖女と兵士 Trauernde heilige Frau und Krieger(ミュンヘン、バイエルン国立博物館) P-87
*グレゴール・エアハルト Gregor Erhart Wikiより
⑧二人の司教と聖ニコラウス Heiliger Nikolaus mit zwei Diakonen, 1501, Bayerisches Nationalmuseum
*ミッヒェル・エアハルト MichelGregor Erhart Hochaltar
①St. Maria in München-Thalkirchen

★8.2(金)
●ニュルンベルク Nürnberg 
*ペーター・デル
・(6人の女)7つの大罪のうちの6つの寓意 Sechs Allegorien der Sieben Todsunden(ニュ ルンベルク、ゲルマン国立博物館) P-42, 43
・(キリストのいない)磔刑像 Kreuzigung Christi(ニュルンベルク、ゲルマン国立博物館) P-29
・聖セバスチャン Hl. Sebastian(ニュルンベルク、ゲルマン国立博物館) P-23
*オットーボイレンのマイスター Meister von Ottobeuren
・聖マルティンと聖バルバラ Die hll. Martin und Barbara(ゲルマン国立博物館) B-K86
・聖ゲオルグと聖マルガレータ Die hll. Georg und Margareta(ゲルマン国立博物館)B-K87
*聖セバルドゥス教会 St. Sebald ファイト・シュトス、アダム・クラフト、ペーター・フィシャーなど作品多数

★8.3(土)
●ネルトリンゲン Nördlingen
*ゲルハールト Niklaus Gerhaert
・マグダラナマリア Die hl. Magdalena B-K6、マリアMaria B-K7、ヨハネ Johannes B-K8、・キリスト Haubt den Gekreuzigten, aus einer Kreuzigungsgruppe B-K9(ネルトリンゲン、聖ゲオルク教会St. Georg)

★8.4(日)
●ホーエンローエ、エーリンゲン Hohenlohe-Öhrilgen 
*ペーター・デル
・新旧の結びつきにおける規則あるいは寓意 Von Gesetz oder Allegorie auf den Alten und den Neuen Bund(ノイエンシュタイン城 Schloss Neuenstein) P-110

★8.5(月)エーリンゲンからフランス国境近くのケールKehlに移動

★8.6(火)
●ストラスブール(仏)Strasbourg
*ゲルハールト、(自刻像)ある男の胸像 Büste eines Mannes(ドーム博物館 Musée de l’Œuvre Norte-Dame) B-K12

★8.7(水)
●ヴュルツブルク Würzburg
*ペーター・デル
・(磔刑像)ブルクブライトバッハ家の騎士フクス墓碑 Grabdenkmal für Ritter Fuchs von Burgbreitbach(ヴュルツブルク文化財団 Kunstreferat der Diozese Würzburg, Domkreuzgang) P-104
・(磔刑レリーフ)ビブラ家の皇帝直属領主コンラート墓碑 Grabdenkmal für Fürstbischof Konrad von Bibra(ヴュルツブルク、文化財団 Kunstreferat der Diozese Würzburg, Dom) P-12
・石の紋章 Wappenstein(ヴュルツブルク Museum für Franken) P-105

★8.8(木)
●アルンシュタイン Arnstein 
*ペーター・デル、(兵士墓碑)フッテン家のルートヴィッヒ墓碑 Grabstein des Ludwig von Hütten(アルンシュタイン、マリア・ゾントハイム巡礼教会 Pfarr-und Wallfahrtskirche Maria Sondheim) P-26

★8.9(金)
●グリュンスフェルト Grünsfeld 
*ペーター・デル、(磔刑像)ロイヒテンベルク家のヨハン4世方伯墓碑 Gramal für den Landgrafen Johann Ⅳ. von Leuchtenberg(グリュンスフェルト、聖ペテロ・パウロ教会 St. Peter und Paul) P-101  

★8.10(土)ルース・トーマス宅宿泊
●ダルムシュタット Darmstadt 
*ペーター・デル?、磔刑群像 Kreuzigungsguruppe(ダルムシュタット、ヘッセン州立博物館 Hessisches Landesmuseum) P-75

★8.11(日)ルース・トーマス宅宿泊
 午後はフランクフルトの Karmeliterkloster カルメル会修道院の巨大壁画(Jörg Ratgeb)を見た。

★8.12(月)ルース・トーマス宅宿泊
●グロースヴェルツハイム Großwelzheim, Karlstein am Main (Alzenauの近く、フランクフルトから30kmぐらい)
*ペーター・デル、聖母子像(グロースヴェルツハイム、聖ボニファティウス教会 St. Bonifatius, Großwelzheim) P-68

●ラートハイム Radheim(ダルムシュタットの東約1時間の所)
*ペーター・デル
・ローレンテイウス・聖母子像・洗礼者ヨハネ Hl. Laurentius, Muttergottes mit Kind, Johannes Baptist(ラートハイム、聖ローレンティウス教会 St. Laurentiuskirche, Radheim ) P-25

★8.13(火)フランクフルト出発、8.14(水)成田に無事到着しました!!


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