後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔55〕自由民権運動の歴史を辿ったり、伝統的な芝居小屋を訪ねたりの四国周遊でした。

2015年11月10日 | 旅行記
 戦争法案が戦争法になった2015年9月19日から1ヶ月後の10月19日、文京シビックホールは2000人近くの人たちで埋まっていました。(ブログ〔49〕参照)戦争法を廃止する決意を示した大集会でした。その集会後、池袋で偶然ルポライターの鎌田慧さんに会いました。電車の中で伊方原発反対集会に参加すること、そのあと四国各地をレンタカーで巡ることを話したら、訪ねる価値のある場所のさまざまな情報を頂きました。(鎌田さんも伊方にいらしていました)
 「四万十市には幸徳秋水の墓、足摺岬にはジョン万次郎の生家などがありますよね…。」田宮虎彦の『足摺岬』や高知の自由民権資料館などの話も出ました。なるほど、せっかく四国を廻るなら「自由民権運動」をテーマにしない手はないなと思ったものでした。
  まずは4日間の旅の行程を確認しておきましょう。

●11月2日(月)
松山市(前日、宿泊)→善通寺→旧金比羅大芝居(金丸座)→金刀比羅宮(表書院・円山応挙の障壁画鑑賞)→(泊)高松市
●11月3日(火)
小歩危・大歩危→豊楽寺(国宝)→高知市立自由民権記念館→雪蹊寺→竹林寺→(泊)高知市
●11月4日(水)
足摺岬(ジョン万次郎像)→金剛福寺→ジョン万次郎資料館→幸徳秋水資料室(四万十市役所)→幸徳秋水の生家→幸徳秋水の絶筆石碑→幸徳秋水の墓→(泊)四万十市
●11月5日(木)
岩間沈下橋→内子座、八日市・護国の町並み→砥部焼観光センター・炎の里→太山寺(国宝)→松山空港→羽田

 清瀬・憲法九条を守る会のメンバーと先日五日市憲法草案ツアーをしたことはブログに書きました。しかし、自由民権運動の先駆的な地域としては高知がすぐに頭に浮かびます。板垣退助、植木枝盛、中江兆民、幸徳秋水…、そして彼らに確実に影響を与えたジョン万次郎なども高知の人でした。できる限り彼らの足跡を追ってみようと思いました。
 高知市立自由民権記念館を訪ねたのは11月3日(火)のことです。3日と言えば、澤地久枝さんが昼の1時に「アベ政治を許さない」というポスターを一斉に掲げようと提案しています。我々もこのポスターを持参し、自由民権記念館の門の前で掲げました。10分程度でしたが、自転車が3台ぐらい通っただけでした。その一人に写真を撮ってほしいとお願いしたのですが、今急いでいるからと断られてしまいました。しょうがないので、写真を交替で撮り合いました。
 館内は自由民権運動の生成・高揚・衰退・再燃・終末などの展示や植木枝盛の書斎などが再現されてありました。植木枝盛といえば、「未来が其の胸中に在る者、之れを青年と云う」(遺稿「無天雑録」より)ということばを思い起こしました。私擬憲法「東洋大日本国国憲案」の起草者としても有名です。「民権かぞえ歌」なども作っているのですね。
 館内には板垣退助が刺された短刀があったり、女性参政権運動の先駆者、楠瀬喜多(民権ばあさん)のプリントがおいてありました。未亡人戸主として税金を納めているのに選挙権がないのはおかしいということで、納税を拒否したところ、4年の間ではあるが、女性参政権が認められたというのです。このほかにも見所いっぱいの自由民権記念館でした。
 ジョン万次郎資料館でもじっくり時間をとって展示物をながめました。
 幸徳秋水を訪ねる2人だけの「社会科見学」は、幸徳秋水資料室(四万十市役所)からスタートしました。そこでもらったパンフレットに沿って、幸徳秋水の生家、幸徳秋水の絶筆石碑、幸徳秋水の墓を巡りました。大逆事件に思いをはせ、横浜事件のことを思い出していました。

 今回の旅でとても興味深かったのは2つの伝統的な芝居小屋を見ることができたことでした。1つは、「現存する日本最古の芝居小屋」という旧金比羅大芝居(金丸座)です。金刀比羅宮の登り口近くにありました。枡席や桟敷の客席、回り舞台など、江戸後期に造られたというから驚きです。これにとてもよく似た芝居小屋が、内子市にある内子座でした。こちらは100年前、大正時代の建造物で、金丸座より一回り小さいものでした。いずれにしても、四国が文化的にも芸術面でも先進的地域であったことが理解できました。

 今回もう1つの楽しみは、お寺回りでした。初めての善通寺、金刀比羅宮でしたが、円山応挙の障壁画が見られたのは嬉しかったです。
 一番興奮を覚えたのは、国宝の豊楽寺に事前予約して3体の素晴らしい仏像が拝観できたことです。とりわけ1番右端に鎮座している釈迦如来(本当は薬師如来だという)の独特の風貌に魅せられてしまったのです。「日本の美術」(226号)の表紙を飾ったこともある仏像で、地方仏師が手がけた仏像ではないかと勝手に推測しているのです。とても人間的で、親しみの持てる仏像です。
 このほかにも雪蹊寺(慶派の秀作があるのですが、事前連絡してなかったので拝観は適いませんでした)、竹林寺、金剛福寺、太山寺も廻りました。なぜかお寺は心が和みます。


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