後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔17〕3週間のアメリカ美術館巡りでいろいろ感じ、考えました。その一端を…。

2015年03月03日 | 旅行記
 1か月近くブログをお休みしていました。前回の末尾に書いたように、アメリカに3週間行っていたからです。
 私の初めての海外旅行はアメリカで、1990年のことでした。家族旅行で、シアトル・バンクーバーを中心に巡りました。2011年の2回目のアメリカ旅行は、アメリカ東部、中部(一部カナダを含みますが)の美術館巡りがその目的でした。連れ合いが追っかけをしているリーメンシュナイダー(中世ドイツの彫刻家)の作品をアメリカまで追っていった旅でした。アメリカには多くのリーメンシュナイダー作品が美術館にあります。ドイツ以外では最大の収集国です。きっとお金持ちが買い集めたのでしょう。
 3回目の今回も目的は同じです。前回見落としていたリーメンシュナイダー作品巡りということになります。ただ私も彼女に「同走」するなかで、北方ルネッサンスと呼ばれるドイツ・オランダ・ベルギー・オーストリアなどの中世美術(絵画・彫刻など)に興味を持つようになりました。グリューネヴァルト、マルティン・ショーンガウアー、ミヒェル・エーアハルト、ファイト・シュトス、ミヒャエル・パッハー、ラート・ゲープなどですが、グリューネヴァルト以外は日本ではあまり知られていません。日本では、これらの作家名を単独で冠した文献はグリューネヴァルトの外は私は知りません。ただショーンガウアーに関しては西洋美術館の図録が存在していますが。ついでに書くと、リーメンシュナイダーの本は数冊で、その二冊の写真集が連れ合いが出版したものです。
 自慢話を書きます。
 たぶん、リーメンシュナイダーの作品を日本人だけでなく世界で一番見ているのが連れ合いで、2番目が私です。前にあげた作家の作品も同じことが言えそうです。グリューネヴァルトとショーンガウアーの絵画は修復中のも含めて、今回の旅で全「踏破」しました。私の次の興味は、この3人以外の作品を見ることです。ドイツ南部やオーストリア・チロル地方に集中しているので今回よりもはるかに訪ね易いと思われます。虎視眈々と次回を狙っています。旅行中に早くも妻とそんな話をしたのです。
 
 旅はロサンゼルス経由でシカゴから始まりました。そして、デトロイト、クリーブランド、ナイアガラ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスと2~4泊で回りました。せっかくアメリカに行ったのだから、美術館巡りだけでなく多少の観光地にも立ち寄ろうということで、ナイアガラとヨセミテに行きました。厳冬のナイヤガラや、リピーターが一番多いというヨセミテも素晴らしかったですよ。
 廻った美術館は次のようになります。
・シカゴ(シカゴ美術館)
・デトロイト(デトロイト美術館)
・クリーブランド(クリーブランド美術館、オバーリンの美術館)
・ニューヨーク(メトロポリタン美術館、分館クロイスターズ、ニューヨーク近代美術館、フィリックコレクション)…いずれも2回目。
・サンフランシスコ(リージョン・オブ・オーナー美術館、テ・ヤング美術館、アジア美術館)
・ロサンゼルス(ノートン・サイモン美術館、パシフィックアジア美術館、ゲッティ美術館、ハマー美術館)

 妻お目当てのリーメンシュナイダー作品はすべて、私が待望していたショーンガウアーの絵画もエーアハルトの彫刻もすべて見られ、写真に収めました。大満足でした。しかも、クリーブランド美術館、オバーリンの美術館、ゲッティ美術館、ハマー美術館は無料だったし、シニア料金がどこも設定されていました。(65歳以上、あるいは62歳というところも)
 前回のアメリカ美術館巡りでも感心したことですが、美術館を利用した鑑賞教育がとても盛んだということです。シカゴ美術館、デトロイト美術館やクリーブランド美術館では、幼稚園の子から大学生まで、かなり多くの子どもたちの学びの場になっていました。
 いつも感じるのですが、アメリカの美術館はどこでも圧倒的な作品数です。人気の印象派の作品が目白押しです。ゴッホの作品は確か日本には2点のみ(損保ジャパン美術館と広島美術館)と記憶していますが、かなり多くのアメリカの美術館では数点ずつ保有していました。そして、アジアの美術品も充実していました。アジア美術館では、浮世絵とそこに描かれた着物の柄にまつわる特別展が開かれていました。浮世絵や着物、絵巻物などの展示があり、嬉しくなりました。その美術館に、次はジャポニズムの特別展を提案したかったのですが、アメリカ旅行の次回はたぶんないでしょう。
 この旅の一番の思い出は、と考えたら、『地球の歩き方』アメリカ編には不掲載のオバーリン(クリーブランドから数十キロの小都市)を雪が降りしきる中訪ねたことです。リーメンシュナイダー作品がたった1点存在することを確認しに行ったのです。行きより帰りの方が雪が強く降りしきり、タクシードライバーに命を預けました。タクシー代はけっこうかかったのですが、誰にもできない経験だったと、今ではいい思い出になっています。
 
 最後に嬉しかったこと1つ。
 周防正行監督「Shall we ダンス?」のアメリカリメイク版がテレビで放送されていたのです。主演、リチャード・ギアです。いつもはおもしろくないテレビなのですが、2時間珍しく画面に釘づけになりました。設定は高架の電車から見えるシカゴのダンス教室です。2,3日前に乗ったばかりで興味津々でした。原作では西武池袋線の江古田駅の近くのダンス教室だったということを妻に聞きました。私が結婚するまで住んでいたところだったのです。
 
 


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