後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔170〕ところざわ太陽劇団と武蔵村山市立第三中学校演劇部の公演は心地よい劇空間を創り出していました。

2018年03月02日 | 語り・演劇・音楽
  2018年2月11日(日)、ところざわ太陽劇団・第45回公演『デゴイチ2018』を見るために新所沢公民館ホール(西武新宿線新所沢駅西口)に向かいました。太陽劇団の舞台は数年ぶりだったので期待が高まりました。
  当日、昼の1時前に劇場に入りました。日本演劇教育連盟常任委員研究部の小山内徳夫さんが劇場の客席の中央に陣取っていました。毎回太陽劇団公演では写真を撮っているということでした。すでにスタンバイという風情です。
 太陽劇団の公演に先立ち、武蔵村山市立第三中学校演劇部の『船出の時』が上演されました。午後1時から30分ほどでした。実にパワフルでエネルギッシュ、好感の持てる舞台でした。後でわかったことですが、出演者はすべて中学1年生で、まだ発足したばかりの演劇部だったのです。中学生はみんな演じることが大好きということが手に取るように伝わってきました。
 当日のパンフレットを紹介しましょう。作・指導の城戸美佳さんは演劇部顧問で、この後の『デゴイチ2018』に主役のデゴイチで出演していました。彼女は新進の若手教師で、それこそ「実にパワフルでエネルギッシュ」でした。彼女の熱気が中学生に伝播しているとしかいいようがありません。
 そしてサプライズのじいちゃん役は正嘉昭さんでした。

■武蔵村山市立第三中学校 演劇部 『船出の時』作・指導 城戸美佳
●演出助手の言葉 1年 山田碧月   
 私たち三中演劇部は今年新しくできた部活です。部員は全員1年生なので、仲が良くみんなで楽しく部活動に参加しています。今回の劇でも、部員同士の距離が近いため対立してしまうこともありましたが、全員で意見を出し合い、それを聞き合うことで、自分たちの力で解決し、互いの力を高め合ってきました。みんなで仲良く協力して劇づくりを進めてきたことで、部全体のレベルアップも達成できたと思います。三中演劇部の仲の良さがあって作り上げることができた舞台です。この部活だからこそ成長してこられた私たちの仲の良さを感じながらご覧いただきたいと思います。
●作者の言葉  顧問 城戸美佳
 この作品は、「自立」をテーマに書き下ろした新作です。初めて子供たちだけで、父ちゃんを見つけるべく船を出す、湊たち。大冒険には、予期せぬ出来事がつきもの。船の上で起こるさまざまな出来事を通して成長する中学生の姿を描きました。今年できたばかりの部活動で、今回出演する生徒は全員1年生です。しかし、彼らは学校生活や部活動を通して、確実に成長し、自立をしていこうと努力をしています。その大きな成長の過程を、この作品を通して皆さんに伝えられたら嬉しく思います。
 今回は、劇のテーマと同じように、自分たちで意見を出し合ってーつの作品を作り上げることを目標に、劇づくりに取り組みました。演出助手の山田さんをはじめ、多<の生徒が自主的・主体的に劇づくりに臨む姿に、部員たちの成長を感じています。今こそ、三中演劇部の『船出の時』です!どんなことも、強い絆と自分たちの力で乗り切っていく大冒険の物語を、ぜひお楽しみください。

 
 そしていよいよ、ところざわ太陽劇団『デゴイチ2018』です。私は初見でしたが、中学生のためにつくった劇団主宰の正さんの作品で、今までに何回も上演しているそうです。
 ここでまた配布されたパンフレットを覗いてみましょう。

■第63回所沢市文化祭参加、ところざわ太陽劇団・第45回公演『デゴイチ2018』
●チラシのリード
    1970年、埼玉県日市にあった駄菓子屋を舞台に、
   友情と将来の不安が交錯する中学生たちのひと夏の物語。
 主人公のデゴイチは、学校にも家にも居場所がない中学三年生。
デゴイヂは、ある日、見慣れない町の駄菓子屋の店先で目を覚ます。
    不良仲間の使いっぱなしに嫌気がさしたデゴイチは、
  駄菓子屋で出会った面白おかしい人たち、店のおばちゃん、
  同学年で他校生の山さんとマチコに心癒されるのだが……。

【キャスト】
  バット喜界島 赤江瞭 城戸美佳 たいまる 土屋崇仁
  麻婆太郎 江梨いづみ 原田昌幸 小町子
【スタッフ】
演出:正嘉昭  制作:伊藤行雄  舞台監督:中村一文   照明:蓮沼元宏
音響:光延朋哉  宣伝美術:宮内一敏・正嘉人
●演出のことば
 正嘉昭(演出家・日本女子大学客員研究員・前所沢市文化芸術振興ビジョンアドバイザー)
 『デゴイチ』は、私が中学教員だった頃、中学校演劇のために書き下ろした脚本です。
地区大会から都大会での発表を経て、全国大会で多くに人々に観ていただいた作品で
すが、他の中学校や高校や大学でも上演された、親しみやすい雰囲気のドラマです。
 ところざわ太陽劇団でも2006年、2010年、2015年と舞台化してきました。
 そのつどその時々の想いを入れて書き直してきましたが、今回の2018年版も、新たな場
面を加えて「現代化」を施しました。
 どんな中学生のデゴイチたちが皆様の前を飛翔するか、ごゆっくりお楽しみください。
 あわせて中学1年生だけの武蔵村山三中演劇部の新作『船出の時』をお楽しみください。


 ところざわ太陽劇団は正さんが主宰していますが、同世代の伊藤行雄さんが盟友といってもいい存在で、常に活動を2人で担ってきました。この劇団で一番感心するのは、常に温かい劇空間を創り出していることです。演劇を通してそれぞれ参加者が成長していく創造団体なのです。劇団そのものが演劇教育そのものを実践し体現しているかのようです。そしてそれを温かく見つめる観客がまた素晴らしいのです。家族的な雰囲気を漂わせた劇空間を常に保っています。
  演劇教育の代表的な実践者・研究者として正嘉昭さんは間違いなく歴史に名前が残る人です。存命なら副島功さんが手がけることなのでしょうが、時代を併走してきた私は遠からぬうちに正嘉昭論をものにしたいと思うのです。彼の劇は1980年の全国演劇教育研究集会上演の『しらけ仮面』が初見ですが、1995年演劇教育賞受賞『閉じこもりし者』、『ザ・ライオン』などが特筆されるのです。
 そして、同世代の並び立つ演劇教育の巨人として故・渡辺茂、梶本暁代を抜かすわけにはいきませんので、渡辺茂論、梶本暁代論もいずれ手がけたいと思っているのです。
*彼らの仕事については、渡辺茂追悼を本ブログ〔101〕に掲載したことがありました。劇団X探偵社は現在も活動中です。

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