元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

黒田官兵衛の「異見会」は、今も経営の手法として通用する!!

2014-01-20 04:08:45 | 社会保険労務士
  秀吉・家康から警戒された官兵衛が編み出したのが、この「異見会」の経営手法!!

 黒田官兵衛は、軍師竹中半兵衛亡き後、天下取り前夜から、秀吉の軍師として仕えた。

 
 秀吉は毛利の中国攻めの総大将として、備中高松城の水攻めの真っ最中であった。官兵衛は敵の伝令をつかまえて驚いた。織田信長が本能寺で明智光秀に打たれたという。深夜であったが、秀吉を起こしてそのことを伝えた。このとき、秀吉は、すぐさま決断できたといえば、うそになる。16歳のときから草履取りになって使え、信長のおかげでここまでこれた秀吉である。全面には毛利勢、後方には明智と挟まれ、進むも退くも敵だらけである。ならば取って返して、明智を打ち「天下を取るしか方法」はない。そう決心したとき、官兵衛が近づいてきて、「殿、運が開けてきましたなあ」とつぶやいた。よく、ツイッターでつぶやき問題になるというが、それまで固い契りで結ばれていた2人の間に、なにやら暗雲が漂い始める。

 この官兵衛の一言が秀吉には、よくなかった。この一言で冷静になった秀吉は、自分の心を見透かされたと思い、このとき官兵衛を油断のならないものだと思った。その直後、秀吉は、明智を倒し、賤ヶ岳で柴田勝家と争いこれを倒し、島津とも戦い、天下を手中にすることになった。その下には必ず軍師官兵衛がいたが、豊前中津12万5千石を与えただけで、中央から遠ざけられてしまった。この頃のことである、何を思ったか(彼には分かったいた、警戒されていたことを)、頭をまるめて、彼は「如水」と称した。また、徳川家康からも警戒され、九州福岡への転勤を命ぜられたが、そのとき、親友の小早川隆景から、「あなたは頭の回転が良すぎる。もっと鈍くなって決断を時間をかけてなさるがいい」といわれた。

 秀吉が側近の者に自分の死後天下を取るのは誰だと尋ねたことがある。徳川家康、前田利家などの名前が取りだたされたが、「もう一人忘れている、黒田如水よ、他人に争わせておいて、さっと天下をさらう男よ」といったが、秀吉の警戒心がよくわかる。

 そこで、黒田家では、如水(官兵衛)、子の長政親子で始めた「異見会」というものがある。(官兵衛が始めたとも長政が始めたともあるが、真相は、官兵衛が親子の間で、家督を譲っていくうちにできたものではなかろうか。) 毎月一回、意見会を開き、身分の上下なく、経営上の問題を部下と自由に意見を戦わせた。官兵衛の頭の回転の良さ、「即断即決」は、戦国の世の中では、通用するが、もはや戦国ではないと悟った彼は、世の安定したときには、組織による討議による政治手法が適していると考えた。意見を戦わせその中の意見を反映させて、政治をやっていくという手法である。この官兵衛の世の趨勢を見抜く先見の目には感心する。ボトムアップとトップダウンの使い分けをよく知っていたのである。

 ところで、この異見会、「意見会」ではなく「異見会」である。一致した意見ではなく、イエスマンではなく、異なる意見をいえというのがよくわかる。意見会のルールとして、身分を忘れると言ったが、、トップといえども、例外ではない。トップにも、いいにくいことを言えということである。始めてみて、部下は官兵衛にかなり批判的であることに気がついた。官兵衛がそのことなら、知っているというと、「自分の話を最後まで聞いてくれ、そこがあなたの悪い癖、あなたの知らないこともある」として、たしなめられたという。自分の作ったルールであるから怒っても仕方ない。頭のいい「即断即決」で戦国の世を生き抜いてきた官兵衛は、ここで自分を反省することになった。こういった諫言を受け入れられる官兵衛の度量の大きさにも感心する。

 トップは、部下の諫言をいかに取り扱うかでその人のリーダーの資質が問われるという。何でも言いたいことを上司にいう風通しのいい職場というが、「言うのは易し行うは難し」。あまり申し上げると上司も不機嫌になるのではないだろうか。(実は、私も仕えていた時、部下の批判をおそれていた一人である。)

 意見会は、260年余り続き、明治維新の廃藩置県(明示4年)まで代々続き、黒田家は安泰だったのである。


<⇒異見会の基となった「官兵衛の家訓」> 

<参考>
・日本を創った10人の名参謀 邦光史郎著 廣済堂
・人を活かす 童門冬二著 産能大学(通信教育教科書)
・人間の器量 童門冬二著 三笠書房
・英傑たちの人材発掘法  童門冬二著 学陽書房

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