元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

就業規則の作成義務のある常時10人以上の事業所とは??

2018-04-09 09:35:43 | 社会保険労務士
 10人未満の事業所でも就業規則を作成したら従業員への周知は必要!!

 最近まで、宮崎県の事業として、介護職員処遇改善加算の促進の手伝いをしていました。(そのため、ブログを書く機会がありませんでした。)
 そこで、通所介護事業として、一般にはデイサービスと言っていますが、この事業は、従業員が10人前後で就業規則を作るかどうかの境界線にある事業所のようです。

 まず、なんで10人以上になったら就業規則を作らなければ労働基準法でならないと決められているのかと聞かれましたが、これは、簡単にいえば、企業経営は、ある程度の組織になるとその組織を秩序づけて組織化するためのは、服務規程や労働条件をルール化しておく必要があるからです。どっかで線を引かなければなりませんが、その線を法律で10人にしたにすぎません。多分、10人程度になると、組織の秩序のためにはその必要性を感じたからでしょう。

 再度申し上げると、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、これを遅滞なく所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。変更の場合に同じ」(労基法89)となっています。この考え方についてまとめました。

 <常時10人以上の考え方>
 行政解釈は、「常時10人以上の労働者を使用する」とは、一時的に10人未満になることはあっても、「常態として」10人以上の労働者を使用しているという意味であると解されています。言い換えると、常時とは、普通の状態=通常の状態のことであって、「一時的な状態」のことではありません。

 仮に10人の事業場があって急に1人が退職したが、すぐには人は来ないので、この場合一時的に9人の事業場となったとしても「常時10人以上」に該当します。また、通常は9人の事業場であって、夏場の書き入れ時に2人採用して、一時的に11人になっても、それは一時的に11人になっているにすぎませんから、「常時10人以上」には該当しないのです。

 注意すべきことは、パートタイマーやアルバイトも含めた数となっていますので、常にパート等を雇っている場合は、その人数もカウントしますが、派遣社員は含めません。

 総じて、事業場の労働者の数が、「常時10人以上」になれば、その事業場は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
 10人未満のときはどうなるかというと、行政解釈によれば、常時10人未満の労働者を使用する労働者は、就業規則の作成義務はありませんが、労基法の趣旨にかんがみ、就業規則を作成することは望ましいと言っています。労基署でも、10人未満であるから届け出を受け付けないことはありません。労働者・使用者で双方で「公け」にするために、届け出をする事業所は多くあります。

 しかしながら、10人未満の事業所には届け出の義務はありませんが、従業員の周知(職場に就業規則が掛けてあるとか、皆に配布したとか)がされていない場合は、例えば就業規則に懲戒解雇が規定されていても、当該解雇はこれに基づき当然できません。従業員に負担義務を負わせるためには、周知は欠かせませんし、それは就業規則を作っているとはいえません。

 分かれて書いてある給与規程等も就業規則の一部ですので、全く同じ取扱いとなりますので、注意してください。その意味で、就業規則と給与規程等は離さずに一つにして綴じておいた方がよいでしょう。
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