私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

白馬八方尾根スキー場でしごかれたお話

2017年01月21日 | 旅の楽しみ

~ 白馬八方尾根・白馬三山を背景に ~
左から白馬鎚ヶ岳・杓子岳・白馬岳

むかしむかしの、結婚前に勤めていた頃のお話。
職場では冬になると、老若男女入り混じって、
研修旅行と銘打ちあちこちのスキー場に遊びに行っていた。

メンバーの中には、元国体スキー選手だったという人がいて、
この時には、白馬八方尾根スキー場に連れて行ってもらった。

ずんずんとリフトで一番高いところまで上がって、
「さあ!ここから滑って下りるぞ!」
そう言い放って彼はサーっと滑って行ってしまった。



他のメンバーも次々に滑って行ったが、まだ初級の私にはとても無理!
だって斜面は、私の目には断崖絶壁のように見えて、ちょっと間違えば
スキーもろとも谷底に滑り落ちて行きそうだった。

それもそのはず!このスキー場は最大傾斜35度、最長滑走距離8,000m、
ゲレンデはたくさんあるが、その大半が斜度が強めの中上級者向けで、
上級者が腕を磨くスキー場だというのであった。



そんなこととは知らずに、負けず嫌いな性格がムクムクと頭をもたげ、
なんとしても滑り切りたい!
他人に負けるのはどうもないが、自分にだけは負けたくない!
そんな思いで何度も転びながら、乾く喉を雪で潤しつつ滑って行った。

途中何度か休んで周囲を見ると、そこには絶景が広がっていて、
眺めは良いが、ゴールが全く見えない悲惨な状況に一人ポツンといるのだった。

それでもとにかく下りるしかない!
泣いてもどうにもならない!

それからずいぶん経って下の方から声が聞こえた。
「おーい、早く来いよ~」
「はーい、頑張ってるんですけど~」

「日が暮れてきたからスキーを外して歩け!」
「大丈夫です!頑張ります!」

「ダメだ!遭難するぞ!」
その一言で私も諦めがついて、スキーを外して歩いて下りた。
自分一人なら暗くなっても滑っていただろうが、
遭難して皆に迷惑をかけてはいけないという判断だった。

しかし、この苛酷な経験は、
その後どのスキー場においても
恐怖心を抱かないという度胸を植え付けてくれた。

獅子は生まれて三日目の子を谷に突き落として、
這い上がって来たものだけを育てるという言い伝えがあるが、
今回は正に、この「獅子の子落とし」のようで、
苦難の道を切り拓き精神を鍛えるのに相応しい
「愛情あるしごき」だった。




~ 妙高国際スキー場 ~

こちらは日本初の国際スキー場。
広々としていて、私のような初級者でも爽快に滑ることが出来る。




~ 六日町ミナミスキー場 ~
(現在はムイカスノーリゾート)

こちらは素敵な林間コースがあって、一列になって滑り下りることが出来る。
さあ!行くぞ!
10人のメンバーが次々に出発。
私は真ん中あたりに挟んでもらって滑っていたが、
つい調子に乗って、前を滑る男性について行ったら、
急カーブを曲がり切れずに、谷に向かって大ジャンプをするはめに。
ぐるーっと折り返して下を滑っているメンバーが見える。

焦ったけれど、もうどうにもならないから、そのまま飛んだ。
もちろん、その後は雪の中に埋もれたが、皆が助けに来てくれて
怪我もなく無事にコースを滑り切ることが出来た。

度胸がついたのはいいけれど、
やはり身の程は知っておく必要があると学習した研修会となった。




コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする