私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

秋の日の 稲穂に垂れる 頭かな

2014年09月30日 | 思うこと

                        実るほど 頭を垂れる 稲穂かな  (詠み人知らず)

            私は最近、この姿を見ると、有難い気持ちでいっぱいになる。
            この年になってようやく毎日のご飯が頂けることに感謝の気持ちが生まれたからなのである。

            親世代は敗戦のどん底から這い上がり、どれだけ食べるために苦労をしたことか、、
            その苦労の様子は父母からよく聞かされていたので、何となくは分かっていた。
            しかし、戦後に生まれて、現代っ子と呼ばれ、経済の上昇気流に乗って育った私は何の心配もなく、
            毎日ご飯が食べられるのは「当たり前」と思って暮らしていた。
            そして、それはうかつにも、つい最近まで思っていたことなのである。

            ところが、昨今の経済状態、超高齢化社会、未婚者の増加、少子化、それを支えていく若い世代の負担等々
            そして、若い世代がもらえる年金は?
            それらを考えると、子供達が皆社会人になった今、この子達が老後も「当たり前」にご飯が食べられる
            だろうか、、と心配になるのである。

            「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」という詠み人知らずの俳句がある。
            日本の美しい秋の情景を詠ったものだが、格言的に使われることが多い。
            私も父によく言われたものだ。
            英語でも「一番実のなっている枝が、一番低く垂れ下がる」というのがある。
            「実るほど、、」の俳句にそういった意図があったのかは分からないが、私なりに「食べられること」に
            感謝の気持ちを持つことから全てが始まる、そう思うようになったきっかけの俳句である。
            

            私はこれからの若者が「食べていくこと」の大変さを考えると、元々稲が瑞々しく実る国であった日本が
            これからも発展し「食べる心配」の無い国でありますようにと祈るばかりである。

            稲穂に感謝を込めて「秋の日の 稲穂に垂れる 頭かな」 (越後美人) お粗末様でした。
            
            
           
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夢追い人の水琴窟

2014年09月25日 | 思うこと

                                     軒先の水琴窟

                       ポロン、ポロロン、、キン、コン、、頭の中で響き渡るような
                       不思議な音色、、「水の琴」とは素敵な名前ですね。

                       7月16日から桃井ミュージアムで開催され、好評のため会期が
                       9月22日まで延期された「涼を呼ぶ水琴窟の祭典」に行って来ました。

                       今までの水琴窟といえば、茶室や寺院の庭に設えられ、地中に埋め
                       られた壺の中に落ちた水滴の音が聞こえる、というものでした。

                       ところが、ここでは地上に置かれた多種多様な水琴窟が展示され
                       そのユニークな作品を楽しむことが出来ました。

                       ミュージアムの入口に置かれた「軒先水琴窟」は、雨乞いしている
                       カエルに水をかけると「キン、ピン、コン、、」と音が出ます。

                       壺も美しく、お客様をお迎えする玄関に置いたら映えますね。
                                              



                 室内型箱庭水琴窟

         約一分間、リズムや音域の違う様々な水琴音が聞こえます。    
         この一つの壺でオーケストラのように複雑な音色を出すために
         作者の長棟州彦氏は長い年月の研究を重ねられたそうです。
         諦めずに続けられることは素晴らしいですね。



          室内型箱庭水琴窟の全体像

 癒しの水琴窟
     付属の木筒を耳に当てると水琴の音がよく聞こえ、
     両耳に当てると、頭の中で音が響き渡ります。
     それで「60秒のオーケストラ」なんですね🎶




          石のテーブルの水琴窟

     小さな灯籠のあるミニ庭園が設えてあり、その庭に
     水をまくと水琴音がなる仕組みです。

     実際に外のテラスとして、こちらでお茶を頂くことが
     出来ます。海風が心地よく気持ちがいいですよ。



     こちらも石のテーブル水琴窟です。
     上には盆栽付きの石庭が設えてあり、やはりその庭に
     水をまくことによって水琴音が聞こえます。

     この天板の周囲はくり抜かれていて、ここに水と氷を
     入れてビールを冷やすといいのだそうです。

     すると、氷が徐々に融けて「キン、コン、キン、、」
     と聞こえる仕組みになっているとか、、遊び心一杯♪




         巨大石臼の水琴窟

    こんな大きな石を丸々使っているところにまず驚きます。
    作者の想像力と創造力、またそれを実行する力に脱帽!



         手洗いの水琴窟

    手を洗うと、その落ちた水で音が鳴ります。
    ポン、ポロロン、キン、コン、、
    小さい子が何度も手洗いしたくなるようですね。



                   瀬戸内海と小豆島



                     瞑想の水琴窟

    美しい瀬戸内海を眺めながら、この揺れるブランコに乗って水琴音を聞くのも
    贅沢なひと時。ユラユラ揺られながらお昼寝できたら最高ですねぇ、、

    そのままでも水琴音はきれいに聞こえますが、付属の聴診器をつけるとさらに
    頭の中で響いて美しい音色を楽しむことが出来ます。
    アイディアが光ってますね☆



           義士の水琴窟

    さすが、ここは赤穂市、水琴窟の上には大石内蔵助の像が!
    大石さんに水をかけて水琴を鳴らします。

    壺に描かれた絵は、島根県の陶芸家安食ひろ氏。
    庭にオブジェとしても素敵ですね。




                 義士の水琴窟と大石内蔵助についての説明




                 箱庭水琴窟

    小さいながら立派な庭、思わず小鳥が飛んで来そうです。
    心を癒す方法として、箱庭を作る、と聞いたことがあります。
    作って楽しみ、眺めて楽しみ、聞いて楽しむ。
    そして心も柔らかくなる、、



                 番外のししおどし

    この黒い甕は、わざわざ岩見(島根県)から、良い音のものを
    選び抜いて運んできたものだそうです。
    この「こだわりの努力」に拍手!

   ☆ 掃除しやすく、音よし、リズムよし、楽しく、そしてダイナミックな水琴窟。
     長棟氏の創造力とそのエネルギーには本当に驚かされます。

     これで終わりではなく、まだまだ研究は続くとのこと。
     夢は続くようです。                          水琴窟工房はこちら、興味ある方はどうぞ。
                                             http://nagamune-zouen.boo.jp/
            
                                                                              
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桃井ミュージアムを楽しむ

2014年09月24日 | 美術工芸
                                          

                  雲火焼の皿と季節の花

   ここは兵庫県赤穂市御崎にある桃井ミュージアム。
明治の初めに途絶え、陶土も焼成方法も共に不明で「幻の焼きもの」と
言われた雲火焼(うんかやき)を復元し展示する特色あるミュージアムです。

   これは、玄関の下駄箱の上に飾られた雲火焼の皿です。中に炭が立てられて
   花入れとして使われていました。敷き紙との色映りも素敵でしばらく見入って
   しまいました。
   このミュージアムの素晴らしいところは、こんな小さな空間でも「一幅の絵」に
   してしまうところなんでしょうね。   

   雲火焼の他に、常設展示として館長の桃井家に伝わる世界各国の美術品や
骨董品があり、こちらも必見の楽しみの一つです。



            

            



                桃井ミュージアムの広々とした庭

 この庭には10基の趣きと音色の違う水琴屈(すいきんくつ)が点在しています。
 柄杓で水をかけると「ポン ポポ ポン♪」「キン コン♪」と不思議な音色がします。
 石の椅子に腰かけて、ブランコに揺られながら、寝転びながら、
好き好きに楽しめます。
   
 芝生の庭は寝転ぶのに最適!子連れで来ても大丈夫!家族でも楽しめます。
         


              



                          瀬戸内海国立公園

       庭からは瀬戸内海の美しい景色を見ることができます。
       海を眺めながらオープンテラスでティータイムも気持ちいいですよ。
       中にあるカフェテラスからの眺めも素敵です。


       



                     白色曼珠沙華

       水琴屈巡りの途中に白い曼珠沙華が咲いていました。
       よく見かけるのは赤色ですが、白色は珍しいですね。
       曼珠沙華は「彼岸花」とも言われますね。本当に彼岸の頃に
       決まったように咲くので「律儀花」とも言われるそうです。
       天候不順なこの頃でも、間違わずに大したものだと感心します。


       



                        ギャラリー

     桃井氏と長棟氏によって復元された雲火焼を展示販売しています。
     この焼物の特徴は、つるんとした象牙色の膚に橙色と黒色が入り
     夕焼け空のような美しい窯変が現れていて上品な雰囲気です。
     箸置きのような小さいものから、風炉のような大きいものまで、
     いろいろな種類のものが展示されています。
     その内、花入れと水指の良い出会いがありますように、、




                        茶室

     片隅に一段高く茶室があります。
     雲火焼の道具が据えられ素敵な雰囲気です。
     この茶室は借りることができて、お茶会を開くことが出来ます。
     お道具も貸して頂けるそうです。


                        



                      お茶を一服

     館内はカフェにもなっているので、好きな所でお茶を頂く
     ことができます。

     コーヒーもありますが、お勧めはこの抹茶のセットです。
     時代物の塗りのお膳に、ミュージアムオリジナルのお菓子と
     抹茶の点てられた雲火焼の御茶碗が乗せられて出されます。

     このお膳は、館長の桃井家に伝わる古い貴重なお膳です。
     この時は菊にすすき、女郎花の秋草模様でしたが、季節に
     合わせて取り替えるとのこと。他の季節はどんなでしょうか、、

     また、このお菓子は当館オリジナルとのこと、雲火焼を
     イメージしているようで素敵ですね。
     ツワブキの葉も美しく、色々に楽しめるセットです。

     館内のロビーにはゆったりと座れるソファーもあり、そこで
     ゆっくりくつろぐことも出来ます。外でも中でも好きな所で
     のんびり過ごせる、それもこのミュージアムの魅力ですね。


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潮風とロマン 神戸海岸通り

2014年09月21日 | 旅の楽しみ

                             海岸ビルと商船三井ビルディング

              神戸の中心街から旧居留地界隈の「クラシカルなビルウオッチング」しながら南に下ると
              メリケン波止場近くのこの海岸通りに出て来る。

              街の喧騒をよそに、重厚な石造建築が立ち並ぶこの通りは、どこかヨーロッパの街角を
              思わせ魅力的である。

            ☆ 商船三井ビルディングは、1922年(大正11年)竣工。当時は珍しい7階建てという「高層ビル」。
              アメリカルネサンス様式のこのビルは渡辺節の設計で、設計するにあたって欧米を視察し、それに
              より得たものを生かして、テラコッタを外装にプラスターを内装に使用する等、日本初となる技術
              を数多く導入することに成功している。

              東京の丸ビル(先代)、大阪市のダイビル(大阪ビルディング)本館なき今、大正期の大規模
              オフィスビルとして現存するものはこの建物のみとなっている。ー参考 ウィキぺディア

              また、近代化産業遺産(「旧居留地銀行ビル群、海岸通高層ビル群」の一部)に指定されている
              とのことで、このビルが大事に後世まで残されていくのだと思うと、深く深く安堵するのである。

            ☆ 海岸ビルは、商船三井ビルディングの手前に見えている。
              1918年(大正7年)地上4階、地下1階、旧三井物産神戸支店として竣工。
              河合洗蔵設計で旧外壁は国の登録有形文化財となっている。

              阪神淡路大震災で全壊指定を受けたため、幾何学的装飾が施された外壁は撤去、保管され、その後
              同じ場所に新しく再建された高層ビルの低層部に旧外壁を再構築した。
              商船三井ビルディングと同様に、近代化産業遺産となっている。ー参考 ウィキぺディア

              爽やかに潮風香る海岸通りと、この二つのビルは港町神戸のロマンをかき立てる。
              日が沈むとライトアップされて昼間とは違った装い、そぞろ歩きなどしてみましょうか、、

              
              
                
              
                
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ルミナスKOBE2 スイーツクルーズ

2014年09月20日 | 旅の楽しみ

                 今日は背の君とスイーツなクルーズデート

                    
                    静かに進む船
                    パノラマで見る陸の景色
                    見慣れた六甲山も須磨の海岸も違って見える

                    普段見慣れた顔でも、少しは違って見えたかな、、
                    船はちょっぴりロマンチックな気分にしてくれる
                    ああ、やはり海はいいな、、船はいいな、、

                    ゆったりと静かで贅沢なお茶の時間

                                
                 



                                ルミナス神戸2

            この船は日本最大のレストランシップ
            初代ルミナス神戸を引き継ぎ1994年に新造船され、ルミナス神戸2として就航した。
            船内は1930年代、客船が華やかに活躍した時代を代表するフランスの豪華客船
            ノルマンディ号をイメージしてアールデコ調に統一されている。

            雰囲気とグレードの違う7つのレストランがあり、私達は開放的な「カリブ」に入室。

            そして、見るからにグレードのある「ザ.ノルマンディ」は洋上のVIPルーム。
            いつかこの部屋でディナークルーズ。楽しみはとっておこう。




       「カリブ」は階段を上って左。
            



                           須磨の海岸沖

              向こうに見えるのは「明石海峡大橋」右側が明石、左側は淡路島。
              ここから船首を左に回して神戸空港沖~ポートアイランド~メリケンパークへ。
              



              船首がくるりと回って陸地に向かう。



              向こうに見えるのは大阪湾と「大阪」



                         六甲山と神戸の街

                    あと20分ほどでメリケンパーク
                    1時間30分のクルージングが終わる
                    船出もいいが、船入もいいものだ
                    心はやわらかに晴々と、、
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姫路城西御屋敷跡庭園 好古園お茶室の一日

2014年09月17日 | 茶の湯便り

                                好古園 庭園への道

             こちらは、姫路城の西隣りにある武家屋敷跡に造られた池泉回遊式日本庭園です。
             広大な敷地に、滝や池のある「御屋敷の庭」や本格的数寄屋建築の茶室双樹庵の「茶の庭」など
             9つの庭園があり、四季折々に美しい姿を見ることが出来ます。

      
                   今日はお茶室の当番です。
                   大人4名、学生4名で、張り切って一日ご奉仕させて頂きます。
                   さあ、どんな出会いがあるのでしょう、楽しみです。
             

                



       お茶室に行くまでに、その道すがらほんの少しご案内しましょう。
       まず、この「御屋敷の庭」の門をくぐり中に入ります。
       すると、次々に違った趣きの庭が現れてきます。
       花の時期、青葉の頃も素敵ですが、11月中旬の紅葉の頃は、必見の
       燃えるような紅葉がお出迎えします。
 
       




       築地塀や屋敷門など、江戸時代を彷彿とさせる景観により、時代劇や
       大河ドラマの撮影に使われることも多く 「るろうに剣心」「水戸黄門」
       「暴れん坊将軍」などのロケ地にもなりました。

       一般の方も着物姿で記念撮影はいかがでしょうか。
       お正月の晴れ着姿、夏の浴衣姿、、
       卒業式の後にはかま姿で、、成人式のあとに振袖で、、素敵でしょうね。

       以前、撮影会で京都の舞妓さんが来たことがありました。
       あちことでポーズをとっていましたが、どこも絵になっていました。
            



       くるりと回るとこの広場に出てきます。
       茶室「双樹庵」の横になりますが、姫路城が見えます。
       お城を借景とする庭は、歩いているとお殿様になった気分です。



       お茶室「双樹庵」への入口です。ここから「茶の庭」を見学できます。
       お庭見学の後に一服どうぞ!着物姿の大和なでしこがお待ちしております。
       外国人もたくさん訪れ、茶室では楽しい会話が弾みます。



       双樹庵の床の間です。
       掛物は奈良市柳生 芳徳禅寺の橋本紹尚和尚 秋月揚明輝
       香合 堆朱
       花入れ  籠唐物写
       花    すすき、野かんぞう、ホトトギス、水引、フジバカマ

       今日のお客様は122名。内19名は台湾からのツアーのお客様。
       通訳の方がお辞儀の仕方やお茶碗の扱い方、お茶の飲み方などを
       一通り教えておられましたが、皆さん興味津々といった様子でした。

       畳に座ってお辞儀するのが珍しいらしく、代わる代わる私達とお辞儀
       している姿をカメラに収めていました。

       この後どこに行くのかと質問したら、岡山城とその公園(後楽園}に
       行くとのことでした。お城巡りのツアーなのでしょうか、、
       そうだとすれば、中々渋くて落ち着いたツアー内容ですね。



       茶室から見た「茶の庭」です。
       やはりお茶を頂きながら眺めるのがいいですね。
       歩き疲れた体を休めて、ひと時をゆっくりお過ごし下さい。

       今日も国内外の大勢のお客様をお迎えしました。
       イギリス人の若者がニッコリして、お菓子もお茶も両方「グー」と
       言われていた姿が印象的でした。
       
      



       お茶室の中に茶釜が展示されています。
       秀吉の時代に、姫路城築城の折、現場用に使用されたと言われています。
       
       この播磨釜は鉄製で直径24.5cm、高さ14.8cm。取っ手付き。
       胴に「築城用」「播磨」「天正」の文字と桐の紋が入っています。
       400年以上も前の釜は残っているのがまれとのこと。
       1993年に高砂市の所有者から姫路市に寄贈されたもので、久々の公開
       ですので、この機会に是非ご覧下さい。




       茶釜の説明書きです。
       一緒に展示されていますので、細かいところは実物をご覧下さい。

       お茶室、一日のご奉仕は無事に終了しました。
       学生たちも、たくさんのお客様と接して良い経験をさせて頂きました。
       お褒めの言葉を頂くこともあり、自信にも繋がったことでしょう。
     
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西国三十三か所巡礼 第一番札所 青岸渡寺

2014年09月13日 | 札所巡り

                                      那智の大滝
                                 補陀落や 岸打つ波は 三熊野の
                                         那智の御山に 響く滝津瀬

                     那智の滝は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の那智川にかかる滝で
                     落差は133m、一段の滝としては日本一を誇り、栃木県の華厳の滝、茨城県の
                     袋田の滝と共に、日本三大名瀑に数えられている。

                     国指定の名勝であるが、平成16年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」として
                     ユネスコ世界遺産に登録された。隣接域の那智原生林も世界遺産として登録され、
                     国指定の天然記念物にも指定されている。
                     



                                飛瀧神社

                飛瀧(ひろう)神社のご神体は「那智の滝」そのもので、本殿も拝殿もなく
                大滝自体を直接拝観することになっている。

                落差133m、落ち口の幅13m、滝壺の深さ10m。
                毎秒1トンの水量は、その高さと共に日本一。
                「どうどう」と流れ落ちる様は見るだけで心洗われる思いである。


    


                                青岸渡寺
                        天台宗 本尊は如意輪観世音菩薩(秘仏)
                        開基 裸形上人  創建 仁徳天皇時代(313~399)

              このお寺の始まりは「那智の滝」である。
              仁徳天皇時代に、天竺僧の裸形上人が仏教を広めるために、熊野の浜に漂着し、
              熊野一帯を巡り那智の大滝を見つけた。

              この大滝での修行により、八寸の観音菩薩を感得しこの地に草庵を結びお祀り
              したのが開山の由来である。

              その200年ほど後の推古天皇時代に、大和の生佛上人が椿の霊木で4mの如意輪観音像を      
              刻み、裸形上人が監督した八寸の観音を胸佛として納め、推古天皇の勅願を仰ぎ初めて
              如意輪堂が建立された。

              その後、多く高僧や歴代の上皇が修行や御幸で訪れているが、中でも六十五代花山法皇が
              那智の大滝で千日もの修行を積まれて、ここから巡礼の旅に出られた。
              その旅こそが現在の西国三十三か所の始まりである。

              一番札所の青岸渡寺から三十三番札所の華厳寺(岐阜県)までの巡礼の旅は、総延長
              1200km、難所も多いと聞く。心して巡ろう。

                          



                           那智の大滝と三重塔



                          熊野那智大社

   
            この神社の始まりも那智の大滝である。
            ー神武天皇が熊野灘から那智の海岸「にしきうら」に上陸された時に、
            那智の山に光が輝くのを見て、この大滝を探り当てられ神としてお祀りし、
            そのご守護のもと、八咫烏(ヤタガラス)の導きによって無事大和へ
            お入りになったー以上社伝より

            始まりは青岸渡寺と同じ「那智の滝」であり、明治初期の神仏分離までは、
            隣りの青岸渡寺と一緒に二つあわせて神仏習合の修験道場として栄えた。

            熊野夫須美大神を主神とする熊野十二権現と共に、別宮、飛瀧神社のご神体
            那智の滝を祀る。

            全国に約400社あるといわれる熊野神社の本社であり、神仏霊場巡拝の道
            和歌山三番となっている。
               
               
               



                      美しい熊野那智大社



                   境内からの眺望(向こうに見えるのは太平洋)

            熊野那智大社と青岸渡寺、那智の大滝は周辺の自然と共に世界遺産である。

                                       
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骨董市で掘り出した明治の版画

2014年09月08日 | 時空を超えて来たものたち
                    
                                      縫い物 
               この版画を見つけた時は本当に嬉しかった。
               40代くらいの女性店主の店で、箱の中にいっぱいあった中から
               文字通り掘り出してきたものだ。

               紙類のものは、たいてい箱の中に重ねてしまわれているので、
               それを一枚ずつ鑑賞しながらめくり、お目当てのものを探す
               ことになる。

               何が出て来るか分からない、、次は何だろう、、
               これがたまらなく楽しいのである。

               そんな楽しみの最中にハッと出会ったのがこの版画である。
               明治31年、宮川春汀の有喜世の華(うきよのはな)美人画
               シリーズの内のこれは「縫い物」。

               開け放たれた縁側から時折涼しい風が入る居間。
               まだ夏模様の襖。
               そして着物には、秋海棠が描かれている。
               夏と秋が混在するちょうど今頃。

               赤くて可愛い着物を縫っている。
               娘さんのものだろうか、、、
               あたりはシーンとしていて、チクチクと縫っている音が聞こえる、
               そんな一コマである。

               前回の大石神社の骨董市では、明治の戦記物がほとんどだった。
               戦記物のコレクターにはお宝だが、私はやはり人物や花などの
               優しく美しいものが欲しい。

               いつかまた、ハッとしてグーなものに出会えるのを楽しみにしよう。

                                *また明日お会いしましょう。
               
               
               
               

                         

                                  
          
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インド首相モディ氏と一碗のお茶

2014年09月04日 | 茶の湯便り

                  9月2日の神戸新聞に「モディ首相が正座で茶堪能」の見出しで
               1日の午後、安倍晋三首相と共に表千家の東京稽古場を訪れ、
               薄茶を堪能した、とあった。

               きちんと正座され、作法にならってお茶を飲み、微笑みながら
               「よろしいと思います」とお礼を述べられたとのこと。

               私は裏千家でお世話になっているが、この表千家での出来事は
               流派を超えて、お茶に関わる者として嬉しいことであった。

               外国の首相が、日本文化の一つである茶道に触れて下さったと
               いうことだけでも嬉しかったのだが、モディ首相の「微笑みながら」
               「よろしいと思います」との優しく美しい所作に感動し、また
               一碗を心から楽しんで下さったことが、さらに嬉しく思えたのである。

        
               心と心をつなぐ一碗のお茶、心を込めた一碗のお茶。
               国も言葉も超えたところにある共に楽しむ和みの心。
               そんなことが感じられるインド首相モディ氏の一碗のお茶でありました。

                               *では、次回は9月8日にお会いしましょう。               
              
              
               
               
               


               
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初秋の装いに変換 絽縮緬

2014年09月03日 | 着物の楽しみ

              絽縮緬の着物
               縮緬の一種ですが、ふつうの縮緬地の中に隙間を織り出したものです。
               夏用として使われますが、平絽や駒絽よりも少し地厚ですので、単(ひとえ)
               と薄物の間に着るものとされていました。

               ですが、近年の温暖化傾向による気温の変化によって、この絽縮緬の
               着用時期が広がってきています。

            夏の終わり~秋の初め
               9月に入って「秋」とは言っても、日中はまだまだ暑いですね。
               そんな時に、この絽縮緬の着物に夏用の帯を裏返して、白の分量を抑え、
               少し秋向きにしてみました。
               帯締めは夏組ではなく、平打ちや丸打ちのものに変えるといいですね。
               
               




夏仕様の組み合わせ
 こちらは、白の分量が多い表面を使用した夏バージョンです。
 帯締めは夏組の涼しげなものを使います。

 着物は、洋服のように季節に合わせて、あるいはその年の流行に合わせてと、
 そう簡単に買い替えることは出来ません。
 そこで、せっかく手に入れた着物や帯をどうしたら十分に活用出来るか、知恵を
 絞って、今あるものを大事に、また魅力的に使いこなしていけるといいですね。

                           では、また明日お会いしましょう。
        
                    
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 夏の夜の夢  フラワーロード庭園便り

2014年09月02日 | 「いと をかし」なものたち

             最近は、あの寝苦しい夏の夜から解放されて、ぐっすりと眠れるようになった。
           このところの朝晩の涼しさは「恵み」とまで思える。心底、夏の終わりが嬉しい。

           終れない夏
             ところが、夏の終わりが嬉しくない「小さい方々」がいる。
             8月31日、ある若いお母さんと久しぶりにお会いした。

             「久しぶりですね、お元気でしたか?」
              「はい、元気にしてました」

             「お互いに、夏を無事に乗り越えられて良かったね」
              「それが、、ウチはまだ夏が終わらないんです、、」

             明日はもう9月という時。
             この現実が「夢」であってほしい!
             「小さい方々」の最後の夏の夜の夢である。



                    フラワーロード 庭園便り

     JR神戸三ノ宮駅から海に続くフラワーロードに、オペラをテーマとした装飾花がある。
     市内の4か所で、その場にふさわしいテーマを取り上げているが、この場所では有名な
     オペラを季節ごとに演目を変えて表現している。
     今回はシェークスピアの喜劇「夏の夜の夢」で、美しい熱帯植物や観葉植物でその物語の
     不思議な雰囲気を表していた。     

     今見られるのはこの「夏の夜の夢」で9月中旬まで。

          9月中旬~11月中旬は「トゥランドット」
          11月中旬~12月下旬は「魔的」
          12月下旬~1月中旬は「蝶々夫人」
          1月中旬~2月中旬は「ロメオとジュリエット」
          2月中旬~は「椿姫」 とのこと、どんな演出になるのか楽しみである。

                                   では、また明日お会いしましょう。
             
           
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