私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

昭和初期・大連大和ホテルの華燭の典

2015年05月30日 | 時空を超えて来たものたち




この写真は昭和13年2月3日に行われた結婚式の写真です。

縦21cm、横27cmの大きな写真で保存状態がよいため出席者の顔がよくわかります。
もう77年前の写真ですからこの中で存命の方はほとんどいないでしょう。

見知らぬ人々が居並ぶ中で、主人の祖父母が新郎新婦の脇に立っているのがわかりました。
位置的にみると、どうやら仲人として出席したようです。

天井が高く重厚な趣の室内、丸髷を結った女性、丸眼鏡やちょび髭、ポマードで整髪した男性、、
この写真から古き良き時代の雰囲気が感じられます。

義母が昨年施設に入居してから主人の実家は無人となってしまいました。
時々帰っては家の中の整理をしているのですが、今回はこの写真を含む
たくさんの古い写真を発見して持って帰って来ました。

この写真の時期には主人の祖父母家族は中国の大連にいましたから、ひょっとすると
この式場となった会場は大連の大和ホテルではないかと思い調べてみますとやはりそうでした。




こちらの写真は「大連賓館公式ホームページ」からお借りしました。

比べてみますと、壁の装飾、暖炉のデザイン、暖炉の脇の大きな絵画、窓の形、丸テーブル、
椅子のデザイン、壁に掛けられたランプの下の扇風機も同じく、しかもアングルもほとんど同じでした。

この大和ホテルは1914年の3月に竣工して、同年8月に営業が開始されましたから、今年で101年になります。
現在では「大連賓館」と名を変えましたが、今でも現役のホテルとして営業が続けられています。

2002年に大連生まれの主人の叔父を伴い訪れたことがあります。その時にはこの写真の存在を知らず、
まさか祖父母と同じホテルの一角に佇んだなどとは思いもよらずにいました。
知っていれば、もっと深い感慨を持って同じ空間を楽しむことが出来たでしょうね。

それにしても、時の流れをしみじみと感じさせるこの古い写真の数々、
歴史の一幕を語るものとして、後世に残すべき貴重な資料になるのかも知れませんね。



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北大路魯山人と近代工芸巨匠展

2015年05月28日 | 美術工芸

デパートの美術画廊での展示販売会に行ってきました。
国宝クラスの巨匠の作品ばかりを集めた展示会です。

このクラスの展示会は、今までは気後れして一人で入れなかったのですが、
ようやくこの歳になって会場に足を踏み入れることが出来ました。

北大路魯山人は以前からのファンだったのですが、この度は民芸の美を追求した
浜田庄司と河井寛次郎に新な興味が湧いていて、是非観てみたいとの思いがありました。

~ * ~

ちょうど今、神戸新聞で「リーチ先生」という題で、その二人に大きな影響を与えた
イギリス人の陶芸家バーナード・リーチを主人公にした小説が連載されています。

その中に登場する二人は、今までに私が知らなかった二人の魅力を伝えていて、
そのことが今回の作品を理解するのに大いに役に立ちました。
自分が成長して観る目も育っていたのでしょうか、そのこともあって
一つ一つの作品の持つ重みと大きさをしっかりと感じることが出来たように思います。

~ * 出品作家 * ~

北大路魯山人・・・(M16~S34)
浜田庄司 ・・・・・ 人間国宝・文化勲章受章受賞(M27~S53)
河井寛次郎・・・・・(M23~S41)
富本憲吉・・・・・人間国宝・文化勲章受章(M19~S38)
板谷波山・・・・・帝室技芸員・文化勲章受章(M5~S38)
初代・徳田八十吉・・・無形文化財(九谷焼)(M6~S31)
金重陶陽・・・・・・人間国宝(備前焼)(M29~S42)

※パンプレットの上から
備前筒茶碗・・・金重陶陽
色絵金彩紅葉文鉢・・・北大路魯山人

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薔薇色の一日を姫路ばら園で

2015年05月22日 | 花便り

さまざまな薔薇の姿と香り
ぼーっと眺めているとまるで別世界にいるよう

夢見心地の一日
薔薇色の一日




昨日は晴天、久しぶりに姫路ばら園に行って来ました。
ここには800種類、3500株のバラが育てられています。



敷地はそう広くはありませんが、とにかく種類と株の多さに驚かされます。
また展示方法も様々に工夫されていて見ていて飽きません。



野バラ、オールドローズ、マザーローズ、房咲きのフロリバンダ、イングリッシュローズ、
モダンローズ、、見事な大輪からキュートな極小輪までが揃い、どれも欲しくなってしまいます。




白いバラも多くの種類があり、赤や黄色のバラを引き立てつつ
白色の魅力もそのボリュームで十分に引き出していました。




白い柱と青空に優しいピンクのつるバラが映えていました。




所々にバラの雰囲気に合った白い像が置かれています。




つるバラのドーム、真ん丸でとても可愛いです。
中は結構広くてベンチもあります。
ちょうど良い木陰で、歩き疲れたらここで一息つけます。




バラにはそれぞれ名札がついています。
このような小さくてキュートな表情のバラも充実しているところがこのバラ園の魅力です。




このバラは折り紙で折ったような姿が変わっています。
表情も、あどけない幼児の笑顔のようでとても可愛いです。




黄色のバラも日差しを浴びてとてもきれいでした。
色々な種類がありますが、このバラはゴールドマリーという名前です。

~ * ~

薔薇、薔薇、薔薇の一日
薔薇色の一日
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姫路城・記念の茶扇子が御守りに

2015年05月19日 | 茶の湯便り



先日、お茶屋さんに行くと、この扇子が広げられて展示されていた。
はじめ飾り物かと思って見ると、脇に値札が置かれていたので売り物だと分かった。

普通なら、扇子は閉じられて、まとめてケースに入れられているが、この扇子は特別!
姫路城が世界遺産に登録され、平成の大修理も無事に終了したことを祝い記念に作られたとのこと。

限定品かどうか聞くのを忘れたが、取り敢えず無くならない内に一本は手に入れとかないと、、
そう思って、ちょうど良い時に来たものだとホクホクしながら買って帰った。

よく考えてみると、今まで使っていた扇子は全て頂き物で、自分で買ったものは一本も無かった。
この歳になって初めて扇子を買うという茶人も珍しいかも知れないが、
その初めて買う扇子がお城の記念品とは、なんという巡り合わせだろう、、

~ * ~ * ~

秀吉の時代から不戦城と言われ、幾度と廃城の危機に瀕しながらも命を長らえて
先の大戦でも奇跡的に戦火を免れた不死鳥のようなお城ですからね。

そう考えるとこの扇子は御守りのように思えます。
良い物を手に入れたものです。



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僕、迷子になっちゃったの?道路を歩くハト

2015年05月16日 | 野鳥のお話
「ハトが道を歩いているぞ!車にひかれそうで怖いよ!」

主人がそう言って報告してきたので、どれどれ、、と見に行くと
本当にハトがトコトコ、ウロウロと歩き回っていました。

近くに棲む山鳩は、カラスの攻撃を恐れて絶対に道を歩いたりはしません。
このハトはどこか町中に棲んでいて、カラスに襲われた経験がないのでしょう。
それに、私が近くに行っても怖がらないし、人間によく慣れているようでした。

主人が伝書鳩が逃げて来たのでは、、と言うのでしばらく様子を見ることにしました。




私の前を通り越して向こうへ行きましたが、、




少し行くと「あれっ」と立ち止まりキョロキョロ、、




「やっぱりこっちかな?」くるりと方向転換して私の方へやって来ました。
このまま「おいで、おいで」と呼べば来そうな様子、、
小さな足で右、左、右、左、としっかりと歩いているのがわかります。




何だか少し体が短くなった感じで、その後も黙々と歩き続け、、




しばらくすると、ちょっと体が立ってきました。




そして、ヒヨコのように真ん丸になってしまい、、




とうとう立ちすくんでしまいました。
ハトがこんな風に立ちすくんだところを初めて見ました。
直立不動に見えます。

今までに自分のいたところとずいぶん違うのでしょうね。
どこに行ったらいいのか皆目分からず、途方に暮れているといった様子。

足環をしていないので、たぶん町に棲む野バトなのでしょう。
伝書鳩なら保護して、飼い主を探さなくてはいけませんが、野バトなら
このままにしておくしかありませんね。

お家はどこかな、、無事に帰りついてね、、



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小さくて可愛いものは

2015年05月13日 | 「いと をかし」なものたち



これは、いかにも宅急便で桃が送られてきた風のお菓子の箱

表に書いてある「岡山のもも」「白桃」の文字も桃の絵も、本物の桃の箱にそっくりである。
しかも、箱の大きさにきちんとサイズが合ったプラスチックテープで括られていて
これだけ見ると本当に「桃」が送られてきたのかと思ってしまう。




ところが
大きさは、わずか幅17cm、奥行き12cm、高さ5cm、国語辞典より小さく、
隣に置いたタバコのケースが、実物より反対に大きく見えるほどの小ささである。

こういった小さいけれど本物にそっくりという物は可愛らしくて仕方がない!

千年も昔に清少納言も「ひな人形のお道具、小さな蓮の葉、小さな葵の花、
なんによらずミニチュアは愛らしげに見える」と言っている。
全く同感。この箱も本物そっくりのミニチュアだから可愛いのである。

さて、この可愛らしい箱をどうしたものか、、
しばらくは細々した物を入れて、小物入れとして使いましょうか、、




開けてみると、またまた桃そっくりなお菓子が六つ。
色といい、形といい、特選の白桃そのものである。




本物そっくりに薄紙に包まれていたので、そのまま干菓子盆にのせて
お茶のお稽古の時に出してみた。どう見ても白桃!
お味は、もう桃そのもの、立派に桃味である。

箱も中身も共に本物そっくりのミニチュア。
岡山のお菓子屋さん、ずいぶん楽しませてもらいましたよ。
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雨の姫路城お献茶式が国際親善の場に

2015年05月12日 | 茶の湯便り

今日は姫路城でのお献茶式でした。

願いもむなしく雨降りとなり、お家元のお献茶式は三の丸広場から迎賓館に移されました。
会場は私たち一般会員が入れるほどの広さはなく、やむなく御招待のお客様のみになるとのこと、
その説明を受けて、仕方なくお茶を一服頂いて帰ることになりました。

それでも、居合わせた者たちは、残念な思いですぐには立ち去れず、その場に留まっていると
「お家元はこの入口からお入りになります、もしよろしかったら、お出迎えをお願いします」
係の方の一言で、皆口々に「そうだね、せっかくだからお家元のお顔を拝見しましょうよ」
ということになり、お城の入口にずらりと並んで、お家元をお出迎えしてきました。

その間、着物姿の私たちは、外人さんたちの良い被写体になっていました。
「オウ!ビューティフル!」 「サンキュー!」
お献茶式に参列出来なかった私たちは残念でしたが、この外人さんたちにとってはラッキーでしたね。
これだけの着物姿が揃うところは、観光地でそう見れるものではありませんからね。
ささやかな国際親善の一コマでした。




ここはお城の西に隣接する武家屋敷跡庭園「好古園」の茶庭です。
雨で木々や庭石が洗われてしっとりと美しくなっていました。
このお庭を眺めながらの一服は格別です。




こちらはお茶室「双樹庵」です。

今回はお献茶式がメインですので、ここでのお点前はなく、水屋からお茶が運ばれてきました。
早く出かけた甲斐があって一席目に入ることが出来ました。
後が続いているとはいえ、一席目はお迎えする方も力が入っているもので
お客として入れさせてもらう方は、一番充実したお席を楽しむことができますね。
和気あいあいと、美味しくお茶を頂いてきました。


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カエルに八つ当たりはいかん!

2015年05月11日 | 「いと をかし」なものたち



明日は姫路城でお献茶式

お家元が来られるっていうのに、お天気が心配になってきました。
ねえねえ、カエルさん、ケロケロ言ってますがどんなでしょう?

そうですねえ、、僕の頭の中では、低気圧が渦を巻いて来るのが見えます!
体もぞびぞびしますし
明日は曇りのち雨ってとこでしょう、、

えーっ!着物で行かなくちゃいけないのに困るわあ!
どうしてくれるのよ!

僕にそう言われても困るなあ、、
八つ当たりはよして下さいよ!
自然の成すことは如何ともしがたいのです!

まして僕達にとっては恵みの雨ですからね、、
まっ、しっかりと雨具の用意をして行くことですね。
諦めが肝心ですよ!




とは言ったものの、晴れにしてあげたい気持ちもあるし、、
考えても仕方のないことだともわかっているし、、

せめて祈ってあげるさ。
あーした天気になーれ!
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母娘で着回す春の小紋と牡丹の帯

2015年05月08日 | 着物の楽しみ

嫁入り道具の一つだった着物や帯が、もう娘に似合う頃になりました。
かと言っても、いろいろと思い出があって自分もまだ着たい!
そんな時、着物は便利です。小物一つであらあら不思議!
どちらにも似合ってしまうのです。



グレーを基調にしたパステルカラーの小紋に、咲き誇る牡丹の帯を合わせました。

白地に白牡丹の刺繍が施された名古屋帯ですが、春、この一時しか使えません。
(おめでたい花としてお正月に使えるとする場合もあるようです)

ですが、この一時のために装う、これほど贅沢で美しいものはないでしょう。
この帯は、叔母が私の結婚を祝って贈ってくれたものです。
私が無類の「緑好き」を知ってか、濃い緑色の着物を合わせてくれていました。

結婚式が5月14日でしたから、ちょうど今時分の花を選んでくれたのでしょうね。
見る度に叔母を思い出す大事な帯です。

~ * ~ * ~

さて私用には、牡丹の葉の色に合わせて、帯締め、帯揚げ共に黄緑にしました。
牡丹の華やかさにしっとり感が加わって、落ち着いた雰囲気になりました。
これなら、気楽なお茶席でしたら気おくれせずに出かけられます。




こちらは娘用です。

牡丹の葉のピンクと着物の中のピンクが可愛らしかったので
帯締め、帯揚げを共にピンクにしてみました。
同じ着物と帯とは思えぬほどの変身ぶりです。
キュートで、娘らしさ満開!って感じでしょうか。

帯締めがピンク一色でなく、中心に赤があるところが大事です。
ピンク一色では、平坦なイメージになり魅力半減ですからね。

娘時代には娘らしく、可愛らしく、華やかでいてもらいたいですね。
この一式でお茶会デビューっていうのもいいですね。茶席の華になれそうです。


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虫愛づる姫君はクマ蜂がお気に入り

2015年05月04日 | 「いと をかし」なものたち

あらあ!クマ蜂だわ!

可愛いわねえ、、大きな体で毛むくじゃらで恐そうでしょ
だけど少しも恐くないのよ

ブーンブーンって低くて迫力のある羽音をたててるでしょ
あれはね、オオスズメ蜂みたいな肉食の恐ろしい蜂の真似をしてるらしいのよ

なぜかと言うとね、体長が2cmもあって立派な体なのにミツバチだからよ
花から花へと飛び回る蝶々と一緒でおとなしいのよ
だから、危険な蜂の真似をして哺乳類や鳥たちに食べられたり
大事な巣を狙われたりするのを防いでいるらしいのよ
なんとも健気だわねえ

オスには人を刺す針はついていないし、メスには毒針がついているけど
巣やわが子を守るために仕方なく刺すだけだからね
我々が悪さをしなければ、なーんにもしない平和的な蜂なのよ

体や羽音から恐い蜂って思いこまれているのが残念でならないわ
この蜂はね、背中のあたりが黄色いでしょ
だからキムネクマ蜂って呼ばれていてね、性格はとっても温厚なのよ

人間で言えば、気は優しくて力持ちって感じかしら
そんな殿御はいないかしらねえ、、


姫様のクマ蜂に対するご執心は並々ならぬものがございました
妙な付文をしてくる殿御はいても、クマ蜂のように姫様の心を
ふるわせる殿御はいないものかと、ご両親は深くため息をつく毎日でございました

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