大正15年(1926年)5月、農林省は、自作農創設維持補助規則を公布しました。
これにより道府県に低利資金を融資する途が開け、自作農創設に弾みがつきました。
すなわち、同規則公布の15年から昭和21年(1946年)までの自作農創設戸数は、道内だけで約2万8千戸、その貸付金額は6千300万円にものぼりました。
特に道内のみの報奨制度を導入した昭和19年以降の1年平均創設戸数は3千563戸と飛躍的に増大しました。
最も同規則については、自作農の創設よりも「地主の土地売却政策の総合的強化」(『北海道農地改革史』)に過ぎなかったとの指摘もあります。
約言すれば、地価が年々下落するこの時代、もはや地主の土地投資には以前のような甘味はありませんでした。そのため、地主は自作農創設制度で土地を小作人に売り払い、代金を国から全額、しかも即金で受け取る、いわば土地売り逃げ策に転じたのだという指摘がありました。
一方の小作人は、数十年間にわたり、気息奄々、土地代金を国に払い続けました。
これが伏在する本制度の核心で、小作人救済より地主救済ではないか、との疑問でした。
自作農創設維持補助規則が公布された大正15年の12月、大麻(おおあさ)の野幌屯田兵村有地の小作人52人により、同地の小作地解放自作農創設期成会が発足しました。
そして、同年12月16日に江別町長(部有地管理者)に対し、請願書を提出しました。
約80年前の農民たちの切迫した肉声が胸をうちました。
中略
しかし、この小作開放、自作農創設の願いが実現するのは、請願書提出から実に13年余りのち、昭和14年2月まで待たなければなりませんでした。
註 :江別市総務部「新江別市史」344-345頁.
写真:極東練乳株式会社野幌授乳所 開設者小田島清治と家族
同上書324頁写真5ー5を複写・掲載致しております。
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