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江別創造舎

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ヨーカドーの進出

2013年03月30日 | 歴史・文化

 昭和52年7月、大手スーパー・イトーヨーカドーが野幌の国道12号線沿い、市民体育館隣地に進出することが明らかになりました。

 ヨーカドーの進出は、地元商店街にとり、組合員対象の生協よりも大きな脅威でした。
レストランを経営する原利之は、『町の中が騒然となり、大きな打撃を受けることが予想された』と当時振り返っています。
まさに、死活問題でした。
市商連では、市、議会、それにヨーカドー本部に進出の白紙撤回を求める抗議文などを提出しました。同時に、市に対し、大型店進出帰省の条例制定を求めました。
すなわち、52年9月開催の議会にだされた大規模小売店舗等(基準面積未満)の進出に対する規制指導についてなど、2件の陳情でした。
いずれも、採択をみると共に、議会としても、地元中小小売業を保護する法律措置の要望意見書を、内閣総理大臣など関係方面に提出することになりました。

 江別の商業界と関係機関の危機感は増幅しました。
たしかに、江別、野幌、大麻(おおあさ)とも、それぞれが小さくとも個性的な店と魅力ある商店街を形成して対抗すべきであることは承知していました。
また、その努力はなされつつあったのです。
その最中への相次ぐ大型店の進出は、札幌市に3分の1の客をとられ、そのうえ大型店に吸収される、という不安と無力感を増幅させ、新たな近代化への投資の心理的伽となりました。

 また、既存商店街のいては、後継者難の問題がありました。
中央通りで菓子製造販売業を営む杉原満によると、『自分の世代で商売は終わり。後継者がいないので、いま資金をつぎ込んでも返済できないという人が沢山いる』といいます。
また、長い間、大麻(おおあさ)地区商店街のリーダー的存在であった土方昭三も、『後継者問題が、近代化や積極的経営の手枷足枷となっている』といいます。
その他、江別地区商店街においては『借地で商売しているため、お金をかけて改装できない』(杉原満)などと、商店自体に内包する桎梏も、投資への、近代化への大きなブレーキとなったことは否めません。

 大型店の進出に対し、商業界関係以外の市民の反応は、また別でした。
大麻(おおあさ)通勤者ユニオンなどが中心となり、生協誘致運動が展開されたように、消費者の大方は歓迎でした。
 昭和52年11月、江別地区同盟は、市長に対し、消費者の立場からみると、商店街の整備が遅れており、札幌に行かなければ満足な買い物ができない状況では、大型店の進出により、各種商品が揃えられ、サービスの向上が期待される、と事実上の賛成を表明しました。
そして、合わせて雇用対策、商店街近代化について施策の促進を申し入れました。
また、消費者協会の中島好枝は、『大型店は、ひとつの店で食料から日用雑貨のタオルまで、一度に必要なものを買いそろえることができるから便利で助かる』と、共稼ぎの多い現実的な視点で、消費者側の立場を明らかにしたのでした。

註:江別市総務部「えべつ昭和史」436-437頁.
写真:昭和53年11月オープンしたイトーヨーカドー江別店
 同上書436頁掲載写真を複写し、当ブログ掲載いたしております。


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