クラブマネジャー 星です。
時代の移り変わりを肌で感じながら運動指導をする機会が増えてきました。
私は日本の子供たち、いや世界の子供たちの生活習慣が変わり、「活発な子供たち」が失われた原因は子供ではなく私たち大人にあると考えます。
現代社会の発展はITの進歩とあいまって効率をもとめる社会とともにあります。その結果、想像をこえた利便性の高い生活を手に入れたと言えます。
しかしその過程において、子供たちは活動量を増やせない生活になってしまい、健全なライフスタイルを失ってしました。
ある調査によると現代の小学生の放課後の遊び時間は約50分と、30年前(1990年前後)の小学生の半分以下にとどまっています。
またインターネットや電子メールでのコミュニケーションが子供世代でも多くなり、実際の対話も減っている状況があります。
大人のライフスタイルが変化したことによるゆがみは子供に影響し、寝不足を感じる子供が増えたという統計もあります。
身体活動、食事、睡眠という生活習慣は連鎖しています。どれか一つを高めればいいというものではなく、バランスよく回さないといけません。
放課後の運動遊びの減少は現代の子供たちのライフスタイルを根本から変えてしまったといえるでしょう。
約15年前、私は中学生にサッカーを指導していました。この写真はその時のものです。
その当時の子供たちは大人と一緒にサッカーができる喜びにあふれていました。
もちろん、中学年代は体力にバラツキがあり、成長しきれていない子はその練習についていけない場合もありました。
現代の子供たちの体力・運動能力の低下の直接的な要因は基本的な動作の未習得と活動量の減少の2つだと言われています。
基本的な動作の習得には、大人に仕組まれたものではなく、自分で様々な動きをみてその種類を増やし、多様化していくことが大事です。
あとはその動作を繰り返すことで勝手に合理的なところに行きつき、洗練していくということになります。
多様化と洗練化はスポーツを習うことより遊びの中から習得できますが、それが未熟のままで中学年代に入るとあとで苦労します。
また活動量の減少については1970年代の乳幼児の一日平均歩数は20,000~27,000歩でしたが、今日では8,000~15,000歩となっています。
これは環境の変化なので早急に意識して変えていかなければならない問題です。
子供の運動遊びは発育発達段階に応じて考えないといけません。
もともと子供たちは個々にバラツキが大きく、他人と比べて評価しないことが重要です。
特に幼少期には「身体活動」「認知」「社会性」という3つの発達領域は、それぞれが独立して獲得するものではありません。
その3要素はお互いに補完しあい、環境による影響を受けながら発達していくので、予測は立ちません。
さらに子供時代に自らのめりこむ運動遊び習慣は、青年期につながる重要な身体活動習慣に持ち越されていきます。
のめりこみ、熱中するからこそ、その後の人生においても健全な生活につながりやすいのです。
中学生年代において諸外国は日本より考え方が進歩しています。
単一種目ではなく、多種目のスポーツを同時に選択できて、トップを目指すレベルから体験するだけのレベルまで心地よく運動できるシステムを地域で作っています。
アメリカでは10年ほど前から、先に挙げた子供の発育発達段階に見合ったスポーツの在り方として、小学生以下の全国大会を禁止しています。
今後私たちのようなクラブと地域のスポーツ指導者で真剣に考えていかなければならないのは、中学生年代の運動実施率を上げることです。
それには従来のスポーツ、運動の考え方あり方を変えていく必要があります。
自分たちの今までの経験則だけでは成り立たない現状があるので作っていくしかないのです。
スポーツの技術戦術習得はその上に乗っかるものだいう指導者の認識の共有。
その対策として以下のものを挙げておきます。
①単一種目ではなく複数同時にできるスポーツ環境
②競技スポーツと非競技スポーツの両立
③運動嫌いの子供も気軽に参加できる体験型プログラム
これらは健全な青年期に向かうためのものと同時にトップアスリートを生み出すためのものだと思っています。
現代のスポーツの早期教育傾向は、安易に結果を出すためのものであり、すべての子供たちに有効なものではなくなっています。
利便性を求めていくとどこかでその代償を払わなければいけません。
スポーツ(運動)は楽しいから、高校に上がっても続けていきたい。他の種目にも挑戦しようかな。
そんな中学生をたくさん生み出す仕組みを作り出すことが、健康づくりや介護予防につながるのではないでしょうか。
そしてその中学生の中からぐんぐん才能を花開かせて、大学生になった時にすごいことになっているかもしれません。
想像するだけで面白いではないですか?
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