超級龍熱

香港功夫映画と共に

「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」(4) 香港武打片版名勝負数え歌!「黒豹」

2016-01-18 13:55:09 | 作品レビュー
さてさて「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」第4回は、倉田さんにとって梁小龍と並ぶ好敵手だった“香港のチャールズ・ブロンソン”こと陳星共演作品「黒豹」(73)でいきましょう。まず驚くのが、この70年代序盤の倉田さんと陳星の共演作品の多さです。
例えば「餓虎狂龍」(72)、「猛虎下山」(73)、「虎拳」(73)、そして上官霊鳳も加わった「趕盡殺絕」(73)とザッと数えただけでも5本近くになります。
で、それら作品の殆どがドラマ部分的には多少の味付けが加わったとしても、映画のラストで陳星と倉田さんが延々とガチンコ・ファイトを展開するという良い意味での“最強的ワンパターン決闘”、つまり“香港武打片版名勝負数え歌”が幾度となく繰り広げられていったんですね。
要するに、実際の空手高手だった陳星と倉田さんは俗に言う“手が合う同士”だったんですが、陳星も邵氏公司時代は張徹作品でメインの悪役の脇でチョロチョロしてる端役が多かった人で、私の印象に残っている邵氏時代の陳星は「新獨臂刀」(71)の谷峯の副官、「双侠」(72)の皇太子、そして「拳撃」(72)の強人役ぐらいでしょうか。ただその後に邵氏公司を離脱してからの陳星は一転して口髭を蓄え、鍛え抜かれた上半身と共に“香港のブロンソン”として恒星公司や第一影業で次々と主演作品を連打し、一躍香港クンフー映画のトップ武打星へと駆け上がります。
この「黒豹」もそんな陳星の絶頂期の1本で、オープニングの空港で陳星が突如無実の罪で逮捕されるというショッキングな幕開けが如何にも台湾B級武打片らしくて、私も大好きな映画なんですが、映画のラストでは波止場を舞台に陳星が白のジャケット姿の倉田さんとまたまたガチンコ決闘を見えてくれています。
ただ映画のエンディングでは何時もだったらバッコバコ!に闘った後、壮絶に陳星に殺される倉田さんが珍しく殺されずにグロッキー状態で終わる、のがちょっと私的には新鮮な結末でしたね(^。^)。
これは余談ですが、空手の有段者にして強面の陳星ながら、以前に第一影業作品「少林殺戒」(75)撮影中に金童(古龍)とのプライベート・ファイトで金童に手首を折られた(または打撲)、という事実があります。
これは同作品で武術指導を担当した陳少鵬が証言しているので間違いないでしょう。もう一つ余談ですが、陳星のニックネームである“香港のブロンソン”ですが、これまた以前に中国武術研究家の笠尾恭二先生が私に「あの“香港のブロンソン”ってニックネームは日本では私が最初に命名したんだよ!」と仰っていたのが印象に残っています。
これはそこら辺のいい加減な証言者とは違って、ご自身の著作において多くの資料と共にシッカリとした事実検証を行う事で知られている笠尾先生のお言葉なので、実に貴重な証言でしょう。というわけで、そう、合言葉はドラゴォォン!!

「陳星とは何度も共演しましたねえ。彼は僕が邵氏で初めて出演した「悪客」で楊斯とかと一緒に僕の子分役で出てたんです。この当時の陳星はまだ役者として余り売れてない時でね、何時もブツブツ言ってました(笑)。
それが「蕩冠灘」って映画に主演したらこれが大ヒットしてスターになったんですけど、そうしたらもう人相まで変わっちゃってね。
僕と陳星との立ち廻りでは、監督の「カット!」の声がかかってもまだ2人で闘ってるって感じで、それはもう激しいファイトでしたね」(倉田保昭:談)
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